三日月
(44) 熊邸
40分ほど車を走らせると、目的地の山下自動車へ無事到着したのだが、着いた場所はL字型の建物で古くはあるが予想外に大きい。
向かって右手の修理工場では若いスタッフが5人ほど働いているのが見える。
そして左手4階建のビルには1階がオベント屋さんになっていて、その名も熊だ!
突っ込みどころがあり過ぎて、どれから手を付けて良いのか、ココハちゃんの言った通り引き出しが多過ぎだ。
車から降りる山下くんに、従業員が挨拶していている様子は、ヤクザの若頭的な感じにも見え、これにも突っ込みを入れてしまいそうだ。
「ココハ、送って来てくれたお礼に鍵を貸してくれたらワックスとガソリンを入れておくことができますが、どうですか?」
「お願いします」
   と、ココハは恐縮しながら鍵を手渡す。
「それと泊めてもらったお礼もしたいし、弁当で良ければ、すぐ食えるけど」
   カズが第一声
「腹減った、食いて~」
「じゃ、行こう。メニュー見て、何でも好きなもん選んでくれ」
    店内には、グラム売りになったお惣菜や、1個から買える揚げ物類、おにぎり、巻物のご飯類、そこは腹ぺこ男子の楽園そのものだ。
そして、お弁当はメニューからオーダーすることが出来るようになっていて、3人は一番豪華な幕内に決めた、山下くんは裏メニューペシャルだ!と、特別注文すると奥から「お!兄貴、朝帰り?」
と、弟らしき熊が顔を出す。
「お!ヒロキ忙しくないか?味噌汁もヨロシク!」
「昼過ぎたから暇だよ!部屋戻るついでに上に運んでく。上で待ってて!」
「悪いな、よろしく」
   皆んなも挨拶した
「ヒロキさん、ありがとうございます。よろしくお願いします」
山下くんは振り向くと
「よし行くか」と、レジ横のエレベーターに乗り3階を押す
着いたのは自宅の玄関と兼用になっている旅館の入り口のような雰囲気の所で、一応靴箱やスリッパもあったが勧められるまま土足で奥へ進むと、男子寮をイメージさせる広いダイニングが見えた。
そこからお手伝いさんのような優しそうな女性がエプロンで手を拭きながら出て来て
「お帰りなさい、店長は仕入れに行かれました。こんにちは、いらっしゃい。皆さんお茶で良いですか?」
と、訪ねて来た。
それに対し全員
「はい、お願いします」と返事をする。
「松さん、ありがとう。今から皆んなでお弁当を食べるんだ。ヒロキが運んで来てくれます」
ニッコリうなずくと、松さんと呼ばれた女性は、奥の方へと消えて行った
30畳ぐらいある食堂スペースの壁には、病院の待合室のようにソファーが並べてあって、大きく2つある本棚に無数のマンガの本が並んでいる。
それに、カズは食い付いていた。
そして10人掛けのテーブルが2つと、4人がけの丸テーブルが1つあり昭和の香りがするビニールテーブルクロスがかぶせてある。
そのテーブルの柄が赤のチェックで中心には、2箇所とも小ぶりの洒落たアレンジフラワーが飾られていて、フランスのカフェ風にも見えなくはない。
その丸テーブルの方に4人は座ると、これから突っ込みの餌食となる山下くんへ3人の視線が集中し、注目された熊は両手を広げて肩をすぼめ
「熊の寝床へようこそ」と言って見せてくれた。
そんな山下くんに皆で親しみを込めた突っ込みを、さんざん入れた後、カズは立ち上がり、外の景色を見に窓へと行ったので私とココハちゃんも後に続いた。
4階からでは、同じくらいの高さのビルが多くてゴミゴミしていて、あまり景色は見えなかった。
「屋上行くか?風が気持ちいいぞ」
山下くんに勧められて階段に行きかけると、ヒロキくんのお弁当と、松さんのお茶がタイニング良く届いたので
「先に食うか?」と言う話になった。
ヒロキくんは、山下くんと同じく長身なのだが少し細身で、外見はセットされた髪型も今時の若者といった感じだ。
彫りの深い2人が並んで立つと、迫力があり、これが4人居たら威圧感ハンパないはずだ。
そのとき何かを閃いた様子のカズが、ヒロキくんに向かって
「赤パジャマ、青パジャマ、黄パジャマ」
と、突然言うとヒロキくんは大爆笑して、お弁当をテーブルに置きながら明るく話す
「そう、オレ青パジャマのヒロ!兄貴何話してんだよ」
ココハちゃんも笑いながら質問する
「お兄さんは何色パジャマ?」
「緑」
なるほど、4人兄弟のパジャマの色だったのか?
