隣の部屋の裸族さん

Joker0808

第16話

「実はだな……俺が越してきたら、偶然こいつが隣の部屋で一人暮らしをしていてだな……風呂は給湯器が壊れてしまって、修理が終わるまでの間、俺が風呂を貸しているんだ。分かったか?」

「あぁ、そう言うことかぁ……あれ? でもならなんで隣に八島さんが住んでること言わなかったの?」

「それは、色々誤解されると思ったからだ」

「でも、やましい事が無いんだったら言ってくれても……」

「うっ……」

確かにそれはもっともだ。
こんな事になるなら、隠さずに言えば良かった……。

「そ、そうだったとしても説明が面倒だろ? あと言っておきたいんだが……このことはくれぐれも他言無用で頼む……」

「え? なんで?」

「色々勘ぐられるのが面倒なんだよ、分かってくれ……」

「なるほどねぇ~八島さん可愛いしねぇ~」

「ん……そう?」

上屋敷の興味が俺から八島に移る。
上屋敷は八島の方を見て、ニコニコしながら尋ねる。

「ねぇ! 八島さんはなんで一人暮らししてるの?」

「……家の事情……」

「そうなんだぁ~……ところでおっぱい大きいね!」

「ありがと……」

いや、どんな会話!?
八島もなんでありがとうなんて言ったの!?
しかも上屋敷は八島の胸から視線を動かさないし!

「ねぇ、揉んでも良い?」

「良いよ」

「いや、ダメだろ!!」

「じゃあ早速……」

上屋敷はそう言って、八島の胸に手を伸ばす。
いや、マジでこいつら何やってんだ?
人の家で胸を揉ませたり、揉んだり……一応男の部屋なんだけど……。

「うぉ! な、何これ!! 大きい……」

「ん……くすぐったい……」

「メロンみたい……あ、木川君はダメだよ?」

「揉むかっ!!」

「ん……別に良い……」

「だから揉まねーよ!!」

こいつ……本当にさっきの話し聞いてたんだろうな?
八島の胸を見てたとかそんなオチじゃないよな?

「なぁ、上屋敷頼むぞ」

「え? 何が?」

「だから、この事は誰にも言わないでくれって話しだよ! あと、いい加減八島の胸から手を離せ」

「えぇ~……ダメ?」

「ん……ちょっとくすぐったくなってきた……離して……」

「うー……分かった……」

上屋敷はそう言いながら、渋々八島の胸から手をどける。

「八島さん何カップ?」

「……G」

「G!? そんなカップが存在するんですか……」

「なんで敬語なんだよ……」

「ん……でも下着が無い……」

「私なんてCだよ? もう少し大きくならないかなぁ……」

俺の部屋でそんな女子トークをするな!
なんか俺がいたたまれ無くなるだろ!!

「おい、もう良いだろ? 俺も居るんだから少し自重してくれ……」

「あぁ、ごめんごめん。木川君は何カップ?」

「そう言うことじゃねーよ……」

なんで俺まで胸の話しに加わらなくちゃいけないんだよ……。

「え? 疎外感を感じてたんじゃないの?」

「感じてたけどそう言うことじゃねーよ!」

「木川君は……A?」

「まず胸がねーよ! 俺は男だ!!」

俺は上屋敷にツッコミを入れ、ため息を吐いて時計を見る。
現在の時刻は18:45分。
結構遅くなってしまった。
日が高いとはいえ、もう夕方だ。

「はぁ……上屋敷……そう言えば忘れ物って?」

「あぁ、スマホなんだけど……」

「あぁ……あった。これだろ?」

「あ、それそれ! ありがと!」

机の下に落ちていたスマホを上屋敷に渡し、俺は立ち上がってキッチンに立つ。

「俺らは今から飯だけど、折角だから上屋敷も食っていくか?」

「え!? 良いの?」

「どうせ二人分作るのも三人分作るのも変わんねーから」

俺はそう言いながら、エプロンを付ける。

「渡しはこれがある……」

「八島……お前はまたそんなカロリーのモンスターを……」

八島の手には『爆盛り! 辛子マヨソース焼きそば改Z2!!』と書かれたカップ焼きそばを持っていた。

「没収だ」

「あ~……返せぇ~……」

「少しは食う物考えろ! 無駄な脂肪が付くぞ!」

こんな食生活してて、良くその体型を維持出来ていると思うが……元々太りにくい体質なのだろうか?

「もしかして……栄養が全部おっぱいに……じゃあ私も八島さんと同じような生活をすれば!!」

「上屋敷はアホな事を考えるな!」

まぁ……確かに脂肪が全部胸にいってるかもしれないが……。

「さて、何を作るかな……何か食えない物とかあるか?」

「私は別に無いよ」

「……む……ピーマン……」

「お前は好き嫌い多過ぎだ! ちゃんと食え」

「む……意地悪……」

「うっせ!」

「………なんかさぁ……」

「ん? なんだよ?」

俺と八島の会話を見て、上屋敷が何か言いたげな顔で俺と八島を見てくる。

「……兄妹みたいだね!」

「は? 何言ってんだよ。こんな妹はごめんだね」

「む……私も……こんな兄は嫌……母が良い」

「いや、だから俺は男だっつの!」

「料理の腕……抜群」

「え? マジ? ありがとう……じゃなくて!」

「ん?」

「ん? じゃねーよ……はぁ……お前も少しは料理出来るようになれよ……」

「ん……木川が居る………」

「俺はお前の母親じゃねー!!」

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