Pessimist in love ~ありふれた恋でいいから~
心残りと彼女の告白 (3)
約束の時間より10分早く待ち合わせの場所に着いた。
琴音はまだ来ていない。
ぼんやりと街並みを眺めながら、琴音が料理を教えて欲しいと言うなんて意外だなと考える。
以前は私の部屋に遊びに来ても、あれが食べたいとかこれ作ってとか、自分では作ろうともしなかったのに。
よほど夏樹に手料理を食べさせたいのかな?
好きな人のために料理を作るのは楽しいもんね。
それは私にもよくわかる。
そう言えば肉じゃがと唐揚げは、恵介も好きだと言っていた。
肉じゃが、恵介にも作ってあげたかったな。
待ち合わせの時間よりほんの少し遅れて琴音がやって来た。
出掛けにしつこいセールスマンが来て、追い返すのに手間取ったらしい。
単身者の多いマンションにはあまり来ないセールスマンも、ファミリー向けの少し広めのマンションには頻繁に訪れるようだ。
駅のそばのスーパーで材料を買って、琴音の新居にお邪魔した。
思っていたより片付いている。
と言うか、新婚にしては物が少ない。
片付けるのが苦手なことを見越してのことなのかも。
誰かがアドバイスでもしたのかな?
コーヒーでも淹れようかと琴音は言ったけど、一度落ち着くと腰が重くなってしまいそうだから、早速キッチンで料理に取りかかることにした。
それにしても、琴音はやけにたくさんの材料を買い込んでいる。
慣れていないから分量がわからないのか、それとも多めに作るつもりなのか。
琴音はキッチンに立つと、肉じゃがを作る鍋を2つ用意した。
「ねぇ、なんで2つなの?ひとつで良くない?」
「こっちは私が作る鍋。それは幸が作るの」
琴音が何をしたいのか、さっぱりわからない。
「……なんで?作るのは琴音でしょ?」
「私はうちの晩御飯用に作る。幸には別に作ってもらいたいの」
やっぱりよくわからないけど、肉じゃがを大量に作りたいらしい。
「まぁ、いいけど……」
「じゃあ早速始めよう。お願いします、幸先生」
「先生って……。大袈裟だなぁ……」
それから私は、琴音に肉じゃがと唐揚げの作り方を教えた。
不器用なりに琴音は一生懸命頑張った。
見た目は少し不格好だけど、味には問題ない。
夏樹もきっと喜ぶだろう。
私が作ったチャーハンと、出来上がった唐揚げで遅めの昼食を済ませた。
昼食と言うよりはおやつの時間だ。
食後は台所の後片付けを済ませて一緒にコーヒーを飲んだ。
猫舌の琴音は冷たいミルクをたっぷり注いだカフェオレをスプーンでグルグルかき混ぜながら、おもむろに口を開いた。
「あのさ、ずっと言いそびれてたんだけど」
「うん、何?」
「前に幸の部屋で、夏樹と恵介も一緒に御飯食べたでしょ?」
急に何を言い出すのか。
驚いてむせそうになりながら、必死で平静を装った。
「ああ、うん。あったね、そんなこと」
「終電逃した時は会社の近くに住んでる友達が泊めてくれるって、夏樹から聞いてたんだけど……浮気してるんじゃないかって、ずっと気になってた」
「……うん」
やっぱり、あの時には二人はもう付き合ってたんだ。
それなのに、お互い知らないふりをしていたのはどうしてだろう?
「たまたま幸の部屋に遊びに行ったら夏樹が来て、すぐにピンときたんだ。いつも泊めてもらってるのは幸の部屋なんだって。幸の前でケンカしたくなかったから、初対面のふりした」
「そうなんだ……」
「後で夏樹を問い詰めたら、私と付き合う前から幸の部屋に泊めてもらってたって。私と付き合うまでは、それだけの関係じゃなかったってことも聞いた」
「……うん」
琴音は全部知ってたんだ。
それなのに私には何も言わなかった。
琴音はまだ来ていない。
ぼんやりと街並みを眺めながら、琴音が料理を教えて欲しいと言うなんて意外だなと考える。
以前は私の部屋に遊びに来ても、あれが食べたいとかこれ作ってとか、自分では作ろうともしなかったのに。
よほど夏樹に手料理を食べさせたいのかな?
