覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

暗闇

 キャンプファイヤーの炎が小さくなり、全員で後片付けに取り掛かった。肉は明日の朝食用を焼いて残し、あとは本当にミーコとミニョルが食べてしまった。どんな胃袋してんだこの二人。
 片付けが終わり流石に全員疲れたのか、おやすみの挨拶を済ませ各々のテントへ入っていった。
 テントの中で横になってミーコに話しかける。
「今日は充実した1日だったなミーコ」
「うん!最高だったね〜。ミニョルとあの熊を狩ってる瞬間がぁ.......」
 寝た。
 早すぎだろ猫娘。
 他のテントからも話し声は聞こえず、みんな疲れきったのか早々と寝てしまったようだ。
 俺は何故か全く眠気が来ない。
 「ホーホー」とフクロウの鳴き声だけが暗闇に響いていた。
 またいつかキャンプやりたいな。今度やるなら修行とか抜きにして遊びまくってやる。海の近くでキャンプするのも悪くない、釣りや海水浴に水着...いいじゃないかいいじゃないか。
 そんな妄想をしていると、フクロウの鳴き声がしなくなった事に気付く。
 心が落ち着かない、テントの外にでて辺りを見回すが真っ暗で静かだ。いや、静かすぎる...
 林の方を見ると、小さいが赤く発光する何かが一瞬見えて直ぐに消えた。何だあれ!?
「ディサピア」
 俺はインビジブルを使い林の方へ向かう。音を立てないよう林に入り、先ほど光の見えた場所を確認する。そこには何も無かったが念のため木の上を見ると、!?枝の上に立っている人影があった。
 暗くて把握しづらいが、そいつは見慣れない服装にマントを羽織っている。モンハンに出て来るナルガクルガの怒り状態に似た赤く光るその眼はテントの方をジッと観察しているかのように思えた。
 もし敵であれば、相手がこちらに気付いていない今なら、背後から素早く近づき村正で一刀両断出来そうだが...敵味方の判断がつかない。
 ヒリヒリする膠着状態の中、聞き慣れた声が聞こえる。
「アンデットであるヴァンパイアの貴方が人間界に何の用です?アンデット系は人間と契約できない筈ですが」
 ルカリだ。
 空中に浮き、右手にレイピアを持ってヴァンパイアと呼ばれた奴の正面で話しかけている。
「おっと、これはこれはエルフ様ではございませんか。用件は人間様にございますので、エルフ様にお答えするつもりはないわーーーっ!」
 ヴァンパイアはマントの中から長剣を取り出しルカリを強襲!
 素早い剣撃をルカリは軽く交わし、レイピアでヴァンパイアの首を一刺し!
 終わったか!?うおおルカリつえ〜!と思った刹那。
 両者の間に爆発が起こり、ルカリが吹き飛ばされていた。
 

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