「カズよく気がついたわね。」
「うん、そうだったら良いなって思っただけ」
なんかカズって、いつの間にかひねくれたトコが消えて人当たりがソフトになったな、進んで人と関わるようになった。
付き合う友達の影響力ってすごいわね、環境って人をこんなにも変えるものなんだ。
暖かいものが、しみじみとそして優しく、私の胸を包み込んで行く。
「どーぞごゆっくり!こんな美しい方が2人もいらしたらスタッフがざわついていることでしょう」
ニッと笑って、立ち去った熊弟くんの言葉が私をもっと心地よくさせてくれた
お弁当を食べると、屋上へ行った。
そこは彼が言った通り涼しい風が吹いて 見晴らしもよく、三木谷建設の屋上のようで熊の縄張りに親しみを感じるのだった
帰りは1日自動車保険に入った山下くんが運転して会社まで帰ることになった。
運転中の彼の話はこうだ
「オレはバイク通勤なんだ、会社までバイクを取りに行かなければいけない。しかし今日は荷物を持ってバイクには乗れないので、車で送ってもらって助かった」
それを聞いた私は
「ウソばっかり」
と言いたかったが、グッと我慢した。
帰って来ると、明日の動物園の約束を済まし、先に私達を下ろしてくれると
「お茶でも呑みに行くか?」と、盛り上がっている2人とは別れた、カズとは5:15に家の前で約束をして、儀式をしてから別れた。
向かって右手の修理工場では若いスタッフが5人ほど働いているのが見える。
そして左手4階建のビルには1階がオベント屋さんになっていて、その名も熊だ!
突っ込みどころがあり過ぎて、どれから手を付けて良いのか、ココハちゃんの言った通り引き出しが多過ぎだ。
車から降りる山下くんに、従業員が挨拶していている様子は、ヤクザの若頭的な感じにも見え、これにも突っ込みを入れてしまいそうだ。
「ココハ、送って来てくれたお礼に鍵を貸してくれたらワックスとガソリンを入れておくことができますが、どうですか?」
「お願いします」
   と、ココハは恐縮しながら鍵を手渡す。
「それと泊めてもらったお礼もしたいし、弁当で良ければ、すぐ食えるけど」
   カズが第一声
「腹減った、食いて~」
「じゃ、行こう。メニュー見て、何でも好きなもん選んでくれ」
    店内には、グラム売りになったお惣菜や、1個から買える揚げ物類、おにぎり、巻物のご飯類、そこは腹ぺこ男子の楽園そのものだ。
そして、お弁当はメニューからオーダーすることが出来るようになっていて、3人は一番豪華な幕内に決めた、山下くんは裏メニューペシャルだ!と、特別注文すると奥から「お!兄貴、朝帰り?」
と、弟らしき熊が顔を出す。
「お!ヒロキ忙しくないか?味噌汁もヨロシク!」
「昼過ぎたから暇だよ!部屋戻るついでに上に運んでく。上で待ってて!」
「悪いな、よろしく」
   皆んなも挨拶した
「ヒロキさん、ありがとうございます。よろしくお願いします」
山下くんは振り向くと
「よし行くか」と、レジ横のエレベーターに乗り3階を押す
着いたのは自宅の玄関と兼用になっている旅館の入り口のような雰囲気の所で、一応靴箱やスリッパもあったが勧められるまま土足で奥へ進むと、男子寮をイメージさせる広いダイニングが見えた。
そこからお手伝いさんのような優しそうな女性がエプロンで手を拭きながら出て来て
「お帰りなさい、店長は仕入れに行かれました。こんにちは、いらっしゃい。皆さんお茶で良いですか?」
と、訪ねて来た。
それに対し全員
「はい、お願いします」と返事をする。
