一夫多妻制が法で認められた瞬間、彼女に裏切られた俺~誰も信じられなくなったから一人で生きていこうと思ったのに、美少女達が寄り添ってくるんだが?~
君だけは特別ルール(1)
今日は高校で入学式が行われる日だ。
懐かしい。
僕も一年前は、これから見るであろう未知の世界に心を驚かせながら校門に足を踏み入れたものだ。
今は、そんな若かりし日の自分とは正反対の気持ちで校門を通過しようとしている。
何故なら先月、最愛の彼女、桜に振られたからだ。
桜のことを信頼しきっていただけに、その代償としてショックも大きい。
振られてから数日ほどは、部屋から顔を出すことすら出来なかった。食事もまともに取れていなかった。
そんな僕が、こうやって立ち直ることが出来たのは、ある程度自分の中で割り切れたからだ。
僕はもう、自分以外誰も信じないことにした。
誰かと馴れ合う事によって誰かに裏切られ、傷付けられるくらいなら、最初から馴れ合わなければいいのだ。
そういう考えにシフトした瞬間、今まで悩んでいたのが嘘だったかと思うくらい、気持ち的に楽になった。
心機一転とはまさにこの事。
僕は今、新しい存在としてこの地に足を踏み入れようとしているのだ。
「海人」
「ん?」
今まさに校門を超えようとしたその瞬間、誰かから声をかけられた。
僕は反射的に、声のした方向を向いた。
「海人、おはよう。」
「あぁ、乃愛か。おはよう。」
「ん」
視線の先にいたのは、山崎 乃愛という人物で、1年の頃に同じクラスだった女の子だ。
乃愛とは割と仲良くしていたため、こういう風にお互い挨拶を交わし合うことも珍しいことではない。
ちっこくて、それでいて女の子らしい体型をしている、可愛らしい女の子。
僕が彼女に抱いているイメージは、そんなところだろうか。
「海人、ここ数日ずっと学校を休んでいた。なぜ?」
「……あぁ、それはだなぁ…。」
そう。先程も述べたように、今日入学式があったということは、2年生である僕たちは既に授業が始まっているのだ。
故に、クラス替えもとっくに終わっているわけで、新しいクラスを知らないのは僕だけなのだ。
学校を休んだ理由、か。
嘘をついてやり過ごすことも出来るが、乃愛なら他言する事もないし、大丈夫だろう、という判断の元、正直に話すことにした。
「…実はだな、4月に入る前に、彼女に振られてしまったんだ」
「っ!彼女というのは、天野桜のことか!」
「え?うん、そうだけど。」
乃愛にしては珍しく、やけに食いつきがいい。
というか、乃愛に桜のことを教えた事ってあったっけ……?
「まぁ、それでしばらく立ち直れなくて、家に引きこもってたというわけなんだ」
「そうか……海人、天野桜に振られた。」
「あの、あんまり触れないでもらえます……?」
しかも、なぜかちょっと嬉しそうだ。
いやなんでだよ。
一瞬、馬鹿にしてるのかとも考えてしまったが、乃愛に限ってそれはないだろう。
……じゃあ本当になぜだ?
「海人」
「ん、なに?」
「クラスは昨年同様、また乃愛と一緒。だから私についてくれば問題ない。」
「お、本当か!じゃあよろしく頼む。」
「ん」
乃愛が一緒のクラスならば、心強い。
山崎 乃愛という人物は、よく反応が薄いだの、感情が無いだのと罵られているのだが、僕は全然そんなことはないと思っている。
ただ苦手なだけなのだ。
だから彼女がたまに見せてくれる些細な表情の変化を見ると、穏やかな気持ちになれるのだ。
それに、なんといっても彼女には優しさがある。
それは、人として何よりも大事な事で、彼女を馬鹿にするような奴らなんかよりよっぽど人間らしい。
僕がそんなことを考えながら歩いていると、前を歩いていた乃愛が急に立ち止まった。
必然的に、僕も立ち止まることになる。
「海人」
「ん、なんだ?」
「海人はまだ、天野桜の事、好き?」
「……いや、さすがにな。むしろ、これからは誰も信用しないと意気込んでるくらいだ」
僕がそういうと、なぜか乃愛は僕のことを凝視していた。
……なにか、かんに障る事でも言ってしまったのだろうか。
そう考えていたのだが、間もなくそうではないということが分かった。
「誰も信用出来ないのなら、これからは乃愛だけを信用するといい。」
「……へ?」
その一言は、完全に不意打ちだった。
乃愛は、自分から大胆な発言は、滅多にしないタイプなのだが、そんな彼女がここまで言ってくれるなんて……。
やばっ、考えたら彼女の事を意識してしまう。
「……海人、何をしている。早く教室に入りたい。」
「あっ、すまん。今行く!」
……誰も信用しないんじゃなかったっけ?とか思ってるそこのあなた。
うるせーよ。
彼女は別だ。
