Pessimist in love ~ありふれた恋でいいから~
選ばれなかった女 (5)
ただのセフレとしても価値はなかったけど、いろいろと都合がいいから私の部屋に来ていただけなんだと思う。
だからって、美人の琴音に出会った途端に手のひらを返さなくたって。
3年間、私には嘘でも冗談でも好きだと言ってくれたことはなかったのに、琴音とはあっという間に結婚するんだから、正直かなり傷付いた。
「夏樹は私のことなんか好きじゃなかったし、便利で都合のいいバカな女くらいにしか思ってなかったんだよ」
「それってもしかして……」
「そういうことだよ。もしかしたら琴音と知り合う前も、泊めてくれる女なんか私以外にもたくさんいたのかもね。おそらく私は食事係だったんじゃないかな。当然他にも係がいろいろあったんだろうね」
「えーっ……何それ……」
夏樹は地味で所帯染みた私に、色気は求めていなかったと言うことだ。
私には色気も女としての魅力もないって、改めて自覚した。
情けないけど、あれだけ一緒にいても夏樹に好きだと言ってもらえなかった原因は、私にあったんだ。
「で……幸はこれからどうすんの?」
「どうするも何も……今まで通り。この先一人でも不自由なく生きていけるように、真面目に働いて生活費を稼ぐ」
私が蒸し鶏のサラダを口に運びながら淡々と答えると、巴が大きなため息をついた。
「いやいや……もうちょっと女として頑張ろうよ……。結婚だけがすべてとは言わないけどさ、まだ恋愛をあきらめる歳じゃないじゃん」
女であることをあきらめたつもりはない。
けど、無理してまで誰かに好かれようとも思えない。
「さぁね。こればっかりは私一人が頑張ってもしょうがないから」
「そうだ。いい男、紹介しようか?」
「いい。今はそんな気になれないし、しばらくは無理だと思う」
「まだ夏樹が好き?」
改めて聞かれると、胸の奥がズキンと痛んだ。
ただ一緒にいられるだけで幸せだった。
それ以上何も望んだことなどなかったのに、そう思っていたのは私だけだったと言うことだ。
「うーん……そうかも。やっぱりショックだったし、まだ気持ちの整理がついてないみたい。自然と次に進めるようになるの待ってみる」
「私らもう29だよ、あっという間に30だよ?そんな悠長なこと言ってて大丈夫?」
「私はまだ28。焦ってもしょうがないもん。なるようになるでしょう」
どんなに悔やんでも嘆いても、夏樹はもう私の元へは戻って来ない。
いろんなことがあって、それがあまりに唐突過ぎて、何が起こっているのかさっぱり理解できなかった。
夏樹と琴音が結婚するという現実を突きつけられ、夏樹を好きな気持ちからも、夏樹に愛されなかった事実からも目をそらそうとしていた気がする。
そうか。
だから私は一度も泣いていないのか。
「幸の良さをわかってくれる人はちゃんといるよ」
「だといいんだけどね」
なんの努力もしないでそのままの私を愛してもらおうなんて、身の程知らずだったのかも知れない。
もしまた心から好きだと思える人に出会えるなら、今度はちゃんと女として好きになってもらえるように、私も努力しようと思う。
いや……待てよ。
まずはそんな人と出会う努力から始めなきゃダメなのか?
私の人生、名前通りになるにはずいぶん努力が必要な気がする。
まだまだ先は長そうだ。
だからって、美人の琴音に出会った途端に手のひらを返さなくたって。
3年間、私には嘘でも冗談でも好きだと言ってくれたことはなかったのに、琴音とはあっという間に結婚するんだから、正直かなり傷付いた。
「夏樹は私のことなんか好きじゃなかったし、便利で都合のいいバカな女くらいにしか思ってなかったんだよ」
「それってもしかして……」
「そういうことだよ。もしかしたら琴音と知り合う前も、泊めてくれる女なんか私以外にもたくさんいたのかもね。おそらく私は食事係だったんじゃないかな。当然他にも係がいろいろあったんだろうね」
「えーっ……何それ……」
夏樹は地味で所帯染みた私に、色気は求めていなかったと言うことだ。
私には色気も女としての魅力もないって、改めて自覚した。
情けないけど、あれだけ一緒にいても夏樹に好きだと言ってもらえなかった原因は、私にあったんだ。
「で……幸はこれからどうすんの?」
「どうするも何も……今まで通り。この先一人でも不自由なく生きていけるように、真面目に働いて生活費を稼ぐ」
私が蒸し鶏のサラダを口に運びながら淡々と答えると、巴が大きなため息をついた。
「いやいや……もうちょっと女として頑張ろうよ……。結婚だけがすべてとは言わないけどさ、まだ恋愛をあきらめる歳じゃないじゃん」
女であることをあきらめたつもりはない。
けど、無理してまで誰かに好かれようとも思えない。
「さぁね。こればっかりは私一人が頑張ってもしょうがないから」
「そうだ。いい男、紹介しようか?」
「いい。今はそんな気になれないし、しばらくは無理だと思う」
「まだ夏樹が好き?」
改めて聞かれると、胸の奥がズキンと痛んだ。
ただ一緒にいられるだけで幸せだった。
それ以上何も望んだことなどなかったのに、そう思っていたのは私だけだったと言うことだ。
「うーん……そうかも。やっぱりショックだったし、まだ気持ちの整理がついてないみたい。自然と次に進めるようになるの待ってみる」
「私らもう29だよ、あっという間に30だよ?そんな悠長なこと言ってて大丈夫?」
「私はまだ28。焦ってもしょうがないもん。なるようになるでしょう」
どんなに悔やんでも嘆いても、夏樹はもう私の元へは戻って来ない。
いろんなことがあって、それがあまりに唐突過ぎて、何が起こっているのかさっぱり理解できなかった。
夏樹と琴音が結婚するという現実を突きつけられ、夏樹を好きな気持ちからも、夏樹に愛されなかった事実からも目をそらそうとしていた気がする。
そうか。
だから私は一度も泣いていないのか。
「幸の良さをわかってくれる人はちゃんといるよ」
「だといいんだけどね」
なんの努力もしないでそのままの私を愛してもらおうなんて、身の程知らずだったのかも知れない。
もしまた心から好きだと思える人に出会えるなら、今度はちゃんと女として好きになってもらえるように、私も努力しようと思う。
いや……待てよ。
まずはそんな人と出会う努力から始めなきゃダメなのか?
私の人生、名前通りになるにはずいぶん努力が必要な気がする。
まだまだ先は長そうだ。
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