Pessimist in love ~ありふれた恋でいいから~
恋は焦らずに (3)
「それにしても腹減ったな」
「うん。もうこんな時間なんだね」
時計を見ると、時刻はもうすぐ1時半になろうとしている。
恵介は唇に軽くキスをして私を抱き起こした。
「休みが合うこともなかなかないし、せっかくだから出掛けようか。どこかで昼ごはん食べて、誕生日プレゼント買いに行こう」
「うーん……」
急にそう言われても欲しいものは特にないし、私は恵介といられたらそれだけでいい。
きっとそれ以上の誕生日の過ごし方はないと思う。
「プレゼントはいらないから、恵介のこと、もっとたくさん知りたい」
「俺のこと?」
恵介は少し不思議そうな顔をしながらシャツを羽織る。
私もベッドのそばに置いていたバッグから、お気に入りのワンピースを取り出した。
一目でデザインが気に入って買ったのに、なかなか着る機会のなかったワンピースがやっと着られる。
これを着て恵介とデートできるんだと思うと嬉しい。
「私、恵介のことなんにも知らないんだなって昨日思ったの。誕生日とか趣味とか……」
「ああ……。確かに俺も、幸のこともっと知りたいって思った。俺たち、お互いの誕生日も知らなかったんだなって。知ってもまたつらくなるだけかと昨日は思ったんだけど……今はやっぱり知りたいな」
やっぱり同じこと考えてる。
考え方とか感じ方が似てるのかも。
「恵介の誕生日はいつ?」
「3月27日。まだ少し先だ」
背中のファスナーが上まで上げられず四苦八苦していると、恵介が後ろに立ちファスナーを上げてホックを留めてくれた。
「恵介の誕生日も一緒に過ごせるといいな」
何気なく呟くと、恵介は後ろからギュッと私を抱きしめた。
「一緒に決まってるだろ。これからずっとな」
近くのカフェで食事をしながら、どこへ行こうかと相談した。
今日はあまり遠くへ行くほどの時間はないから、遠出をするのはあきらめて、またいつか一緒に連休が取れた時に旅行でもしようと恵介が言った。
「幸はプレゼントいらないって言ったけど、俺はやっぱり何かあげたいんだ。付き合って初めての幸の誕生日だし、ちゃんと付き合うことになった日だから。これからは俺と幸の特別な日になるよ?」
恵介って、男の人には珍しく記念日を大事にするんだな。
この先もずっと私と一緒にいたいと恵介が思ってくれていることが、たまらなく嬉しい。
夏樹とは3年も一緒にいたけど付き合っていたわけじゃないし、私は誰と付き合っても長続きしなかったから、『二人の記念日』をお祝いした経験なんてない。
そう考えるとすごく特別な気がするし、これから毎年、この日を一緒に思い出せたらいいなと思う。
「嬉しいな。じゃあ……記念に何かお揃いのもの選んで、お互いにプレゼントするのはどう?」
「幸の誕生日なのに?やっぱりそれはそれで別にしようよ」
「私は恵介といられたらそれだけでいいよ。それが最高の誕生日プレゼントだと思ってるから」
我ながらかなりクサくて恥ずかしい言葉だとは思ったけど、そう思っているのは本当のことだ。
恵介も心なしか照れくさそうにしている。
「そう言ってくれるのはホントに嬉しいけど……やっぱこういうの照れくさいな」
恵介は私にキザなことを平気で言うくせに、自分が言われるのは照れくさいようだ。
意外と照れ屋なところも、照れた顔もかわいくて、思いきり抱きしめたくなった。
「うん。もうこんな時間なんだね」
時計を見ると、時刻はもうすぐ1時半になろうとしている。
恵介は唇に軽くキスをして私を抱き起こした。
「休みが合うこともなかなかないし、せっかくだから出掛けようか。どこかで昼ごはん食べて、誕生日プレゼント買いに行こう」
「うーん……」
急にそう言われても欲しいものは特にないし、私は恵介といられたらそれだけでいい。
きっとそれ以上の誕生日の過ごし方はないと思う。
「プレゼントはいらないから、恵介のこと、もっとたくさん知りたい」
「俺のこと?」
恵介は少し不思議そうな顔をしながらシャツを羽織る。
私もベッドのそばに置いていたバッグから、お気に入りのワンピースを取り出した。
一目でデザインが気に入って買ったのに、なかなか着る機会のなかったワンピースがやっと着られる。
これを着て恵介とデートできるんだと思うと嬉しい。
「私、恵介のことなんにも知らないんだなって昨日思ったの。誕生日とか趣味とか……」
「ああ……。確かに俺も、幸のこともっと知りたいって思った。俺たち、お互いの誕生日も知らなかったんだなって。知ってもまたつらくなるだけかと昨日は思ったんだけど……今はやっぱり知りたいな」
やっぱり同じこと考えてる。
考え方とか感じ方が似てるのかも。
「恵介の誕生日はいつ?」
「3月27日。まだ少し先だ」
背中のファスナーが上まで上げられず四苦八苦していると、恵介が後ろに立ちファスナーを上げてホックを留めてくれた。
「恵介の誕生日も一緒に過ごせるといいな」
何気なく呟くと、恵介は後ろからギュッと私を抱きしめた。
「一緒に決まってるだろ。これからずっとな」
近くのカフェで食事をしながら、どこへ行こうかと相談した。
今日はあまり遠くへ行くほどの時間はないから、遠出をするのはあきらめて、またいつか一緒に連休が取れた時に旅行でもしようと恵介が言った。
「幸はプレゼントいらないって言ったけど、俺はやっぱり何かあげたいんだ。付き合って初めての幸の誕生日だし、ちゃんと付き合うことになった日だから。これからは俺と幸の特別な日になるよ?」
恵介って、男の人には珍しく記念日を大事にするんだな。
この先もずっと私と一緒にいたいと恵介が思ってくれていることが、たまらなく嬉しい。
夏樹とは3年も一緒にいたけど付き合っていたわけじゃないし、私は誰と付き合っても長続きしなかったから、『二人の記念日』をお祝いした経験なんてない。
そう考えるとすごく特別な気がするし、これから毎年、この日を一緒に思い出せたらいいなと思う。
「嬉しいな。じゃあ……記念に何かお揃いのもの選んで、お互いにプレゼントするのはどう?」
「幸の誕生日なのに?やっぱりそれはそれで別にしようよ」
「私は恵介といられたらそれだけでいいよ。それが最高の誕生日プレゼントだと思ってるから」
我ながらかなりクサくて恥ずかしい言葉だとは思ったけど、そう思っているのは本当のことだ。
恵介も心なしか照れくさそうにしている。
「そう言ってくれるのはホントに嬉しいけど……やっぱこういうの照れくさいな」
恵介は私にキザなことを平気で言うくせに、自分が言われるのは照れくさいようだ。
意外と照れ屋なところも、照れた顔もかわいくて、思いきり抱きしめたくなった。
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