日本は異世界で平和に過ごしたいようです

こああい

第10話

日本の異惑星転移を受け、各省庁では事務処理に追われていた。
災害対策基本法第108条の3により、昨日から食糧については輸入先が確定していない肉類と、石油などの燃料などについては政府による統制が行われていた。
国会では野党の批判こそあれど、国民の不安を考慮していたのかそれほど反発の声も上がらなかった。ちなみに陸上自衛隊及び海上自衛隊には治安出動待機命令が下されている。


ちなみに経済産業省と防衛省、内閣府などなどでは連日官僚たちが血のにじむような努力によって書類作成をしていた。この国は大統領の一声で物事が動く国ではないのだ。書類をいろんなところに通してようやく重い腰を上げれる。
ちなみに、官僚たちは「この国には3分で絶品のラーメンが食えるのだな」「あれ?何か不思議なものが見えるぞ」などと発する者達も居たとか。
おかげで各省庁はどこも同じ光景になっていた。ゴミ箱からはカップ麺の残骸が溢れ、深夜になっても明かりが消えることはなく室内は異臭で充満したとかなんとか。(主に汗とか)
その官僚たちによって日本はそれなりの安定した日々を過ごせていた。


首相官邸 
「では閣議を始めます。本日の議題は異惑星に対応した法整備および各資源の状況についてです」
「ではまずは防衛省から。武器弾薬については温存を指示し、出来る限り節約を実施しています。それと在日米軍には日本領海外の航行自粛を要請しています。なお派遣艦隊に関しては、正当防衛射撃の実施により敵船を艦砲射撃で撃沈、新たに現れた飛行体、調査では古代の飛竜に類似するものの見られていますが、20㎜の機関銃では効果がないと認められたため、対空ミサイルを使用し撃墜したとのこと」
「武器弾薬については原材料の輸入のめどが立つまでよろしく頼む。しかしいくら正当防衛射撃って言ったからって対空ミサイル使っちゃったのはまずいな。在日米軍の自粛については何故だ?」
「はい、まずは外洋での軍事衝突などが発生すれば我が国としては窮地に立たされる恐れがあるためです。また、在日米軍にもゆくゆくは自衛隊との共同行動を要請するかもしれませんので、自衛隊の優位性は保っておきたいのです。なお米軍は3日前に自粛要請をし、2日前からは各定係港でおとなしくしているようです。」
「まぁ日本の優位性は保っていないと後にどんな要求をされるかわかったもんじゃねぇからな」
総理大臣が口をこぼす。その次に経済産業大臣から報告が上がる。
「まぁアメリカはたまにえげつい要求かましてきますからな。あ、経済産業省からは金属資源についてご報告させていただきます。現在、金属使用については出来る限りの自粛をさせていただいています。なお防衛産業に関係している企業に対してはこの限りではありませんが。なお、このままのサイクルでいけば、半年強は持つのではないかと。なお、石油等に関しましては160日ほどの貯蓄しかございませんので、3か月後には輸入先の打診をいたしたいですね」
「異世界にも石油を含む戦略物資ってあるのか?」
そうりが 疑問を呈する。
「それは現地に調査隊をおくらないと何とも。すぐにでもオルスター王国の許可が下りれば向かわせます」
「内閣法制局からよろしいですか。異惑星に転移したため、現行の憲法および法律では国民の安全を十分に守り切れるものではありません。在日米軍に関しましても戦力の期待はできませんので、憲法改正の手続きを近々行いたいと思います。しかし、憲法改正の施行には幾分か時間がかかりますので、特例措置の実施を提案いたします」
「憲法改正か...幸い衆参両院で一部野党に根回しすれば3分の2まで達するとは思うけどな...とりあえず特例措置の施行は考えますか。これ以上自衛官や保安官の犠牲者は出したくない。そういえば派遣艦隊は帰投できそうなのか」
総理が尋ねる。
「はい。巡視船こうやがエンジン1基のみでの航行となりますが、なんとか帰投は出来るとのことです。ちなみに総理、撃沈した敵船の乗員及び船体などはどうしましょう?」
「そうだなぁ。乗員は捕虜取扱い法で勾留しますか。船体はオルスター王国の許諾が得られたら引き上げてくれ。もしかしたら未知のテクノロジーがあるかもしれないしな」
「分かりました。では防衛省のほうで船体の調査は担当いたしてよろしいですか」
防衛大臣の提案に異論を唱える者はいなかった。
「異議はありませんね、調査を防衛省で致します。何かありましたらまた発表いたします」
「次に人工衛星の件について...」

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