異世界に喚ばれたので、異世界で住みます。
10.ドラゴン無傷捕獲作戦
オルエと共に城下へ降りた。臭う。それは肉が焼けた臭いだ。国民達は?大丈夫だろうか。国民たちが犠牲になってないだろうか。こんなにも甚大な被害をもたらされてしまった。この国は大丈夫だろうか。心配を抱えながら、双刀に触れる。心配はいつの間にか消えていた。走っているうちにドラゴンが見えてきたからだろう。赤黒い大きなドラゴン。表現力がなくて悪いんだけど、いやほんとうに赤くて黒い大きなドラゴンなのだ。
「…これかあ」
「デカイですね、黒帝のアストラル様ぐらいですかね」
「彼も相当な大きさだったけな。白帝のティエラよりは大きいか」
「ど、うします?他のドラゴンたちは飛行不可ですし、騎士たちも悪戦苦闘。魔術師たちは半分、聖女様と愛し子の警護に当たってるので、かなり味方は少ないですよ」
「どうもこうもやるしかないでしょう、ドラゴン無傷捕獲作戦。作戦なんてものないけど。つか、巡回日を見直さなきゃいけねーのな。何で上が揃って国を離れるかねぇ」
少しだけ離れた所から、ドラゴンを見つめる。元々が赤黒色のドラゴンかしら?何か違う気がするんだよね。ドラゴンが持つ竜心の波動も、纏っている雰囲気も。目を閉じて、深く息を吸い込む。
「オルエ、離れて居らっしゃい。それから、魔術師にノルエルハに連絡取って」
「え?」
「いーから。あと、ノルエルハに聞くことはただ一つ。グレイアスの遺体は何処だって、それだけ」
「あっ、イオリ殿!?」
あまり納得していないオルエを置いて、私はドラゴンの下へ駆けだした。道中で倒れている騎士たちに移動魔道を掛けていく。あまり強くないわけじゃないのに。ドラゴンが強かったのかねぇ。
「よしよし、辛いなあ」
咆哮を上げ、火を吐くドラゴン。火属性か。なら、黒色が混ざるのは可笑しい。この世の定理として、黒はドラゴンの世界ではアストラスだけだ。そして、白を持つのはティエラのみ。それが世界の定理なのだ。この国の双帝とドラゴンのアストラスとティエラだけが、白黒を持つ。否、持つことが出来る。
ということは―――?
「何に侵されてしまったのかな?」
『イオリかい?』
まあ、なんとなく?想像はつく。ドラゴンは哭いている。得体の知れないモノに侵されているのだから、余程苦しいのだろう。骨の髄まで侵されていく感覚が苦しくて、暴れている。
「ハロー、ノルエルハ」
『城の魔術師から連絡あってね。申し訳ない、本当に申し訳ない』
悲痛なノルエルハの声が、私の脳裏の中に響き渡る。ほーらね。言わなくても結果は分かる。最悪な結果だ。無傷捕獲とか出来るのか?無理そうなんですけど。殺めるなら一発だな。そういや、ドラゴンの殺しは罪だったか。やっぱり捕獲しか手立てはない。
『兄上の遺体が盗まれた』
もうなんだかなあ。感じればわかることだ。このドラゴンから感じるのは、懐かしき父のチカラ。悲しいなあ。なんでこっちに遺体まで喚んでしまわれたんだろう。元の世界で、母さんと共に寝ていたらどれほど良かったことか。やはり、哀れなものだ。
「うん、城下にドラゴンが現れたんだ。そのドラゴンから父さんの力を感じる」
『ああ……なんてことだ、被害は?』
「さあね。私はこれから、そのドラゴンを無傷捕獲作戦を決行しなきゃならないから」
『君の力は僕が保障するけど、大丈夫なのかい!?僕も行こうか?!』
「だいじょーぶ。父さんの遺体を探してくれる方が嬉しいな。これ以上父さんの血を力を扱わないでほしい」
『…血、だと』
