異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。

千絢

67.兄からの相談

詳しい話は分からないけど、どうやら魔物の活動が活発化してきたらしい。というのも、ここ最近はデスクワークのみしてきたからロードワークから離れているのだ。






シヴァ様やルシエラ様が私の怪我を案じてか、体が怪我に慣れるまではロードワークは控えるように言ってきた。慣れも何も、もう体は怪我を忘れているから問題ないのだけど、書類の山はいつまでも出来続けるから、その言葉に甘えさせてもらっている。






シヴァ様の事務処理能力が落ちたわけではなく、とうとう白帝が臥せってしまったのだ。言っておくが、私が何かをしたわけではない。






臥せってしまった理由は明かされていないが、シヴァ様やルシエラ様を見ていれば良くないことだけは分かった。






ただ、臥せってしまった白帝の分までシヴァ様が仕事をこなすことになり、必然的に私の仕事は増えた。








「で、昨日は5人やられたわけだ。情けない話だが、昨日までに部隊一つ分が潰れたわけだな」








「そんなに?!この国の騎士団ってそんなにレベル低くないでしょう?」








「急に活発化してきた魔物に、対応が追い付かなかったんだろうな」








この話を持って来たのは、なんとお兄ちゃんである。珍しいというか、何と言うか。そろそろ復帰しろよってことなんだろうけどさ。わざわざ外に呼び出して言うことかしら?








「へぇ、魔物がねー」








「一時期あっちの世界地球でもあっただろ、魔物の活発化」








「あったけど、あれはそういう時だったから」








「何百年に一度、太陽が活動を止める時期だろ」








太陽と魔物の因縁は深いもので、太陽のおかげで魔物の力は抑えられていると言っても過言ではなかった。太陽は光だ。太陽は世界を大地を育む光だ。魔物や魔に住むもの共には、毒にしかならない。








この時ばかりは、睨みあった各国の軍人たちと共同戦線を張って討伐に当たったのも良い思い出だ。








「魔王が仕掛けてくるつもりなのか分からねぇけど」








「神も神獣も居れば、魔王も当たり前の様に居るのね…」








「俺らの世界にゃ、魔物は居れど神も神獣も魔王も居なかったもんなあ」








「おかしな話ね。魔族は居たのに、魔王は居ないなんて。とりあえず、魔物の件は了解したわ。こちらが落ち着き次第手伝いに入る。で、本題か何かあるのかしら?」








「あー…」








「何よ、苦虫を噛み潰したような顔をしちゃって」








「実はさ、」






そう告げた翌日、お兄ちゃんは居なくなった。

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