好きな人のために料理を作るのは楽しいもんね。
それは私にもよくわかる。
そう言えば肉じゃがと唐揚げは、恵介も好きだと言っていた。
肉じゃが、恵介にも作ってあげたかったな。
待ち合わせの時間よりほんの少し遅れて琴音がやって来た。
出掛けにしつこいセールスマンが来て、追い返すのに手間取ったらしい。
単身者の多いマンションにはあまり来ないセールスマンも、ファミリー向けの少し広めのマンションには頻繁に訪れるようだ。
駅のそばのスーパーで材料を買って、琴音の新居にお邪魔した。
思っていたより片付いている。
と言うか、新婚にしては物が少ない。
片付けるのが苦手なことを見越してのことなのかも。
誰かがアドバイスでもしたのかな?
コーヒーでも淹れようかと琴音は言ったけど、一度落ち着くと腰が重くなってしまいそうだから、早速キッチンで料理に取りかかることにした。
それにしても、琴音はやけにたくさんの材料を買い込んでいる。
慣れていないから分量がわからないのか、それとも多めに作るつもりなのか。
琴音はキッチンに立つと、肉じゃがを作る鍋を2つ用意した。
「ねぇ、なんで2つなの?ひとつで良くない?」
「こっちは私が作る鍋。それは幸が作るの」
琴音が何をしたいのか、さっぱりわからない。
「……なんで?作るのは琴音でしょ?」
「私はうちの晩御飯用に作る。幸には別に作ってもらいたいの」
やっぱりよくわからないけど、肉じゃがを大量に作りたいらしい。
「まぁ、いいけど……」
「じゃあ早速始めよう。お願いします、幸先生」
「先生って……。大袈裟だなぁ……」
それから私は、琴音に肉じゃがと唐揚げの作り方を教えた。
不器用なりに琴音は一生懸命頑張った。
見た目は少し不格好だけど、味には問題ない。
夏樹もきっと喜ぶだろう。
私が作ったチャーハンと、出来上がった唐揚げで遅めの昼食を済ませた。
昼食と言うよりはおやつの時間だ。
食後は台所の後片付けを済ませて一緒にコーヒーを飲んだ。
猫舌の琴音は冷たいミルクをたっぷり注いだカフェオレをスプーンでグルグルかき混ぜながら、おもむろに口を開いた。
「あのさ、ずっと言いそびれてたんだけど」
「うん、何?」
「前に幸の部屋で、夏樹と恵介も一緒に御飯食べたでしょ?」
急に何を言い出すのか。
驚いてむせそうになりながら、必死で平静を装った。
「ああ、うん。あったね、そんなこと」
「終電逃した時は会社の近くに住んでる友達が泊めてくれるって、夏樹から聞いてたんだけど……浮気してるんじゃないかって、ずっと気になってた」
「……うん」
やっぱり、あの時には二人はもう付き合ってたんだ。
それなのに、お互い知らないふりをしていたのはどうしてだろう?
「たまたま幸の部屋に遊びに行ったら夏樹が来て、すぐにピンときたんだ。いつも泊めてもらってるのは幸の部屋なんだって。幸の前でケンカしたくなかったから、初対面のふりした」
「そうなんだ……」
「後で夏樹を問い詰めたら、私と付き合う前から幸の部屋に泊めてもらってたって。私と付き合うまでは、それだけの関係じゃなかったってことも聞いた」
「……うん」
琴音は全部知ってたんだ。
それなのに私には何も言わなかった。
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