「このドラゴンは、父さんの血に侵されて苦しんでいるから」
『至急、探すようにする』
プッツリと途絶えた感覚に、私を本気にさせる合図となった。
双刀はお守りとして、今回は魔術だけで頑張ると致しますかね。
「…これかあ」
「デカイですね、黒帝のアストラル様ぐらいですかね」
「彼も相当な大きさだったけな。白帝のティエラよりは大きいか」
「ど、うします?他のドラゴンたちは飛行不可ですし、騎士たちも悪戦苦闘。魔術師たちは半分、聖女様と愛し子の警護に当たってるので、かなり味方は少ないですよ」
「どうもこうもやるしかないでしょう、ドラゴン無傷捕獲作戦。作戦なんてものないけど。つか、巡回日を見直さなきゃいけねーのな。何で上が揃って国を離れるかねぇ」
少しだけ離れた所から、ドラゴンを見つめる。元々が赤黒色のドラゴンかしら?何か違う気がするんだよね。ドラゴンが持つ竜心の波動も、纏っている雰囲気も。目を閉じて、深く息を吸い込む。
「オルエ、離れて居らっしゃい。それから、魔術師にノルエルハに連絡取って」
「え?」
「いーから。あと、ノルエルハに聞くことはただ一つ。グレイアスの遺体は何処だって、それだけ」
「あっ、イオリ殿!?」
あまり納得していないオルエを置いて、私はドラゴンの下へ駆けだした。道中で倒れている騎士たちに移動魔道を掛けていく。あまり強くないわけじゃないのに。ドラゴンが強かったのかねぇ。
「よしよし、辛いなあ」
咆哮を上げ、火を吐くドラゴン。火属性か。なら、黒色が混ざるのは可笑しい。この世の定理として、黒はドラゴンの世界ではアストラスだけだ。そして、白を持つのはティエラのみ。それが世界の定理なのだ。この国の双帝とドラゴンのアストラスとティエラだけが、白黒を持つ。否、持つことが出来る。
ということは―――?
「何に侵されてしまったのかな?」
『イオリかい?』
まあ、なんとなく?想像はつく。ドラゴンは哭いている。得体の知れないモノに侵されているのだから、余程苦しいのだろう。骨の髄まで侵されていく感覚が苦しくて、暴れている。
「ハロー、ノルエルハ」
『城の魔術師から連絡あってね。申し訳ない、本当に申し訳ない』
悲痛なノルエルハの声が、私の脳裏の中に響き渡る。ほーらね。言わなくても結果は分かる。最悪な結果だ。無傷捕獲とか出来るのか?無理そうなんですけど。殺めるなら一発だな。そういや、ドラゴンの殺しは罪だったか。やっぱり捕獲しか手立てはない。
『兄上の遺体が盗まれた』
もうなんだかなあ。感じればわかることだ。このドラゴンから感じるのは、懐かしき父のチカラ。悲しいなあ。なんでこっちに遺体まで喚んでしまわれたんだろう。元の世界で、母さんと共に寝ていたらどれほど良かったことか。やはり、哀れなものだ。
「うん、城下にドラゴンが現れたんだ。そのドラゴンから父さんの力を感じる」
『ああ……なんてことだ、被害は?』
「さあね。私はこれから、そのドラゴンを無傷捕獲作戦を決行しなきゃならないから」
『君の力は僕が保障するけど、大丈夫なのかい!?僕も行こうか?!』
「だいじょーぶ。父さんの遺体を探してくれる方が嬉しいな。これ以上父さんの血を力を扱わないでほしい」
『…血、だと』
「このドラゴンは、父さんの血に侵されて苦しんでいるから」
『至急、探すようにする』
プッツリと途絶えた感覚に、私を本気にさせる合図となった。
双刀はお守りとして、今回は魔術だけで頑張ると致しますかね。
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