異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。
65.答えがあるのに答えない
その不穏な魔力の発生源は、勿論のこと白帝だ。不穏と言っても、白帝の魔力自体が穏やかで聖域に居る様な感じを持っているから、そこまで驚異的に感じることもない。ただ、まあ不機嫌だなーっていうのが分かる程度だ。
「こら、アルベルト。好き勝手に言われるのは、お前の情けなさ故だぞ」
「父上も口が過ぎるのでは?」
「ふん、お前の父だから言えるのだ」
情けないって連呼しすぎでしょ、このお父さん。つれぇ、って顔してるシヴァ様だけど、あまり他人事の様には思ってないらしい。他人事だと思って聞き流して、いざ当事者になった時ってショックというか聞き流すんじゃなかったって思うんだよね…。
「父でも言って良いことと悪いこと、ありますよね?」
「それ2回目っすよ、白帝」
「2回目も3回目も知ったこっちゃないね」
「ソウデスカ」
お兄ちゃん、下手に口出ししない方が良いよ。苦笑して引き下がった我が兄を横目に、私はどことなく遣る瀬無さを感じて、溜め息を吐いた。あれ?溜め息2回目だっけ?まあ良いや。とりあえず、帰りたいな。意味がある様で、この無意味な時間は勿体ない。
「イオリは僕の傍仕えの件を断ったのに、シヴァの傍仕えは受けたんだね。どういう了見?」
「また子供っぽいことを言う」
「純粋に知りたいんだよ。君は僕に言ったよね、他人に仕えるのは無理、これ以上失望したくないって。それなのに、どうして?」
「――えぇ、そう言ったことに嘘偽りはありませんよ。逆に問いますけど、貴方は私を扱いこなせると思っておいでで?」
「…っ、シヴァが」
「黒帝は黒帝。白帝は白帝。私は貴方自身に問うているんです」
シヴァ様に私が扱えるなら、自分にも扱えると思っている時点でアウト。私はそれほど大人しい人間ではないのだ。白帝が思っているほど、私は扱いやすい人間でもない。
黙り込んだ白帝を見て、それが答えだと私は見た。白帝自身、私を扱いこなせるとは思ってないのだろう。ただ、チカラもあるし政治に使えたら良いとでも思っているんだろうな。利用価値は存分にある、と私でさえも思っているのだから。
「さー、仕事も溜まっているし私は此処でお暇させて頂きますね」
「あ、こら、依織!!」
ニッコリと笑って、私は今度こそ謁見の間から出た。そんな私を追うようにして、お兄ちゃんもついて来た。きっちり閉まった扉を見てから、私はようやくお兄ちゃんを見た。ふぅ、と一息ついたお兄ちゃんだけど、私について出なくたって良いじゃない。
「お兄ちゃん、私とじゃなくて団長と出たら良かったのに」
「いや、ちょっと心配で」
「心配も何も、行き過ぎたらシヴァ様がストッパーになってくれますよ」
「嘘おっしゃい」
「…さあ、本当にそんな場面になったらシヴァ様が動いてくれるかどうかわかりませんけど、」
お兄ちゃんは、深い溜め息をついた。吸い込んでおけ、溜め息ついたら幸せが逃げるぞー。そういう私も溜め息を2回もついてるっけか。吸い込んでおこう。
「ま、仕事しなくちゃなー」
「…そーだね、仕事しなきゃ。コレの所為で、ちょっと出遅れたし」
お兄ちゃんと別れて、私はシヴァ様よりも先に執務室に足を向けた。昨日休んだから、仕事が溜まってるんだろうなー。そういや、明日は騎士団と仕事だっけか。今日中に書類は片付けておかないと、明日に支障をきたしそう。
「こら、アルベルト。好き勝手に言われるのは、お前の情けなさ故だぞ」
「父上も口が過ぎるのでは?」
「ふん、お前の父だから言えるのだ」
情けないって連呼しすぎでしょ、このお父さん。つれぇ、って顔してるシヴァ様だけど、あまり他人事の様には思ってないらしい。他人事だと思って聞き流して、いざ当事者になった時ってショックというか聞き流すんじゃなかったって思うんだよね…。
「父でも言って良いことと悪いこと、ありますよね?」
「それ2回目っすよ、白帝」
「2回目も3回目も知ったこっちゃないね」
「ソウデスカ」
お兄ちゃん、下手に口出ししない方が良いよ。苦笑して引き下がった我が兄を横目に、私はどことなく遣る瀬無さを感じて、溜め息を吐いた。あれ?溜め息2回目だっけ?まあ良いや。とりあえず、帰りたいな。意味がある様で、この無意味な時間は勿体ない。
「イオリは僕の傍仕えの件を断ったのに、シヴァの傍仕えは受けたんだね。どういう了見?」
「また子供っぽいことを言う」
「純粋に知りたいんだよ。君は僕に言ったよね、他人に仕えるのは無理、これ以上失望したくないって。それなのに、どうして?」
「――えぇ、そう言ったことに嘘偽りはありませんよ。逆に問いますけど、貴方は私を扱いこなせると思っておいでで?」
「…っ、シヴァが」
「黒帝は黒帝。白帝は白帝。私は貴方自身に問うているんです」
シヴァ様に私が扱えるなら、自分にも扱えると思っている時点でアウト。私はそれほど大人しい人間ではないのだ。白帝が思っているほど、私は扱いやすい人間でもない。
黙り込んだ白帝を見て、それが答えだと私は見た。白帝自身、私を扱いこなせるとは思ってないのだろう。ただ、チカラもあるし政治に使えたら良いとでも思っているんだろうな。利用価値は存分にある、と私でさえも思っているのだから。
「さー、仕事も溜まっているし私は此処でお暇させて頂きますね」
「あ、こら、依織!!」
ニッコリと笑って、私は今度こそ謁見の間から出た。そんな私を追うようにして、お兄ちゃんもついて来た。きっちり閉まった扉を見てから、私はようやくお兄ちゃんを見た。ふぅ、と一息ついたお兄ちゃんだけど、私について出なくたって良いじゃない。
「お兄ちゃん、私とじゃなくて団長と出たら良かったのに」
「いや、ちょっと心配で」
「心配も何も、行き過ぎたらシヴァ様がストッパーになってくれますよ」
「嘘おっしゃい」
「…さあ、本当にそんな場面になったらシヴァ様が動いてくれるかどうかわかりませんけど、」
お兄ちゃんは、深い溜め息をついた。吸い込んでおけ、溜め息ついたら幸せが逃げるぞー。そういう私も溜め息を2回もついてるっけか。吸い込んでおこう。
「ま、仕事しなくちゃなー」
「…そーだね、仕事しなきゃ。コレの所為で、ちょっと出遅れたし」
お兄ちゃんと別れて、私はシヴァ様よりも先に執務室に足を向けた。昨日休んだから、仕事が溜まってるんだろうなー。そういや、明日は騎士団と仕事だっけか。今日中に書類は片付けておかないと、明日に支障をきたしそう。
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