覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

爆発

「まさかアイツがオレに頭を下げるとはな」
「それだけこの国がピンチという事じゃ」
「次はどうする?まだ交渉するつもりか?」
「ヴァルカンは知能が高いから嘘は通じんし、交渉するメリットも無いからのう...」
 話している間にまた炎が襲って来る。
 悟空が觔斗雲を素早く動かしかわす。
「悟空よ一時目を瞑れ!取り敢えずこれで時間稼ぎじゃ!」
 太公望はヴァルカンの目の前を狙って雷光玉を投げた。
「パーン!」
 音を立てて雷光玉は破裂し強烈な光を放つ。
「ヴォ!」
 ヴァルカンは近距離でその光を直視したため目を開けられずにいた。
「今じゃ悟空!」
「おお!」
 真上から頭上を狙い猛スピードで垂直に突っ込む!
「おりゃ喰らえーっ!」
 神通力を使って強化した如意棒を脳天に渾身の一撃を繰り出す。觔斗雲のスピードも加わって破壊力は抜群!
「ギャゴーーーーーーーーン!」
 鉄壁な竜の鱗にヒビは入れられたが貫けはしなかった。だが、衝撃波がヴァルカンの身体を上から下まで通り抜け地面に到達する。
「ヴァオオオーーーーーーッ」
 この戦いで初めてダメージを受け叫ぶ。
「これは効いただろ」
「ああ、効いておる。その調子じゃ...悟空!今すぐここを離れるぞ!」
 ダメージを受けた瞬間に竜の鱗の隙間から猛烈な勢いでガスが噴き出ていたのだ。
 そのガスに引火させようとヴァルカンが炎を吐く。
「ドゴォーーーーーーーーン」
 大爆発が起こり、城下町はその凄まじい威力によりほぼ全壊してしまった。
 間に合わないと判断した太公望が宝貝、霧露乾坤網(ムロケンコンモウ)を咄嗟に取り出し水のバリアを張って、ノーダメージでは済まなかったものの何とか耐えきった。
「化け物め、城下町を吹き飛ばしおった」
「許せん。あの飯屋まで無くなってやがる」
 アザーム城も城の形は残っていたが、外壁はボロボロに崩れ酷い有様になっている。
「まさかダリクは逃げ遅れておらんじゃろうのう」
「太公望、人の心配は後回しだ。あの野郎こっち見てまた詠唱してやがる」
 と言ってる間にヴァルカンの魔法が具現化した。
 とてつもなく大きな球状の炎の壁が二人を囲み閉じ込める。
「耐えられるか分からんがもうこれしかない。おぬしも強度の増加に協力するのじゃ!」
「おう!」
 霧露乾坤網を再度使用し水のバリアを球型に張り守りを固めた。
「逃げ場はないぞ!フレア・エクスプロージョン」
 囲んでいた炎の壁が中心へ向かい圧縮する全方位攻撃。炎系最強クラスの魔法が再び二人を襲う。
 攻める炎と守る水の図式。
「た、耐え抜くぞ!悟空!」
「グッ、分かってらーーーっ!」
 全力で耐え続ける二人であった。

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