隣の部屋の裸族さん

Joker0808

第2話

「またみんな同じクラスだと良いわねぇ~」

「それが一番良いけどな」

「中学の時は俺だけ別だったな……」

そんな話しをしながら、俺たちはクラス分けの表が張り出されている校門前に向かった。
「おぉ、また一緒だな」

「これで卒業まで、お前らと同じクラスかよ」

「楽しみねぇ~、修学旅行に体育祭、それに文化祭、今年も楽しい一年になると良いわねぇ~」

「お前はイベントの度に女の子から幻滅されてるけどな」

「仕方ないでしょ? 私は女の子は愛せないの!」

「それで何人の女の子を泣かせたよ……」

「畜生! なんで早乙女がモテて俺はモテないんだ!」

「画面の向こうではモテモテだろ?」

「現実でモテたい!」

「へいへい、分かったわかっと……すいません」

「いえ……」

強とふざけていると、後ろの人にぶつかってしまった。
俺はぶつかってしまった人に謝ろうと後ろを見る。
そして後ろを振り向いた俺は思わず目を見開き、その場で固まってしまった。
それもそのはず、後ろに居たのは昨日俺の隣の部屋で全裸だった女の子だったからだ。

「なっ………」

「……」

その子は俺の顔を見ると、無言でその場を立ち去った。
俺はそんな女の子の背中をそのまま目で追ってしまった。
てか、同じ学校だったのかよ!
しかも、クラス分けの表の前って事は同じ学年!?
あの身長で!?

「おい、琉唯!」

「え? あ、あぁ……ど、どうした?」

「お前こそどうしたんだ? あの子の事を見つめて……ってお前まさか!!」

「ちげーよ」

「諦めろ……お前じゃ無理だ、鏡を貸してやる」

「だから、ちげーって言ってんだろ!」

「あらあら、妬けちゃうわねぇ~」

「はぁ……早乙女まで変な事を言うなよ……」

「ん~と……あの子は確か……去年隣のクラスだった八島(やしま)さんね」

「八島?」

そう言えば、昨日インターホンを押す前に見た表札の名前も八島だった気が……。

「知らないの? 三組の八島さんって有名じゃない」

「有名? なんでだよ?」

「そりゃあ、あの容姿にあの胸だ! 男子が放っておくはずないだろ?」

なるほど……確かにカワイイ上に胸もデカい……。
仲良くなりたい男子も多いだろうな……。

「でもあの子、無口だから誰も相手にしないのよねぇ~、基本いつも一人だし」

「そうなのか?」

「あぁ、入学当初は周りに人が居たけど、今じゃ教室でもどこでも一人だぜ」

「ふーん」

早乙女と強の話しを聞きながら、俺はそんな早乙女が先程まで居た場所を見る。
あいつも俺たちと同じ場所に居たって事は……もしかしたあいつも同じクラスに?
も、もしそうなったらどうしよう……気まずすぎるぞ!!
俺はそんな不安を感じながら、早乙女と強と共に新しいクラスである、二年二組に向かった。

「二年のクラスって言っても、階が二階になっただけで、あんまり変わらないな」

「あらそう? 私は新しい出会いに期待しちゃう」

「それは女子との出会いか?」

「いいえ……男よ!!」

「あぁ……早乙女はいつも通りだな……」

そんな俺たちの会話が聞こえたのか、既にクラスに来ていた男子生徒数人が俺たちの席から離れて行った。
正確には早乙女から離れたのだろうが……。
「まぁ、見知った顔も数人居るし……楽しい一年になりそうだな」

「まぁ、そうなら良いけどな」

そんな話しをしていると、教室のドアを開けて誰かが入ってきた。

「ん? お! 琉唯が気になってる子も同じクラスみたいだぞ!」

「あら、本当! もしかして琉唯ちゃんと赤い糸で繋がって……ってどうしたの?」

「いや、なんでもない……」

「何でも無いわけないだろ、そんな避難訓練(地震)の時みたいに机の下に隠れて……」

最悪だ!
マジで同じクラスだったよ!
うわっ……絶対あっちも俺が隣の家の住人だって知ってるよな!?
そりゃそうだよ!
だって昨日がっつり顔合わせてるもん!
もしあいつが昨日の話を誰かに話したら……。

『ねぇ聞いた? 木川君って覗き間なんだって!』

『えぇ嘘ぉ-! キモイ!』

『同じ息も吸いたくないわね!』

『死ねば良いのに!』

なんて事になって、俺の学園生活が一瞬にして終わるぅぅぅぅぅ!!
な、なんとか謝って許して貰わねば!!
その後、教室に入ってきた担任の先生が入ってきて、強と早乙女は席に戻って行った。

「えぇ、今日は始業式とホームルームで学校は終わりよ、午後は入学式があるからさっさと帰りなさい」

「せんせー!」

「どうしたの? 質問?」

「彼氏とはどうなったんですか!!」

べき!!
何かが壊れる音が教室中に鳴り響いた。
二年二組の新しい担任、御影冴子(みかげ さえこ)28歳は、去年のクリスマスに彼氏が出来たと喜んでいた。
それは生徒の間でも噂になっており、御影先生がようやく結婚するのではないかと言われていた。
しかし……現実は残酷だったようだ……。

「はぁ……はぁ……か、彼氏? フハハハハ! 私に彼氏なんて必要ないのよ! 私に必要なのはお金と仕事なのよ!! はーはっはっははー!!」

『『『『振られたな………』』』』

クラスの全員が心の中でそう思った。

「可愛そうに、御影先生はいつになったら結婚出来るんだか」

「良い先生なのにねぇ~、男は馬鹿よねぇ~」

始業式のため、俺は体育館に向かいながら強や早乙女と話しをしていた。
しかし、俺は会話に集中できなかった。
その理由はもちろん、同じクラスになってしまった、隣人の事だ。

「はぁ……」

「もう、さっきからどうしたのよ! ため息なんて吐いて」

「具合でも悪いのか?」

「いや……何でも無いよ……」

どうする?
早く謝って許して貰わないと大変な事になるぞ……とりあえず放課後に呼び出して……ってそれで間に合うのか!?
俺は式の最中もそんな事を考えていた。
考え事をしているうちに式は終わり、直ぐに放課後になってしまった。

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