日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第14話

呉港
新法案可決から数日後。呉港にはオルスター王国に向かう使節団を護衛する艦艇や人員が集結していた。食糧輸送艦隊は2度目の任務で今回の使節団の派遣艦隊に同伴する。
今回参加する艦艇ははやぶさ型ミサイル艇2隻、輸送艇1号型1隻、輸送艦おおすみ、護衛艦たかなみ、護衛艦てるづき、護衛艦かがの7隻が投入される。なおかがの艦載機はSH-60K/7機、MCH-101/3機、F-35B/3機が搭載され、たかなみ、てるづきにもSH-60Kが1機づつ搭載される。
ちなみに、付随する自衛官は議論の結果、最終的に10人となった。内訳としては前回派遣時に得た情報から、オルスター王国側で用意される車両は3人乗りと判明したため、赴く外務副大臣と補佐官2名の警護にそれぞれ2人づつ。(なおそれぞれ第1空挺団より派遣される。)そして軽装甲機動車を2台投入し、そこに2人づつ乗車する。なお、今回投入される車両はイラク派遣で使用されたもので、改造が施されているものである。これにMINIMIと追加の燃料を装備している。
なおこちらは普通科から4名派遣されている。車両は今回特別に派遣される輸送艦おおすみと搭載艇のLCACを用いて運ばれる。
今回の作戦は事前にオルスター王国側に通達をしている。以前巡視船が攻撃を受けたことから日本側の警護強化についても理解を示していて、オルスター王国領海からは海軍の艦艇も同伴してくれるとのこと。また、アトラン港から王都カスティアまでは王国陸軍の警護がつくという。






翌朝
東京国際空港(羽田空港)から日本航空のチャーター機でやってきた外務副大臣と補佐官は公用車で呉港まで移動し、そこから輸送艦おおすみに乗船する。オルスター王国付近からはLCACで移動する予定だ。
「では本日はよろしくお願いします」
阿須あす外務副大臣が挨拶をし、自衛官たちも礼をする。
「では乗船いただきましょう。どうぞこちらへ」
輸送艦おおすみの艦長が案内をする。輸送艦おおすみ以外はすでに洋上で待機をしている。外務副大臣の乗船と同時に護衛の自衛官や軽装甲機動車が乗船し、出港準備が整えられる。


「艦長、輸送艦おおすみは搭載を終え呉港を出港いたしました」
「了解。全艦に通達、作戦開始」
今回も旗艦となる護衛艦かがは本任務の司令部の役割となっている。オルスター王国側の動向もこちらで管理し緊急事態に備えている。


「オルスター王国ってどんな国なんですかね」
副大臣の阿須が疑問を呈す。
「私は約二週間ほど前に訪れましたが、中世イタリアを思い浮かべましたね。見たものといえばレンガ造りの建物や馬車などですね。でもその馬車が30~40Km/hほど出ているように感じられました。また、王国側から魔法との説明がございましたが、一般の民がその魔法とやらを用いて船の接岸作業をするなど、日本では考えられない現象が起きていましたね」
棚里 浩司大臣補佐官が返答をする。棚里は以前に外交官としてオルスター王国に訪問した後、次回訪問時の参考になればと臨時の補佐官に抜擢された。
「馬車ってせいぜい10Km程度だっけ?あんま歴史は詳しくはないですけど。ならその魔法という力がはたらいているのかもな。とりあえず、両国の資料を提示するときにその魔法のことも聞いてみるか」
「日本のさらなる技術向上につながるかもしれませんね」
「それにしても私は護衛艦に初めて乗船しましたが、乗り心地は案外快適なものだな」
「ええ、こんな大きな船だからですかね。船のことは専門の人に尋ねるのが一番だとは思いますが」






数時間後
「本船前方右舷より、船舶が2隻接近中」
「今回はオルスター王国海軍であってほしいが。全艦対艦戦闘用意、目標右舷前方18Km不明船2隻、攻撃を受けない限りは敵対行動を避けろ」
護衛艦隊に2隻の艦船が近づいてきた。今回は事前に通達をしていて、予想通過時間も伝えてある。そのため定刻通りに来た派遣艦隊であった。
「外交官一行にも通達しますか?」
「ああ。万が一の戦闘行為に備えて伝達しておいてくれ」


「目標視認、目標両船ともに軍艦と思われる。砲はこちらに向いていない」
「資料よりオルスター王国海軍と断定」
艦橋の船員から次々と報告が挙げられる。
「対艦戦闘用具納め、ただし警戒は厳となせ」
艦長が指示を出す。海軍の船舶に近づいて一緒に航行する予定である。
「面ー舵」
しばらくし、船が回頭する。
「取ー舵」
適当な角度まで回頭したため、あて舵を行う。その後、抑えにかかる。
「戻ーせー」
「面舵にあてー」
「戻ーせー」
一連の動きを経た後、ちょうど海軍船が艦隊の右舷に位置した。
「艦長、拡声器にて意思疎通を図りますか?」
「そうしてくれ」


その後、甲板より特別に配備された大型拡声器より意思疎通が行われ、無事に一行はオルスター王国アトラン港までたどり着けたのであった。

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