小学生のぼくは日記を書くことにした

文戸玲

学校で優先順位で動いた


 今日の帰り道,不思議なことが起こった。

「コウシくん,今日はなんだかおかしいよ」

と三浦くんがぼくに言ったのだ。なにがおかしいのか問いかけると,なにかに追われているみたいだと言った。ぼくにはそのつもりが一切ないのだからそんなことはないといったのだが,話の中で分かったことは,ぼくが優先順位を決めながら行動していることが不思議に映ったようだったのだ。
 これはおかしなことだと思った。ぼくが読んだ本は夢を実現するための本だったからだ。夢の実現のためには人に不思議がられるという道を通らなければならないのだろうか。しかし,これは大変大きな矛盾を含んだものである。ぼくは佐藤さんと仲直りしたいにも関わらず,他とは違った変な人と見られるわけだから,これでうまくいくはずがない。
 
「コウシくん,それは手段と目的を取り違えたことによるものだよ。コウシくんは目標を実現するために,夢を実現するための」

ぼくが最近読んでいる本について話をすると,三浦くんはそう言った。さすが三浦くんだ。いつもぼくの一つ先を言っていて,物事の本質を捉えている。今日もぼくの根本が間違っていたことを気付かせてくれた。今読んでいる本を読んで実践し終わったら,今度は三浦くんが読んでいる本を紹介してもらおうと思う。

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