覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

換金

 店主の爺ちゃんが再度現れ鑑定を始める。しっかり眼鏡とルーペをの完全装備であることはを付け加えておこう。
「ムムム...」
爺ちゃんがうねる。
「この小判は珍しくて素晴らしい物ぢゃ、1枚あたり200万として9枚で1800万で買い受けるがどうぢゃ?」
ネットで高価な物はそれくらいの値が付く事は知っていたのだが、この小判に価値があるという事実を目の当たりにすると驚かざるを得ない。
「い、良いんですけど、げ、現金でもらえたりるのでしょうか?」
まだ頭は正常に働いている。
「無論ぢゃよ」
一気にMAXハイテンションに達する俺の図。
「泉音や、早速持って来ておくれ」
「はーい」
隣で聴いていた綾野泉音が場を離れ店の奥へと消えて行く。
「ぢゃ、現金が届く間、書類にサインして貰おうかのぉ」
爺ちゃんが金額を書いて書類を見せる。
念のためエルフに抱き抱えられたままのミーコの表情を確認する。察するに、今回は何も怪しさは感じないらしい。
「ここで良いですか?」
「大丈夫ぢゃ」
俺は少し震えた手で署名押印して爺ちゃんに書類を渡す。
「爺ちゃん持って来たよ〜」
綾野泉音が100万の束を数えながら置いていく。
「16、17、18。はい、これで1,800万円丁度です。一枚一枚数えて頂いても結構ですが、念入りに数えてあるので大丈夫です」
俺は「ゴクリ」と唾を飲み込む。
「あ、いえいえ信頼してますから」
会ったばかりの人達を信用するのも何だが、綾野泉音に関しては何故だか疑う気持ちが起こらなかった。
「あの、差し出がましいようですが大金ですし、一度銀行に預けられた方が良いと思います」
こんな大金マンションに持ち帰るわけにはいかんだろうし、近くに口座のある銀行を見かけたからそこに預けよう。
「ですよね、ご心配ありがとうございます。そこの○○銀行に預けに行きます」
「でしたら私も銀行までご一緒しましょうか?」
おっと思わぬ展開。銀行までと遠慮なさらずに食事までと言おうとしたが止めといた。1日に2回も振られたくはない。
「じゃあ行ってくるね、お爺ちゃん」
「気をつけてな」
お爺ちゃんが笑顔で見送る。
「ありがとうございました」
お爺ちゃんにお辞儀して2人で、いやプラス2名の4名で銀行へと向かう。
「自己紹介がまだでしたね。私、綾野泉音、大学生やってます」
「俺は仙道源九郎、えっと、自営業をこれからやろうとしてるとこです」
まだギクシャクしてるなと感じているところに。
「あのぉ、貴方も妖精さんと契約してるんですね。さっきルカリが教えてくれました」
行動早いなエルフのルカリさん。

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