三日月

ghame

(21)乳牛

 
 頬杖ついたまま、こんなところで間抜けずらして眠り始めた私の家のお隣さんは、彼女なんてすぐ出来ると思うし、練習代にするならもっと参考になる人にするべきだと思うんだけどな。
 きっと、カズはハサミと言う美容室のあの綺麗な女性のことが気になってるのね、、手強そうだけどこんなに頑張ってるんだから幸せになって欲しいな。


 しばらくして、あたりが騒がしくなったので目を覚ますと 視界一杯に熊が出た。

「わあっ!」としてから現状確認すると、エリとスタバにいたはずだ熊がいるはずがない。

「桜井くん。今日は違う女性の横で寝てるんですか?」
「わっ!お前バカっ!いや主任。寝たって言うな!」
「また寝たのか?今日も寝たのか?昨日の美女美容師の時も寝たんだろ?お前、女となったら見境ないな!」
「お前さ、周りが誤解するようにわざと言ってるんだろ。エリがギョッとしてるから、誤解とけよ!」
「佐藤課長をタメ口って、桜井くんなんだか偉い人だったんですか?」

「エリって課長なのか?」
「そう、経理課の課長が部長になって古株で総合管理出来る人が他にいないからしょうがないのよ。仕事内容自体は同じだから、呼び方が益々としおり臭くなっただけよ。」
 屋上の鍵が自由になるのも、主任の仕事のフォローも役職任務って言う事か? 優等生のエリなら、適任だ。

 熊は、窓に向かったカウンター席に並んで座っているオレたちのエリ側に腰掛けて、スマホを開いて見せながら話し始める。

「課長、明後日の桜井マシーンの歓迎会の話は聞いてますか?場所がいつものところなんですが時間は6時から3時間で予約してあります。受付の三木谷さんもまだ慣れてないでしょうし親睦会も兼ねているので二次会も予約しますか?こことか考えているんですけど」
「こら、山下マシーン。桜井マシーンってなんだよ!全く失礼なやつだな!」
 山下無視する
「課長、ハッピーバースデーイブ去年のお誕生日ナイトは、私のミスに遅くまで付き合って年に一度の貴重な夜を私が独占してしまって申し訳ございません!今年は、誰より早くお祝いが言いたいと思っていました。佐藤課長お誕生日イブ、おめでとうございす!」

「イブってなんだよ!佐藤課長様を おちょくってるのか?イブって言わずに明日おめでとって伝えろよ!大体、山下マシーンの分際でエリの隣に座るな!立ってろ、気を付けの姿勢で立ってろ!」
「そー言う桜井は、横に座って良いのかよ!
「オレは良いんだ。エリが北海道から越してきた時から隣に住んでて、お前と違ってもう何十年も隣にいるんだよ!」
 こんな奴がオレよりエリを知ってるなんて腹立たしい、深夜のオフィスでお誕生日に2人っきりって、なんだよ熊が盛ったら食われるぞ!

「課長、こいつはストーカーですよ!隣ん家から、もうすっごく覗いてますから気をつけてください。この顔に騙されちゃいけません。」
 エリが吹き出す
「何それ?2人で打ち合わせて来た余興?とっても笑えたわよ!」
「エリダメだ、熊の前で笑うな。笑顔なんて見せるのはもったいない。」
「なんだと!オレは課長を1日一回笑わせて、その笑顔を拝むのを楽しみにしてるんだ!ギャップ萌え。」
 お前もか?オレもだ。
「2人とも、ウソばっかり。バカじゃない??」

「はい、2人共もう余興は終わり!!山下主任、二次会の場所良いと思います。一次会と二次会どのくらいの人数集まるの?私も社内報に出席お返事を出しておいたわ。それで三木谷社長と、部長も出席かしら?一次会の飲食代は、会社から全額分負担するので会場とのやり取りはやっておくわね。」
 それから2人は軽く打ち合わせをしていたので、オレはその間雑誌を見ることにした。
 正直全く興味が無く、雑誌を買った事も後悔していてパラパラめくっていたところに、熊が口を挟んできた。
「もう夏服の季節か?ショートパンツが良いな。オレは、生足が大量に出る方が見る方としてはお得感があって良いと思う。スカートも良いけどパンツの方がもっと露出してて、コレに勝てるのはブルマだけだと思っているんだが、ブルマで歩いてる女性はまだ見たことが無いんだ。桜井、お前は見た事あるか?」
「山下マシーン、お前アホだろ?女の生足のことばっか考えて仕事してるからミスしてエリに迷惑かけるんだよ!」

「ところで、主任はどんな女性が好みですか?」
「おっ!楽しい話が始まったな。それは、大体普通と同じなんだけど、優しくて、可愛くて、料理上手で、ボインで、エロくてってトコじゃないか?」
「それは乳牛ですね?お目が高い!」
「アホか?乳牛は料理してくれねーだろう!」
「いや、きっと山下マシーンよりは料理はうまいはずですよ?」
「さっきから  ちょこちょこ上司に向かって失礼だが、山下主任と呼びなさい!」
「なんか、主任になんて聞くんじゃ無かった。参考にならない。」
「そう言うお前の好みは、どんな乳牛なんだよ?」
「そうだな。それがさ、彼女作るより、こうしてタバで昼寝してる方がむいてるんだよね。どこにいるか分からない彼女探す労力が無駄で、それを考えただけで面倒だ。まず好みすら分からない人を探して、見つかったら交際申し込んで、振られてを何回繰り返したらゴール。って正確に振られる回数さえも決まってねーんだろ?それが男かも、外国にいるかも知れねーし。」

「大丈夫だ、彼女は牧場の草原でうまそうに草を食ってる。どこの国にも山の様にいるぞ!」
「全く、真面目に話して損したよ!オレの時間を返せ!」
「ルセーぞ、イケメンの言うことは贅沢でいかん。」


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