異世界になったこの世界を取り戻す

文戸玲

監獄にて④~ヒューゴの過去①~

 まだ若い頃、わしは地球の発展を心より願い,期待し,より便利で幸せな世界を実現するために力を尽くしていた。研究の成果や技術が認められれてそれなりに名前が通りだした頃,わしは科学の研究開発チームとして呼び出された。片田舎に住む者としては大出世じゃった。家族は家系からだけではなく,村一番の大人物を生み出したとそれはそれは喜んだ。迷いもせず,わしはその申し出を引き受けた。大好きなことをして,家族や村人を喜ばせ,人様の役に立つことが出来るというのが嬉しくて嬉しくてたまらんかった。
 そこで求められていた仕事は,人々がよりよい生活をするためのエネルギー研究じゃった。わしは,そこで精いっぱい働くことがこれから多くの人々に笑顔を与えると信じていた。研究に研究を重ね,寝る間も惜しんで新たな理論とそれに伴う物質の開発に成功した。その物質の名はアトム。おぬしらも聞いたことがあるじゃろう。爆発が爆発を呼び、そのエネルギーは物質が空気に触れるまで半永久的に継続し,膨張し続ける。アトムがため続けたエネルギーに耐えきれず入れ物がはじけ飛ぶとき,一気にそのエネルギーは拡散する。
 悪魔を生み出したと気付いたのは全てが終わってからじゃった。
 この原理を応用すれば,そう考えると可能性は無限大にないに広がった。馬などの生き物を国j視しない乗り物、老体に無理をさせない農業や宅地の開発,闇が訪れない町・・・・・・この世界が希望に包まれているのを感じていた。しかし,この技術は思うようには進まなかった。わしの研究成果を示すと,その原理の応用と実践は別のチームに回された。それから何が起こったか・・・・・・。わしの村が,わしの生み出した悪魔、アトムによって吹き飛ばされた。

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