「松さん、ありがとう。今から皆んなでお弁当を食べるんだ。ヒロキが運んで来てくれます」
ニッコリうなずくと、松さんと呼ばれた女性は、奥の方へと消えて行った
30畳ぐらいある食堂スペースの壁には、病院の待合室のようにソファーが並べてあって、大きく2つある本棚に無数のマンガの本が並んでいる。
それに、カズは食い付いていた。
そして10人掛けのテーブルが2つと、4人がけの丸テーブルが1つあり昭和の香りがするビニールテーブルクロスがかぶせてある。
そのテーブルの柄が赤のチェックで中心には、2箇所とも小ぶりの洒落たアレンジフラワーが飾られていて、フランスのカフェ風にも見えなくはない。
その丸テーブルの方に4人は座ると、これから突っ込みの餌食となる山下くんへ3人の視線が集中し、注目された熊は両手を広げて肩をすぼめ
「熊の寝床へようこそ」と言って見せてくれた。
そんな山下くんに皆で親しみを込めた突っ込みを、さんざん入れた後、カズは立ち上がり、外の景色を見に窓へと行ったので私とココハちゃんも後に続いた。
4階からでは、同じくらいの高さのビルが多くてゴミゴミしていて、あまり景色は見えなかった。
「屋上行くか?風が気持ちいいぞ」
山下くんに勧められて階段に行きかけると、ヒロキくんのお弁当と、松さんのお茶がタイニング良く届いたので
「先に食うか?」と言う話になった。
ヒロキくんは、山下くんと同じく長身なのだが少し細身で、外見はセットされた髪型も今時の若者といった感じだ。
彫りの深い2人が並んで立つと、迫力があり、これが4人居たら威圧感ハンパないはずだ。
そのとき何かを閃いた様子のカズが、ヒロキくんに向かって
「赤パジャマ、青パジャマ、黄パジャマ」
と、突然言うとヒロキくんは大爆笑して、お弁当をテーブルに置きながら明るく話す
「そう、オレ青パジャマのヒロ!兄貴何話してんだよ」
ココハちゃんも笑いながら質問する
「お兄さんは何色パジャマ?」
「緑」
なるほど、4人兄弟のパジャマの色だったのか?
「カズよく気がついたわね。」
「うん、そうだったら良いなって思っただけ」
なんかカズって、いつの間にかひねくれたトコが消えて人当たりがソフトになったな、進んで人と関わるようになった。
付き合う友達の影響力ってすごいわね、環境って人をこんなにも変えるものなんだ。
暖かいものが、しみじみとそして優しく、私の胸を包み込んで行く。
「どーぞごゆっくり!こんな美しい方が2人もいらしたらスタッフがざわついていることでしょう」
ニッと笑って、立ち去った熊弟くんの言葉が私をもっと心地よくさせてくれた
お弁当を食べると、屋上へ行った。
そこは彼が言った通り涼しい風が吹いて 見晴らしもよく、三木谷建設の屋上のようで熊の縄張りに親しみを感じるのだった
帰りは1日自動車保険に入った山下くんが運転して会社まで帰ることになった。
運転中の彼の話はこうだ
「オレはバイク通勤なんだ、会社までバイクを取りに行かなければいけない。しかし今日は荷物を持ってバイクには乗れないので、車で送ってもらって助かった」
それを聞いた私は
「ウソばっかり」
と言いたかったが、グッと我慢した。
帰って来ると、明日の動物園の約束を済まし、先に私達を下ろしてくれると
「お茶でも呑みに行くか?」と、盛り上がっている2人とは別れた、カズとは5:15に家の前で約束をして、儀式をしてから別れた。
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