異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。
84.剣と指環
「さて、これからどうするんです?」
「って言ってもなあ。シキが戻っただけに、騎士団の士気も戻ったから俺ぁ、上に従うぞ」
「寒いダジャレをありがとう、ジェラール団長」
「…国を先にどうにかするのか、魔物花をどうにかするのか、はたまた白帝陛下か、順番を決めましょう」
黒帝の執務室で、部屋の主であるシヴァ様、ロベルト様、ジェラール団長、マリベル様、お兄ちゃんと私がいた。お兄ちゃんの表情が抜け落ちているから、皆がチラチラとお兄ちゃんを見ていた。お兄ちゃんは置いといて、なんとシバルヴァは国中に生えていた。ノルエルハからも連絡があったそうで、今こちらに来ているらしい。
この城や竜舎だけでなく、国全体に生やされたシバルヴァ。生態系を壊す気満々で、ちょーっとだけお兄ちゃんに賛成して、植物女やバカ国王共を殺しても良いかなって気になった。
「先に命に関わる方だろう。ドラゴンたちもどうにかしてやらないと、あのままでは衰弱しするぞ」
「では、隣国が後回しですね。この世界にシバルヴァが存在していませんでしたからね、魔術師たちに解析を進めさせていますが、今すぐにとは…」
「ーーやっぱり、神頼み?」
「イオリがバカをほざく前にどうにか…」
シヴァ様、最近前にも増して容赦ねーよな。バカをほざく前にって。焦ってもどうにもならないことしってるから、そう言っているんだと信じたい。険しい顔をして付き合わせていても、解決策は一向に出てこない。
「依織」
「なーに」
「どれぐらいの魔封石を手に入れたら良い」
「あー…」
私に異物を分かつ力で取り除けと、表情が抜け落ちているお兄ちゃんは言外に告げた。そう来ると思ってた。思ってたから、弁解しづらい。
「神頼み並みに無謀になるけど、それでゴーサインが出るなら私はやるよ。正直、その辺で手に入る魔封石じゃ意味がないけどね」
「どの程度だ」
「地下の泉で採れる魔封石でも、まだ足りないってぐらい」
「ーーーイオリ殿、その魔封石で足りないとは」
「相手は国中にばら蒔かれ生えたシバルヴァで、更には白帝やドラゴンたちに潜むシバルヴァの毒ですよ?依り代は空っぽの大きいものが良い」
「魔封石じゃなくても良いってことか?」
「ジェラール団長、宛があるんですか?」
「太陽神と月神の剣がある」
ジェラール団長の言葉に、誰もが驚き固まった。表情が抜け落ちているお兄ちゃんですら、驚きに満ちていた。ジェラール団長、それ国宝どころか世界宝だろ。
「な、に言ってるんだジェラール!!それは、この国を守るものだぞ!!」
「怒鳴るなマリベル。白帝陛下やドラゴンたちを守るのも、国を守ることだと思わないか?」
「それは分かっているが、そういう意味じゃない!!あれは、この国を魔の者から守っているんだ!!創造神を守るために結界を張っているんだぞ!!」
「まー、神の剣だしな。自分の嫁が眠る泉に墓守もいねぇの可笑しいしな」
「ジェラール!!」
「まあまあ、そう怒鳴るなや。お前だって分かってんだろ、時間がないことぐれぇ」
ピリピリした魔力が漂う。マリベル様もあぁやって怒鳴ったりするんだな、とか場違いなことを考えながら私は腰に下げた白と黒を触る。神の剣か。依り代としては最高だろうけど、それを邪なものに染めるのは気が引ける。
「…良い案はないのか、ロベルト」
「私、宰相ですから」
「はぁ…」
「ですが、そうもこうも言っている猶予はありませんからね。ここはひとつ、妹神の指環を使いましょう」
「だーかーら!!国を守るものだと言っているでしょう!?ロベルト、貴方までそんなこと言うんですか?!」
「正直、妹神の指環は使っても良いのでは?」
「ナメてます?あれがなかったら、泉の循環が成り立ちませんよ。穢れが溜まり、国中に流れていきますよ。ルシエラ様にも穢れが溜まるんですよ。良いんですか。良くないですよね。え?どうなんです?」
怒っちゃってるねー。マリベル様、怒っちゃってるわ。シヴァ様の顔も引きつっているし、神器系は宛にならない。何度でも言うけど、依り代としては最高なんだよなー。
