モテるのは俺の友達

Joker0808

第14話




「お、お客様? ご、ご注文は?」

「へ? あ、えっと……」

私は今さっき起こった出来事が信じられず、ぼーっとしていた。
まさか自分が好意を向けている相手から、あんなことを言われるとは思っておらず、私は本当にこれが現実なのかと疑ってしまっていた。
私は自分が何を注文したのかも、どうやって友人達の居る自分の席に戻ってきたのかも気が付かないまま、自分の席に注文した商品を持って席に戻ってきた。

「あれ? 蓮花ちゃんアイス会に行ったんじゃないの?」

「え? あ……」

アイスを注文したはずの私が持っていたのは、ハンバーガーだった、しかも期間限定のビッグスペシャル肉肉バーガー……。

「あれ? なんで私こんなの買ってるの?」

「知らないわよ」

「さっきお腹いっぱいって言ってなかった?」

「……言ったわ」

どうやらあまりの動揺で全く別な物を買ってきてしまったみたいだ。

「食べられるの?」

「………もぐもぐ……うっ……肉肉しい……」

「なんで注文したのよ……」

ヤバイ……絶対に食べられない……。
そんなことよりもまさかこうも簡単に真木先輩との仲が進展するなんて……。
なんか上手く行き過ぎて怖い……。



「ただいま」

「お帰り、なんかいろいろ買ってきたな」

「いや、なんかうれしくなっちゃって」

「どういうことだよ……ポテト食った分よこせよ」

「はいはい。あ、あのさ……」

「なんだ?」

「初白さんに平斗の昔の話をしてもいいかな?」

「……なんでだよ」

注文を終えて席に戻ってきた高弥の言葉に、俺は驚いた。
なんでそんな話になったのか、まずはそこからだが。

「実はレジに並んでるときに初白さんと一緒になって……」

「あぁ、そういうことか……でも、なんでお前が俺の話を初白にするんだ?」

「初白さんが気になってたから……それだけじゃだめ?」

「だめだ。お前が俺のあの話を他人にすることなんて一切なかった、何か訳があるんじゃないのか?」

高弥は俺の噂の真実を知っている数少ない人間の一人だ。
俺から言ったわけではなかったが、高弥から他人にあの話の真実を話そうとはしなかった。
なのに、なぜ初白には話そうとしているのか、俺は不思議だった。
一体、レジに並んでいるときに何があったのだろうか、俺はそれが気になった。

「まぁ、そうだよね……実は僕……彼女が気になってるんだ……」

「なるほどそういうこと……って、はぁ!?」

気になってる!?
それってマジで初白が好きになったってこと!?
え? なんで?
なんでそんな面白いことになってんの!
全然そんな感じなかったじゃん!
てか、初白の事全然興味なさそうだったくせに、何をいきなりカミングアウトしてんだよ!

「そ、そうなの……そういうことか……しかし珍しいな、お前がその……女子に興味を持つなんて」

「うん、彼女はなんか……他の子とは違う気がするんだ」

ガチな奴じゃねーかよ!!
え? マジで?
マジで初白なの!?
よりによって!?
あの先輩を先輩とも思ってなさそうな失礼な奴を!?
俺は平静を装ってはいたが、内心ではかなり動揺していた。
一体この高弥と初白の間に何があったのだろうか?
あのどんな女子からの告白も断ってきたあの高弥が……。
まぁ、別に好き同士なら応援するし、高弥が惚れた相手なら信じられるが……。

「そ、そうか……初白が……まぁ、そういうことならあいつも俺の過去を知りたいだろうしな……構わないぞ」

「ありがとう。きっと……あの子は平斗をわかってくれるよ」

「……そうだと良いな」

まぁ、確かに彼女になるかもしれない女子に、いつも一緒にいる奴の良くない噂の真相を聞かれたら、答えないわけにはいかないしな。
二人が付き合ったら、祝ってやろう。
まぁ、あのアホは確かに他の女子とは違うかもしれないしな……。
かなり失礼な奴だが……。

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