日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第40話



日本政府は戦闘行為がもう勃発しないと判断していた日バ戦争において、戦闘が再発したことを受けて、北青原駐屯地よりCH-47JAによる本格的な普通科の展開を計画し始めた。
また、佐世保基地のアメリカ海軍第7艦隊揚陸部隊第11揚陸隊所属のワスプ(LHD-1,強襲揚陸艦)にも出撃要請が下った。現在、在日米軍は原則としてアメリカ臨時政府と新たに交わされた日米有事調整条約に基づき日本政府・防衛省のコントロール下に入っている。


日米有事調整条約は、日本が地球とは異なる惑星に転移したこの現況において在日米軍を指揮下に置けることになっている。実際には"調整"の名のもとに臨時米国政府に拒否権は付与されているものの、拒否権を行使することすなわち、日本政府からの支援の打ち切りを意味している。
この条約は、日本が地球に存在していない状態に限定され発動されるもので、いかなる日米間で交わされた条約よりも優先権が存在していることになっている。


話は戻り。現況において稼働状態にあったワスプに白羽の矢が立ち、なおかつ収容能力も良好であることから、北青原駐屯地所属の戦車部隊、特科部隊のほか中央即応連隊の輸送も担うこととなった。
また高い航空運用能力から、北青原駐屯地のヘリ部隊及び在日米軍海兵隊第1海兵航空団第24海兵航空群所属のAH-1WとUH-1Yが航空戦力として参加する。現場空域の制空権は引き続き北青原駐屯地第309飛行隊と応援の新田原基地第305飛行隊であった。






再戦より9日後。
CH-47JAの6機の編隊が、オルバナ国境(略してます)より25Km地点に降り立った。これにより、いままでの輸送実績と合算して2個普通科中隊が緊急展開を行った。
それと同時に、10式戦車が20両とFH-70が4門、それに付随する弾薬運搬車やWAPC(B)が25両とその他燃料タンク車などの車両が戦場に到着をした。


これにより、残留部隊を含む現地部隊は本格的な攻勢に出ることを決定した。


まず初めに、対戦車ヘリによる制圧射撃を実施する。
AH-1SとAH-1Wが敵の地上部隊に20mmの雨を降らす。
戦場では歩兵たちの悲鳴が響き渡り、完全に統率を失う。
自衛隊は残念ながらガンポッドを装備していなかった(所有していない)が、米軍のAH-1Wはガンポッドを装備して対地能力を強化していた。


それと同時に、特科の遠距離射撃と普通科の前進が始まる。
特科は計6門のFH-70を最大射程で射撃をする。


しかし、評価するOH-1から、「効果なし」との報告が上がる。
自衛隊はその報告を受けて首を傾げた。






バナスタシア帝国陸軍 現地部隊
「なんだあの空を飛んでいるものは!」
「馬鹿なこと言ってないで、塹壕に身を隠せ!死ぬぞ」


現場の兵士たちはAH-1S/Wの攻撃に混乱した。ヘリコプターという概念が散在しない彼らは、あれが何かがわからないのである。
しかし、本能的に周りの兵士たちが死んでいっているのを目にして、塹壕に身を隠す。


兵士たちはヘリのローター音と機関銃の射撃音に恐怖を覚える。


しばらくすると、ヘリは弾薬補充のため帰投していった。


「よし。あの変なやつがいなくなった。全軍態勢を整えろ」


指揮官が全体に対して無線(魔導通信機)を通じて命令を下す。訓練された帝国陸軍は早急に態勢を整えた。
しかし、またもや悲劇が襲う。


うるさい爆裂音とともに、兵士たちが次々と倒れていく。


「魔導部隊!上空に防御魔法展開」


魔導部隊と呼ばれる兵士たちは、後方で幻想的な光を伴いながら魔法を展開していく。
魔法と呼ばれるものは、一度展開すれば効力を失うまで継続する。そのため上空に防御魔法の層を作って対応する。
欠点は、魔導通信機の性能が低下して遠方との通信が出来なくなることや、こちらも上空に向けて攻撃が出来ないことである。


「よし。防御成功。機関銃による射撃を再開。敵の部隊の前進を防げ」


自動式の機関銃は水冷式で銃架に車輪がついていた。そのため塹壕戦であったこの戦場においては移動が難しかった。そのため専ら固定砲台としての運用であった。




一方陸上自衛隊は普通科の展開を完了させた。
普通科の装備は標準的なもので、1分隊に1つしかないMINIMIとWAPCのM2ブローニングが主な火力となる。


「前線部隊、前進開始」


普通科の隊員たちは、弾幕を張りながら敵陣に慎重に歩み寄っていくのであった。

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