「って言ってもなあ。シキが戻っただけに、騎士団の士気も戻ったから俺ぁ、上に従うぞ」
「寒いダジャレをありがとう、ジェラール団長」
「…国を先にどうにかするのか、魔物花をどうにかするのか、はたまた白帝陛下か、順番を決めましょう」
黒帝の執務室で、部屋の主であるシヴァ様、ロベルト様、ジェラール団長、マリベル様、お兄ちゃんと私がいた。お兄ちゃんの表情が抜け落ちているから、皆がチラチラとお兄ちゃんを見ていた。お兄ちゃんは置いといて、なんとシバルヴァは国中に生えていた。ノルエルハからも連絡があったそうで、今こちらに来ているらしい。
この城や竜舎だけでなく、国全体に生やされたシバルヴァ。生態系を壊す気満々で、ちょーっとだけお兄ちゃんに賛成して、植物女やバカ国王共を殺しても良いかなって気になった。
「先に命に関わる方だろう。ドラゴンたちもどうにかしてやらないと、あのままでは衰弱しするぞ」
「では、隣国が後回しですね。この世界にシバルヴァが存在していませんでしたからね、魔術師たちに解析を進めさせていますが、今すぐにとは…」
「ーーやっぱり、神頼み?」
「イオリがバカをほざく前にどうにか…」
シヴァ様、最近前にも増して容赦ねーよな。バカをほざく前にって。焦ってもどうにもならないことしってるから、そう言っているんだと信じたい。険しい顔をして付き合わせていても、解決策は一向に出てこない。
「依織」
「なーに」
「どれぐらいの魔封石を手に入れたら良い」
「あー…」
私に異物を分かつ力で取り除けと、表情が抜け落ちているお兄ちゃんは言外に告げた。そう来ると思ってた。思ってたから、弁解しづらい。
「神頼み並みに無謀になるけど、それでゴーサインが出るなら私はやるよ。正直、その辺で手に入る魔封石じゃ意味がないけどね」
「どの程度だ」
「地下の泉で採れる魔封石でも、まだ足りないってぐらい」
「ーーーイオリ殿、その魔封石で足りないとは」
「相手は国中にばら蒔かれ生えたシバルヴァで、更には白帝やドラゴンたちに潜むシバルヴァの毒ですよ?依り代は空っぽの大きいものが良い」
「魔封石じゃなくても良いってことか?」
「ジェラール団長、宛があるんですか?」
「太陽神と月神の剣がある」
ジェラール団長の言葉に、誰もが驚き固まった。表情が抜け落ちているお兄ちゃんですら、驚きに満ちていた。ジェラール団長、それ国宝どころか世界宝だろ。
「な、に言ってるんだジェラール!!それは、この国を守るものだぞ!!」
「怒鳴るなマリベル。白帝陛下やドラゴンたちを守るのも、国を守ることだと思わないか?」
「それは分かっているが、そういう意味じゃない!!あれは、この国を魔の者から守っているんだ!!創造神を守るために結界を張っているんだぞ!!」
「まー、神の剣だしな。自分の嫁が眠る泉に墓守もいねぇの可笑しいしな」
「ジェラール!!」
「まあまあ、そう怒鳴るなや。お前だって分かってんだろ、時間がないことぐれぇ」
ピリピリした魔力が漂う。マリベル様もあぁやって怒鳴ったりするんだな、とか場違いなことを考えながら私は腰に下げた白と黒を触る。神の剣か。依り代としては最高だろうけど、それを邪なものに染めるのは気が引ける。
「…良い案はないのか、ロベルト」
「私、宰相ですから」
「はぁ…」
「ですが、そうもこうも言っている猶予はありませんからね。ここはひとつ、妹神の指環を使いましょう」
「だーかーら!!国を守るものだと言っているでしょう!?ロベルト、貴方までそんなこと言うんですか?!」
「正直、妹神の指環は使っても良いのでは?」
「ナメてます?あれがなかったら、泉の循環が成り立ちませんよ。穢れが溜まり、国中に流れていきますよ。ルシエラ様にも穢れが溜まるんですよ。良いんですか。良くないですよね。え?どうなんです?」
怒っちゃってるねー。マリベル様、怒っちゃってるわ。シヴァ様の顔も引きつっているし、神器系は宛にならない。何度でも言うけど、依り代としては最高なんだよなー。
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