AI暴走中!~ 暴走する悪意のAIに少年と少女と猫がコトバの魔法で挑みます!

けーすけ@ティーン向け教材クリエイター

第1章-第33話 狡猾

「そもそも『嗅覚スメール』は格下かくしたおれはヤツのように油断ゆだんすることはない。おまえらみたいな青二才あおにさいでもなさ容赦ようしゃなく全力ぜんりょくたおしにいくからな」


 こう一瞬いっしゅん藍色あいいろ水馬すいば姿すがた見入みいってしまったものの、すぐにわれもどす。


 しかし、久愛くうのことがになるあまり、それ以降いこうてき分析ぶんせきをするこころ余裕よゆうがなかった。


(ま、まさか、久愛くう洗脳せんのうされてしまったのか)


 いまだたおれたままうごかない久愛くうこうあせり、恐怖きょうふすらおぼえる。



こうさん、いてください。まだ大丈夫だいじょうぶです。久愛くうさん本人ほんにん指輪ゆびわはずれていませんでした。洗脳せんのうされていたらゆびのリングは自動的じどうてきはずれます。てきたおせば久愛くうさんはすくえます」


 AIエーアイコウがこう助言じょげんする。


「わかってる」


 ぶっきらぼうにこたえるも、冷静れいせいさをいていることをかえりみる。


(だめだ、かないと……)


 久愛くうをまだたすけられるということがかってほっとしたのもあって、こころかせようとかせる余裕よゆうができた。




 ところが、である……。




「ヒヒヒヒヒン、そうそう、はやくしないと、あとすこしで洗脳せんのうはじめるぞ。まぁ、おまえをおびきせるためにわざと洗脳せんのうしていなかっただけなのだがな」


 そういうと、藍色あいいろ水馬すいばは、その前足まえあし久愛くう自身じしんみつけた。



 プチン。 



 それをたりにしたこうは、なにかがれたような感覚かんかくにおちいった……。


アジョンの攻撃こうげき本体ほんたい物理的ぶつりてき効果こうかはないとかっていたはずなのに……。


てき挑発ちょうはつしていただけなのはあきらかなのに……。


 せっかく冷静れいせいさをもどしつつあったこうだったが、『味覚テイスト』の策略さくりゃくにまんまとはまり、ふたた激昂げっこうしてしまう。



「やめろぉ、よくも久愛くうを……」


嗅覚スメール』にくらべてはるかに狡猾こうかつな『味覚テイスト』は、屈強くっきょうそうな容姿ようしつかわしくないほど、心理的しんりてききにけていた。





コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品