小学生のぼくは日記を書くことにした

文戸玲

正直すぎることは時には良くない


 ぼくは佐藤さんに,三浦くんの家でなつみさんのおっぱいに取りつかれていること,それを再び見に行って自分に打ち勝とうとしていたことを説明した。すると,驚くべきことに佐藤さんは,知っている,と言った。佐藤さんは他のクラスの女の子と違って賢い人だとは思っていたけれど,まさか人の心を読む力があるとは思わなかった。続けてぼくは,そんな自分を変えるために”主体的な人間になる”という行動をとることを伝えた。”主体的”とは”自分の意志で”ということなのだと伝えるとまた,知っている,と言った。佐藤さんは賢いのだ。そして,これからは何かに反応して動くのではなく,”主体的”におっぱいを見るということを伝えると頬を赤くする羽目になったわけだ。
 三浦くんは「正直すぎるのは時には良くないことがある」と言った。確かにそんなこともあるのかもしれない。さすがはジンカクシャだ。嘘をつくのは良くないとだけ考えていたぼくより一つ先へ行っている。

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