覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

担当割

 猪と熊が死んでるのを生で見るのは初めてだった。
 しかし、これを食べらる状態にするとなると...
「熊と猪を捌けるのって誰だ〜?」
分かりきってはいたが一応全員に呼びかける。
「あ〜い、あちしとミニョルだよ〜」
はい予想通りでした。食べれると判断して狩ったのだから、異世界でも似たような生物を狩って食べている筈、ミーコとミニョルは捌けると踏んでいたのだ。
 野菜は先日スーパーで購入した物がある。
「じゃあ肉班はミーコとミニョル、野菜班は泉音とルカリ、残りの4人で諸々準備するという事にしよう」
 ずっと勝手に全員の担当割などをやってリーダーぶっているが、これでいいのだろうか?これでも人生経験は豊富な方だが...
 もし俺に問題があるようなら誰かが教えてくれるかも知れないし、今はこのままやってみるか。
 取り敢えず深く考えるのはやめておこう。みんな素直に動いてくれているのだから良しとする。
「諸々班は薪集めから行くぞ〜」
「薪集めなら試したい事があるから、枯木を探してくれないかな?」
「お、みくるに考えがあるんだな。了解」
 そうそうこうやって意見を言ってもらえるとこちらもありがたい。
「みくるさーん、こっちに枯れてて倒れそうな木がありましたよ」
 治志が希望に叶う木を見つけたようだ。
「あ、良いね良いね。治志君サンキュー。みんな私の後ろに下がってくれるかな」
 言われたまま3人は後ろに下がる。何する気だろう。
「ウィンドエッジ・乱舞!」
 木に向かって両腕を交互に素早く動かし風の刃を放っている。
 みくるが風の刃を放ち終わった数秒後、木は音を立ててバラバラに崩れて見事に薪に使える大きさになっていた。
パチパチパチとリアーネが拍手する。
「素晴らしい修行の成果ですね、みくる」
 リアーネは褒め上手だよなと思いつつ、修行での成長があったようで俺も嬉しい。
 大量の薪を俺と治志が拾おうと動く。
「二人ともちょっと待って!まだ終わりじゃないの。今度はその薪を風の力で調理場の前まで運ぶから」
 え!?マジですか!?そこまでやって貰っちゃうとこっちとしては有り難い限りではあるけれど。
「ウィンドトランスポート!」
 薪のある場所に竜巻が発生し薪を吹き飛ばさずに、薪が竜巻に包み込まれている状態を保っている。そのまま調理場の前まで竜巻は移動して消滅、バラバラと真下へ落下して積み上がってしまった。
 俺は遂に我慢していた言葉を解放してしまう。
「ありがとうみくるもーん!」
 みくるにキッと睨まれた事は言うまでもあるまい。

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