特別ルールで、誰も信用しない(乃愛を除く)にしておこう。
懐かしい。
僕も一年前は、これから見るであろう未知の世界に心を驚かせながら校門に足を踏み入れたものだ。
今は、そんな若かりし日の自分とは正反対の気持ちで校門を通過しようとしている。
何故なら先月、最愛の彼女、桜に振られたからだ。
桜のことを信頼しきっていただけに、その代償としてショックも大きい。
振られてから数日ほどは、部屋から顔を出すことすら出来なかった。食事もまともに取れていなかった。
そんな僕が、こうやって立ち直ることが出来たのは、ある程度自分の中で割り切れたからだ。
僕はもう、自分以外誰も信じないことにした。
誰かと馴れ合う事によって誰かに裏切られ、傷付けられるくらいなら、最初から馴れ合わなければいいのだ。
そういう考えにシフトした瞬間、今まで悩んでいたのが嘘だったかと思うくらい、気持ち的に楽になった。
心機一転とはまさにこの事。
僕は今、新しい存在としてこの地に足を踏み入れようとしているのだ。
「海人」
「ん?」
今まさに校門を超えようとしたその瞬間、誰かから声をかけられた。
僕は反射的に、声のした方向を向いた。
「海人、おはよう。」
「あぁ、乃愛か。おはよう。」
「ん」
視線の先にいたのは、山崎 乃愛という人物で、1年の頃に同じクラスだった女の子だ。
乃愛とは割と仲良くしていたため、こういう風にお互い挨拶を交わし合うことも珍しいことではない。
ちっこくて、それでいて女の子らしい体型をしている、可愛らしい女の子。
僕が彼女に抱いているイメージは、そんなところだろうか。
「海人、ここ数日ずっと学校を休んでいた。なぜ?」
「……あぁ、それはだなぁ…。」
そう。先程も述べたように、今日入学式があったということは、2年生である僕たちは既に授業が始まっているのだ。
故に、クラス替えもとっくに終わっているわけで、新しいクラスを知らないのは僕だけなのだ。
学校を休んだ理由、か。
嘘をついてやり過ごすことも出来るが、乃愛なら他言する事もないし、大丈夫だろう、という判断の元、正直に話すことにした。
「…実はだな、4月に入る前に、彼女に振られてしまったんだ」
「っ!彼女というのは、天野桜のことか!」
「え?うん、そうだけど。」
乃愛にしては珍しく、やけに食いつきがいい。
というか、乃愛に桜のことを教えた事ってあったっけ……?
「まぁ、それでしばらく立ち直れなくて、家に引きこもってたというわけなんだ」
「そうか……海人、天野桜に振られた。」
「あの、あんまり触れないでもらえます……?」
しかも、なぜかちょっと嬉しそうだ。
いやなんでだよ。
一瞬、馬鹿にしてるのかとも考えてしまったが、乃愛に限ってそれはないだろう。
……じゃあ本当になぜだ?
「海人」
「ん、なに?」
「クラスは昨年同様、また乃愛と一緒。だから私についてくれば問題ない。」
「お、本当か!じゃあよろしく頼む。」
「ん」
乃愛が一緒のクラスならば、心強い。
山崎 乃愛という人物は、よく反応が薄いだの、感情が無いだのと罵られているのだが、僕は全然そんなことはないと思っている。
ただ苦手なだけなのだ。
だから彼女がたまに見せてくれる些細な表情の変化を見ると、穏やかな気持ちになれるのだ。
それに、なんといっても彼女には優しさがある。
それは、人として何よりも大事な事で、彼女を馬鹿にするような奴らなんかよりよっぽど人間らしい。
僕がそんなことを考えながら歩いていると、前を歩いていた乃愛が急に立ち止まった。
必然的に、僕も立ち止まることになる。
「海人」
「ん、なんだ?」
「海人はまだ、天野桜の事、好き?」
「……いや、さすがにな。むしろ、これからは誰も信用しないと意気込んでるくらいだ」
僕がそういうと、なぜか乃愛は僕のことを凝視していた。
……なにか、かんに障る事でも言ってしまったのだろうか。
そう考えていたのだが、間もなくそうではないということが分かった。
「誰も信用出来ないのなら、これからは乃愛だけを信用するといい。」
「……へ?」
その一言は、完全に不意打ちだった。
乃愛は、自分から大胆な発言は、滅多にしないタイプなのだが、そんな彼女がここまで言ってくれるなんて……。
やばっ、考えたら彼女の事を意識してしまう。
「……海人、何をしている。早く教室に入りたい。」
「あっ、すまん。今行く!」
……誰も信用しないんじゃなかったっけ?とか思ってるそこのあなた。
うるせーよ。
彼女は別だ。
特別ルールで、誰も信用しない(乃愛を除く)にしておこう。
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