モテるのは俺の友達

Joker0808

第11話

「それで何のようだ?」

「さっきはよくも邪魔してくれたな!」

「あと少しで初白と……」

あぁ、ただの八つ当たりか……。
大方、初白を口説こうとでもしていたのだろう。
まぁ、あの様子じゃ相手にもされてなかっただろうが……。
一年生とは言え、男子生徒四人に囲まれているというのに、俺も高弥も落ち着いている。
自分でもいうのもなんだが、もう少し焦ってもいいような気もするが……。

「初白と……初白をデートに誘えたのに!!」

「は?」

「デート?」

「そうだよ! 恥ずかしいからこいつについてきてもらったんだ! それなのに……それなのにあんたが邪魔するから!!」

涙を浮かべながらそう言う一年生の一人、恐らく彼がこの中のリーダー的存在なのだろう。
大柄で筋肉質、鍛えているのがよくわかる。

「大島君の邪魔しやがって!」

「大島君に謝れ!!」

「お、おいお前らやめろ! なんか恥ずかしいだろ……」

なんだこいつら……。
面白い奴らだな。
なんか憎めないな。
俺がそんなことを考えていると、大島は俺に言葉を続ける。

「聞いてるぜ! あんた中学の時、女子に酷いことをしてたんだろ!」

「今度は初白さんに何をする気だ!」

「この鬼畜!!」

「なるほどな……お前は初白が好きで、そんな初白がよくない噂が流れている俺と一緒にいたから、心配になったってことか……」

「そうだ! アンタ、初白に何をする気だ!」

「何もしねーから安心しろ、邪魔して悪かったな。じゃ俺は帰る」

「あ、じゃあ僕も」

「そうか、わかった、気をつけてな………ってそうじゃねぇ!!」

「なんだよ、もう話は終わっただろ?」

「いや、そうだけど! 終わったけど! こういう展開だとなんかひと悶着あるだろ! あんたがキレるとか!!」

「いや、俺はそういう面倒臭いのやだ」

「僕も面倒なのは嫌いかな?」

「いや! なんか無いのかよ!」

「別に? 帰っていいか?」

「後輩からここまで言われてるのに!?」

「じゃあなんだよ、お前らは俺達と喧嘩したいのか?」

「い、一応そういうことをするのかと思っていたんだが……」

「じゃあ、俺の負けでいいから喧嘩はなしで……それじゃ」

「あ、おい!」

俺と高弥は大島に背を向け、ため息を吐きながらその場を後にする。

「やれやれ、まさかあいつのおかげでこんな風に絡まれるなんて……」

「まぁ、初白さん可愛いから、仲良くしてる平斗に嫉妬したんじゃない?」

「嫉妬って……俺がいつあのアホと仲良くしたよ」

「僕からはそう見えたよ」

「はぁ……あのアホ、なんで好きな奴に勘違いさせてんだよ……」

「ん? 何か言った?」

「別になんでも……ほら、さっさと行こうぜ、なんか腹減った」

「じゃあ、今日は何を食べていく?」

「毎回外で食べるのもなぁ……」

俺と高弥はそんな話をしながら、学校を後にしてファーストフード店に向かった。

「さて、何食べる?」

「そうだなぁ……ポテトと……」

ファーストフード店にやってきた俺と高弥は、メニューを見ながら何を食べるか悩んでいた。
毎回ではないが、俺と高弥はよく学校の帰りに何かを食べていくことが多い。
このファーストフード店にも良く来る。

「お、新作のシェイクか、これも頼も」

「じゃあ、僕もそれにしようかな」

俺たちが何を食べるかを決め、レジに向かうと目の前に背の低い女の子が並んでいた。
その女の子の後ろ姿に俺は見覚えがあった。

「おい」

「あたっ! きゅ、急にな……って先輩!? それに真木先輩!!」

目の前に並んでいたのは初白だった。
初白はチョップをかました俺を睨んだ後、隣の高弥の事を見て目をキラキラさせる。

「なにやってんだよ」

「と、友達と寄り道……です」

「こんにちは、初白さん」

「こ、こんにちわ!」

初白は顔を赤く染めながら、高弥に視線を向ける。
俺の方には一切目を向けない。

「おい、お前のせいでさっき一年の男子に絡まれたんだが?」

「え? そうなんですか? ウケますね」

「おいコラ小娘、上級生に対する礼儀を教えてやろうか?」

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