強くてニューゲームができるらしいから ガキに戻って好き勝手にやり直すことにした 

カイガ

第2話 ④

*エロ描写あり




 もちろん女遊びだけじゃなく、部活でも大成功を収めた。

 春の終わりには、府大会につながる地区予選会が行われた。
 昔の俺は400mに出たわけだったが、今回は200mで行く。俺は今も短距離種目は200がいちばん楽しめると思ってるからな。200で天下を獲るって決めてるからな。

 で、全国大会への第一歩となるこの予選会では、俺が難無く1位を獲った。記録22秒30を出して2位の奴に1秒以上差をつけた。
 その2位の奴は近大付属のエースであり、昔の俺にとっては敵わないレベルだった。今となってはそいつに大差つけて勝てるようになった。ズルしている俺と違って実力で23秒前半を出しているそいつには敬意すら抱いている。だから申し訳なくは思っている。
 だが許して欲しい。俺はズルしてでも天下を獲りたいんだ...。


 その約2ヶ月後、夏休み前の時期に通信大会という、都道府県大会とは色が少し違う大きな大会が行われた。
 この大会で全国大会への出場条件となる標準記録を突破すると、たとえ府大会で敗退しようとも全国へ出場できるのだ。この試合では2種目登録することができ、これで100mと200mあるいは400mと200mという感じで全国に挑戦できるのだ。
 しかし俺はあえて200m1本に絞った。まぁ覚悟というやつだ。100mも400mも適当な記録会や大会でゆるりと出て記録を出せば良いからな。

 そういうわけでこの通信大会もしっかり1位を獲った。22秒22だった。


 その約10日後に大阪府大会が行われる。この頃には俺はかなり注目選手として見られていた。昔の俺では全く敵わず・話す機会もなかった大阪の猛者たちにも声をかけられた。とても新鮮な気持ちだったなぁ。他校の選手たちとたくさん会話するなんて、昔の自分にとっては到底想像できないことだったから。どんだけぼっちで人見知りだったのやら。

 しかし俺の快進撃も、近畿大会でストップした。俺はその大会では2位だった。
 1位を獲ったのは、後に100mで日本人初の9秒台をマークする男。彦根出身の短髪男子......柳生秀吉《やぎゅうひでよし》だ。

 彼のレースを初めて直で見たのは高1の秋だった。一言で表すと「異次元」のスピード。リレーでも、アンカーの彼がバトンが渡った瞬間、5秒後にはで走っていた選手を抜いて大差をつけていた。その頃から彼は「ジェット機」と呼ばれていた。
 2020年代を過ぎた時代でも、彼が出した100mの日本高校記録は未だ破られていない。同年代だからこそ尊敬している選手だ。
 チート使っても彼には今回は負けてしまった。やっぱり凄いわあの男は。レース終了した直後は、これから有名になる柳生と握手してもらった。もしかすると将来俺は彼と世界の舞台で競い、リレーで一緒に走るやもしれないからな。それに備えてのよろしくの握手だ。

 「よろしく。今度は全国で」
 「おう、よろしく。また走ろう」
 
 これだけを見れば、全国大会では俺と柳生との一騎打ちになるのではないかと思うだろう。
 ところが俺たちの代には、とんでもない記録を出している男が、別の地方にまだいる。そいつは、100mでは日本中学記録を2010年代後半まで保持し、200mに至っては2020年過ぎてもまだ破られていない不動の日本中学記録を叩き出した怪物だ。
 そいつと走るのは全国でだ...。



 全国大会は約3週間後。その間は部活で最低限の練習と調整。合間は娯楽だけの生活。受験勉強は必要無い。チートがあるから。
 だからいくらか時間があった俺は、部活で上へ進めなかった連中と受験勉強の合間に遊んだりもした。まぁ遠くへは行けずで、せいぜいお家ゲームやゲーセンといった程度だったが。
 もちろん相手は野郎どもばかりではない。何と異性たちとも交流した。それも......不純交遊で。



 「あっ♪気持ちいい~~!NNS、全国大会頑張ってね。応援、してるから......あぁ!イ、クゥ~~~~~~~~

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