異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。
77.魔物花
って、他人のことは置いといて。なんかマズいことに気付いちゃったゾ?
あの花のことを知るのは、地球に居た私とお兄ちゃんとノルエルハだけだ。この世界には存在しないものを、私たちは知っている。しかもめっちゃ危険なやつ。ヤバくね?それって、マジでヤバくね?
汚名を吹っ掛けられ、婚約を無理矢理されそうになった私と、現在行方不明の近衛筆頭のお兄ちゃん、数年前に帰国を果たしたノルエルハーーー白帝暗殺を疑われても可笑しくはない。
私やノルエルハより、真っ先に疑われそうなのは勇者(笑)の助太刀に行ったお兄ちゃんだ。だって居ないんだもん。白帝が臥せって2日後に消えたのだから、怪しいと言われたら怪しいと感じるものだ。その次に私かノルエルハだ。勝手に動機とかつけられそうだけど、なんか笑い事には出来ないような。
「どうかしましたか、イオリ殿」
「とりあえず、私たちにあらぬ疑いがかけられる前に、解決してしまいたいと思います」
お兄ちゃんが戻ってくる前に片付けなければならない、超最速短納期の案件だ。お兄ちゃんがいつ戻ってくるか分からないからこそ、超最速短納期の案件なのだ。さっさと片付けてしまわなければ。
「解決、出来るのですか?アルベルト様があのまま死ぬなんてことないですよね?」
 
「勿論です」
「一晩で死ななかったのは、どうしてだ?枕元に置くだけで死ぬんだろう?それに取ってきたヴィヴィたちや俺たちに異常はみられない」
「分かりません。ですが、この件に国とドラコンが関わっているのは事実です」
あの花の恐ろしいところは、抗体など存在しないのだ。だけど、ここの人たちは生きている。問題なく、眠らずにーー
「イオリ殿は、あの花の名前なんと言ってました?」
「シバルヴァですか?」
「そう、その別の名前も言ってませんでしたか?」
「あぁ、魔物花」
「その、魔物花の由来は死に導くから、というものだけなんでしょうか?例えば、科目は魔物に分類されるとか」
「マリベル様、よく分かりましたね。魔物花と呼ばれるだけあって、奴等は花の魔物なんです」
意思を持たぬ花の魔物。人を死に至らしめる魔物の花。私の言葉に、周りが納得したように頷いた。なるほど、とシヴァ様が何度も頷く。分からん。誰か私にも分かるように説明して。
「お前は物知りなのに、これしきのことが分からんとはなあ」
「なんですか、分からないことだらけですよ」
「この国にもたらされる魔術や、魔物による毒などの被害は、全てアルベルトが引き受けるんだ。それがアイツの守り方だ」
「つまり?」
「魔物花による流行り病をアルベルト様が引き受けたのです。花の香りや花粉に晒された王妃様やヴィヴィ様やリヴェーダ様、それから私たちが普通に生きていられるのは、アルベルト様のおかげ、ということになります」
国の大地や空気を魔物の毒が染め上げても、その毒は全て白帝へと回る。この国に関わる全てを、白帝と黒帝と聖女は身を呈して守っている。
国が滅びるとき、真っ先に命を落とすのはこの3人なんだろう。それが神の血を引く代償なんだろうか?だとすれば、あまりにも残酷すぎる。
とは言え、身を呈して守りたいものを守ってきた人たちを、私はこの世界に来るまでに沢山見てきた。父だってそうだった。だから、これはどの世界にも共通する守り方なんだろう。ひどく悲しい守り方だけれど。
あの花のことを知るのは、地球に居た私とお兄ちゃんとノルエルハだけだ。この世界には存在しないものを、私たちは知っている。しかもめっちゃ危険なやつ。ヤバくね?それって、マジでヤバくね?
汚名を吹っ掛けられ、婚約を無理矢理されそうになった私と、現在行方不明の近衛筆頭のお兄ちゃん、数年前に帰国を果たしたノルエルハーーー白帝暗殺を疑われても可笑しくはない。
私やノルエルハより、真っ先に疑われそうなのは勇者(笑)の助太刀に行ったお兄ちゃんだ。だって居ないんだもん。白帝が臥せって2日後に消えたのだから、怪しいと言われたら怪しいと感じるものだ。その次に私かノルエルハだ。勝手に動機とかつけられそうだけど、なんか笑い事には出来ないような。
「どうかしましたか、イオリ殿」
「とりあえず、私たちにあらぬ疑いがかけられる前に、解決してしまいたいと思います」
お兄ちゃんが戻ってくる前に片付けなければならない、超最速短納期の案件だ。お兄ちゃんがいつ戻ってくるか分からないからこそ、超最速短納期の案件なのだ。さっさと片付けてしまわなければ。
「解決、出来るのですか?アルベルト様があのまま死ぬなんてことないですよね?」
 
「勿論です」
「一晩で死ななかったのは、どうしてだ?枕元に置くだけで死ぬんだろう?それに取ってきたヴィヴィたちや俺たちに異常はみられない」
「分かりません。ですが、この件に国とドラコンが関わっているのは事実です」
あの花の恐ろしいところは、抗体など存在しないのだ。だけど、ここの人たちは生きている。問題なく、眠らずにーー
「イオリ殿は、あの花の名前なんと言ってました?」
「シバルヴァですか?」
「そう、その別の名前も言ってませんでしたか?」
「あぁ、魔物花」
「その、魔物花の由来は死に導くから、というものだけなんでしょうか?例えば、科目は魔物に分類されるとか」
「マリベル様、よく分かりましたね。魔物花と呼ばれるだけあって、奴等は花の魔物なんです」
意思を持たぬ花の魔物。人を死に至らしめる魔物の花。私の言葉に、周りが納得したように頷いた。なるほど、とシヴァ様が何度も頷く。分からん。誰か私にも分かるように説明して。
「お前は物知りなのに、これしきのことが分からんとはなあ」
「なんですか、分からないことだらけですよ」
「この国にもたらされる魔術や、魔物による毒などの被害は、全てアルベルトが引き受けるんだ。それがアイツの守り方だ」
「つまり?」
「魔物花による流行り病をアルベルト様が引き受けたのです。花の香りや花粉に晒された王妃様やヴィヴィ様やリヴェーダ様、それから私たちが普通に生きていられるのは、アルベルト様のおかげ、ということになります」
国の大地や空気を魔物の毒が染め上げても、その毒は全て白帝へと回る。この国に関わる全てを、白帝と黒帝と聖女は身を呈して守っている。
国が滅びるとき、真っ先に命を落とすのはこの3人なんだろう。それが神の血を引く代償なんだろうか?だとすれば、あまりにも残酷すぎる。
とは言え、身を呈して守りたいものを守ってきた人たちを、私はこの世界に来るまでに沢山見てきた。父だってそうだった。だから、これはどの世界にも共通する守り方なんだろう。ひどく悲しい守り方だけれど。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
58
-
-
11128
-
-
141
-
-
63
-
-
353
-
-
147
-
-
29
-
-
125
-
-
107
コメント