最強のカップルはただ単に楽しみたい ~最強(トール)と天魔(パートナー)の学園無双~

志水零士

第一章 ~入学試験~  22 元一位の現夢想

「防衛戦において、絶大な戦闘能力を発揮したって聞いたことがあるけど……この学園みたいな空間を形成して、対処したってことなの? あれ? じゃあ、さっき相馬に浴びせてた攻撃は? ……やっぱり、あの流れが何か意味があるの?」
「ほぉ、まさかそれに気づくとはな。……隠してようがお主らには勝てんし、説明してやるとするかの」
「……元一位で、多人数と戦うことが得意だというのに、勝つ自信がないの?」
「お主なぁ……いくら儂が対多人数戦を得意とするとは言っても、さすがにお主らほどの猛者は無理じゃよ。そもそもとして、お主らの場合は一対一でも無理じゃからな。……というか、分かっていて言っておるじゃろ」
「……まぁ、一応」
「やっぱり惚気か。……似た者同士の二人じゃな」
「「いや、それほどでも」」
「ふむ……やはり、お似合いじゃな」

 他の人なら呆れるところかもしれないが、ケイラ学園長は孫を見るような優しい目でそう言った。ケイラ学園長からしたら、二人くらいの年頃の少年少女は、孫のようなものなのだろう。

「それで、ケイラ学園長の現夢想マジックはどういうものなの?」
「ああ、そういう話じゃったな。……儂の現夢想マジック事流域フェイト。一言で言えば、指定の範囲において、物事の流れに干渉する現夢想マジックじゃ」
「……つまり、邪生タイラントに対しての特効性も、それによって生み出した流れによるものってことか?」
「本質はそうじゃな。この学園の中には、清らかなものを受け入れ、汚らしいものを外に流す流れを形成してある。そして、自分が生み出した流れに反する対象に対してマイナスの副次効果を与える派生技ブランチ流域の観測ジャッジメントよって、邪生タイラントに特殊な効果を与えているわけじゃ」
「……副次効果で、邪生タイラントの強さを二十パーセントにまで下げ、更に継続的にダメージを与えているというの?」
「……まさか、そこまで解析しておったとはな。因みに、先ほどの説明に嘘は無いぞ。儂の有する派生技ブランチはそれだけであり、儂はただそれだけを高めてきたのじゃからな……未だに、その次に進むことは出来ておらんが」

 ケイラ学園長はそう言って、相馬の方を見た。その瞳に宿るのは先ほどのような年寄りの穏やかな光ではなく、少年のような強い憧れの炎だ。

「史上初めて、派生技ブランチの先――真技シードに至った者。はっきり言って、とても羨ましい」
「それは光栄だな。だが、このまま終わる気もないんだろ?」

 相馬がそう問うと、ケイラ学園長は強く頷いた。

「無論じゃ。それまでは、何が何でも死ねん。自分の老化が遅くなる流れの形成に加えて、流域の観測ジャッジメントのもう一つの効果、流れに沿った動きを示す対象に対してプラスの副次効果を与える力を使用して、限界まで老化速度を遅くしているくらいじゃからな」
「ま、だよな。普通だったらあんた、年齢的な問題で死んでいるはずの歳のはずだし」
「そうなの?」
「ああ。俺の記憶が正しければ、この人は百五十歳を超えているはずだぞ。違うか?」
「その通りじゃ。……ああ。それと、先ほどの攻撃も流域の観測ジャッジメントのプラスの効果を利用したものじゃ。お主にある程度の強さを示してもらう、という流れを作ることよってな」
「なるほどな。だから、絶妙に難しい位置ではあったが、うまい具合に避けれるスペースがあったのか。……それにしても、流れを生み出すことであれほどの攻撃を可能にするとは……さすがだな」
「そりゃあのう。……儂、自慢の現夢想マジックじゃからな」

 ケイラ学園長は相馬の賞賛を受けて、誇らしげにそう言った。





……まあ……ね?
元一位だし、これくらい強さがあってもいいと思うんですよ、ええ。
次はおそらく、ケイラ校長が二人を呼んだ理由についてになると思われます……多分。
あと、明日は投稿出来るかが、今日以上に不明です。すみません。

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