日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第48話

防衛省
防衛省は日本転移に係る防衛計画の大綱と、臨時防衛力整備計画を策定した。
内容は、外国製を使用していた武器の国産化ないしは延命処理を施したうえで代替品の開発を最優先課題とすること。また、大規模侵攻に対しての備えと非正規戦に対する備えを双方保持すると為された。


組織改編について陸上自衛隊は第21師団(完了)を編成し、特域の全面的な治安維持にあたるとした。(現在も第21師団普通科部隊による魔獣駆除が継続的に行われている)
海上自衛隊は、北青原分屯基地を基地に昇格したうえで、佐世保基地配属の第8護衛隊を北青原基地に転進させ、即応可能な体制を維持する。同様に海上保安庁も巡視船の配備を行い、特域周辺の海域警備にあたる。
航空自衛隊は第309飛行隊を含む、第10飛行団を編成する予定である。北青原基地に主力部隊を、南青原基地に補給処を建設予定。
これにより、特域における万全の防衛態勢をとり、特域の早期開発に努める。


主要装備の調達計画については、大幅な変更が加えられた。
陸上自衛隊は試験開発中の新型車両を取りやめ、既存の90式戦車及び10式戦車の改修を行うこととなった。
このうち、大きな改良が加えられる90式戦車を90式戦車(改)として、試験開発中だった技術を盛り込むこととなった。


90式戦車(改)-改良点
・パワーパック・・・10式と同方式に変更。エンジンも10式のものに出力の向上の改造を加えたものを採用。
・装甲・・・増加装甲を標準化。車体側面と後部にも複合装甲を装備。すべて防護能力が向上したものに換装。
・C4I・・・パワーパックの変更により給電能力の向上を施したため、高度な設備を装備可能。車内空間も再設計を行った。
・火砲・・・10式戦車砲に換装。55口径に延長したものを搭載し、威力の向上を見込む。


ほぼ10式に魔改造するという内容だが新型のシステムを開発するわけでもなく、単に10式のものを改良して搭載するだけなので、開発費の大幅の低減が見込める。
また、重量に関しては北海道と特域内でのみの運用を予想したため10式ほどの重量軽減は考慮されていない。


また、74式戦車の輸出に関して、「防衛装備品及び技術の移転に関する日本国政府とオルスター王国政府との間の協定」がなされたため、防衛省内部でも輸出する際の情報移転などの協議が行われた。
そして、3か月ほどで試作品が製作された。輸出品には"74式戦車WE型"という名称がつけられる。


74式戦車(WE型)-既存車との比較
・エンジン・・・整備容易であるとともに、燃費が良好なものに換装。
・火砲・・・HEAT-MPのみ射撃できるように制限。
・C4I・・・エンジンの換装により、電力の限定的な供給が出来るようになったため、敵味方識別装置を搭載する。これは簡易的なものであるが、自機が発射した電波に対して、別の味方が受信したときに、その味方は対応した電波を発射する。その電波を受信することによって識別をする。試験ではこの一連の動作を2Km間の通信で3秒で識別完了した。
この対応した電波のプリセットは様々な動作を指定でき、射撃動作の停止からシステムそのもののシャットダウン(=機能停止)までを指定できる。
同様のシステムを90式戦車(改)も搭載することとなったが、こちらはパッシブ方式でかつ、受信電波に対する反応も選択できる。
このC4Iシステムによって、現場部隊の反乱や、万が一に想定される日本への攻撃事態にも備えることが出来る。
本来は航空機や艦船に搭載される敵味方識別装置だが、構造ゆえに最大探知距離は20Kmほどとかなり短距離である。そのため、衛星を通じて制御するという案も浮上したが、衛星使用の危険性や、そもそも搭載できる余裕がないことなどから却下された。


続いて、航空自衛隊が現在調達中である、F-35が調達不能であることから、次期戦闘機の国産化に向けての研究を強く推進することとなった。
しかし、将来戦闘機の早期実現が不透明であるため、防衛省は将来戦闘機計画を一時的に凍結することを決断した。
そして新たに計画を立て直した。「将来戦闘機の早期開発のビジョン」と題し、実際にイメージ図も公開された。名称は"F/A-4"である。
イメージ図はF-15Jに酷似していたが、機首部分や、翼形状が一部変更されていた。そして、搭載兵装や性能も公開された。


F/A-4 -予想性能
・エンジン・・・F9-IHI-20エンジンを双発で搭載。XF9-1エンジンに推力偏向ノズルを付与し耐久性の向上がなされている。
・レーダー・・・将来戦闘機向けに開発されていたレーダー技術を流用。また、F-15Jに搭載されている火器管制システムをさらに発展させたものを搭載する。
・兵装・・・固定兵装として20mm機関砲を1門。さらにF-2並みのミサイル搭載数を誇る。搭載可能兵装は運用中のAAM・ASM・爆弾など


海上自衛隊には現時点での計画に変更は特になされなかった。もともとほとんど国産化を達成しており、一部の兵装が国産化するための研究を開始するにとどまった。





コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品