隣の部屋の裸族さん

Joker0808

第47話

じゃあ何!?
この事態が起きた原因って強のせい!?
あんの野郎ぉ……。

「高石、それは誤解だ、あれはだな……」

「あの日から私、木川君の事を見てたんだよ」

ダメだ、こっちの話を全く聞いてくれない。
真実を聞けば、俺の事を嫌いになってくれるだろうか?
まぁ、そんなことは無いと思うが……。

「それから、木川君が帰っていくのをみたり、あとを追ったり、こっそり後をつけて回ったりしたんだよ……」

ストーカーされてたやつがストーカーになるなよ!!
普通に恐怖だわ!
てか、何?
この子ってずっと俺の事を見てたの?
一年から?
普通に恐怖を感じるんだが……もっと普通に俺を好きになってほしかった。

「あ、あのさぁ……そ、そういうのってストーカーと同じなんじゃ……」

「違うわ! あんなストーカーと一緒にしないで! 私の行動は全部木川君への愛なんだから……」

とり合えず、この子がものすごく怖い子だという事を改めてよくわかった。
高石さんはそんな事を言いながら、俺の方にじりじりと近づいてくる。

「木川君……」

「な、何? 高石さん……」

俺は近づいてくる高石さんから距離を置く。
何をする気だこの子は……。

「ねぇ、なんで逃げるの? 何も痛いことなんてしないよ?」

「何もしないでもらえる方がうれしいんだけど……」

「大丈夫だから、木川君は何もしなくていいから……」

じりじりと近づいてくる高石、俺は何か危険を感じてその場から逃げ出そうとした。
しかし、そんな俺の手を高石ががっしりと掴む。
本当に女子なのか疑うレベルの力で彼女は俺の腕を掴んで離さない。

「あ、あの……離して……」

「なんで?」

「貴方様がなんか怖いからです」

「なんで? なんで私が怖いの?」

「何をしようとしてるか分からないからだよ! 良いから離してくれ!」

「じゃあ、素直に言うから。ただキスしようとしてるだけだから」

「いや、なんでそうなる!? 一体俺をどうするつもりだ!!」

「ん? 別に? ただ私を好きになってくれればそれで良いよ」

「いやぁぁぁぁ! こんなところで俺のファーストキスがぁぁぁぁ!!」

どんどん高石の顔が俺の顔に近づいてくる。
あと数センチで高石の唇が俺の唇にくっ付くというところで高石は止まった。

「ねぇ……何してるの?」

「え……八島さん……」

「ん……」

高石は声が聞こえた瞬間驚き、俺の手を離した。
俺はその瞬間を逃さず、高石から距離を取った。

「………何してるの?」

「別に何もしてなわよ?」

「………そう……」

八島は相変わらずの無表情で俺と高石を見つめる。
そんな八島を高石もじっと見つめる。
なんだ、この一触即発の雰囲気は……てか、まさか八島に助けられるとは……。

「どうしたの? 私の顔に何かついてるかしら?」

「……何も………昼食……食べる時間無くなる」

「そ、それもそうだな! じゃ、じゃあそろそろ食堂に行くか!!」

俺は二人にそう言い、二人を連れて食堂に向かおうとする。
しかし、二人は俺の言葉など一切聞かず……。

「ねぇ、八島さん、私はあなたと木川君の関係を知ってるんだけど……あなたは木川君の事をどう思ってるの?」

「? ……家政婦」

「おい、俺はお前の家の家政婦になったつもりは無いぞ」

「……間違い………メイドさん」

「同じじゃねーか! しかもそれならどっちかって言ったら俺は執事じゃねーかよ!」

「じゃあ執事………」

「よしわかった。お前の中で俺は身の回りの世話をしてくれる人なんだな……言っておくけど違うからな!」

決めた。
こいつには出来る限り自分の事は自分でやらせよう……。

「そう……なら恋愛感情は無いの?」

「………ない……けど」

「けど?」

「彼女………出来たら困る」

「え?」

な、なんだ八島の奴……ま、まさか八島の奴、俺の事を!?

「……お世話してくれなくなる………」

はい、知ってましたよ。
こいつはそういう奴だよ。
少しでももしかしてなんて思った自分が恥ずかしい……。

「そう……私はね木川君のことが好きなの」

「そう……」

「貴方からしたら私は邪魔?」

「……邪魔……木川がご飯……作ってくれなくなる」

「彼女がいなくても作らないことはあるからな、覚えてろよ八島……」

俺がそういうと、高石が一歩八島の前に行き言った。

「じゃあ、邪魔ってことなのね」

「………そうなる」

「……そう……じゃあ、私の邪魔をするの?」

「……しない……」

「じゃあ、どうするの?」

「何も……しない」

「え? じゃあ私が木川君を好きにしても良いの?」

「うん………木川が私のお世話……してくれれば問題ない」

「なるほどね……じゃあこうしましょう、私は木川君と付き合うけど、ちゃんと貴方の世話をするように木川君に言っておくわ」

あれ?
なんか話が最悪の方向に向かってないか?
俺がそんな事を考えていると、八島がグッと親指を立てて高石に言う。

「………問題無い……それで手を打つ」

「交渉成立ね」

「……うん」

「いや、うんじゃねーよ!!! 何本人放って勝手に話を進めてやがる!! ちゃんと本人の意思を確認しろ! てか、俺は八島の世話も高石とも付き合わないからな!!」

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