異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。

千絢

69.潰された剣の意味

いつぞや、黒帝と殴りあった広間に捜索部隊とお兄ちゃんの部下たちが集まっていた。ジェラール団長を見て道を開ける。








皆が見つめている先には、刃が潰された剣が2本置かれていた。確かに2本ともお兄ちゃんの剣だった。






「ん、確かに間違いないね」








「シキ…」








「まさか筆頭…」








「いやいや、勝手に殺さないで下さいよ」








「えっ、じゃあ…!!」








まだ死んでねーよ!なんて幻聴が聞こえたけど、その幻聴の言うとおり、お兄ちゃんはまだ死んでない。お兄ちゃんは生きている。








「丸腰になったのには代わりないけど、大丈夫大丈夫。あの人は死にやしないよ」








「その根拠は?」








「お兄ちゃんはねぇ、此処に家族と恋人を残してるの。置いて逝くわけないの。それに師として仰いだのは父でもあるグレイアスよ。生半可な戦い方を教え込まれたわけじゃないわ」








刃を潰された剣に触れて、私はゆるりと笑った。この剣から伝わってくる情報はただ一つ。








「私も暫く行方を眩まそうかな」








「いやいやいや!!一気に戦力を失いたくないから止めてね!?」








帰ってきたら、覚えとけよクソ兄貴。私も連れて行ってくれたら良かったのに。でもまあ、あの時の言いにくそうな顔見てるから、5分の4殺しで許してあげる。








『隣国で勇者とやらが召喚されたらしいから、ちょっと助けに行ってくるわ』








勇者といえば、辿り着くのはアイツ魔王でしょ?



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