異世界になったこの世界を取り戻す
初めての冒険⑳~神のご加護~
「おやめなさい。どうか,神のご加護を」
ジャンがチチカカを手に掛けようとしたその時,彼女は有無を言わせぬ威厳のある声で言った。
声のする方を振り向いたジャンは牙をむきかけたが,金髪の女の人の顔を見て態度が180度変わった。
「何言ってやがんだ・・・・・・。汚い言葉を使ってしまいました。普段はこんな言葉は使わないのですが,大切な仲間を傷つけられてつい気が立っていまして。こんな危険なところで何をされているのですか? お怪我はないですか?」
思わず目をそらしたくなるほど,情けない。ジャンは,美人に弱い。
「ケガは一切ございません。それよりあなた,腕にけがをしておられるではなりませんか。少し見せてください。手当てをして差し上げましょう」
そう言うとジャンは鼻の下を伸ばして女性のもとへと駆け出した。けが人の動きとは思えない・・・・・・。
「あら,ひどく深い傷だけど,自分で治癒したの? かなりの腕の持ち主ね。木ッと殺しても死なないんだわ」
「何をおっしゃいます。傷口から黴菌が入ってはいけませんから,優しく手当てをしてください」
全く何をやっているんだジャンは。見ていられない。顔を背けようとしたその時,金髪の女の人の手元が光った。直後の光景は呼吸をするのも忘れるほどのものだった。
汝,すべての病める者を救いたまへ・・・・・・。そう祈ったとたんにジャンの腕は戦う前のように傷跡も残らぬものとなった。腕だけではない。敗れていたはずの袖までも治っている。今のは詠唱だったのだろうか。
ジャンも驚きを隠せないでいる。伸びた鼻の下が引き締まり,目の前の美女を分析するように見つめている。
「申し遅れました。我が名はアトラス。連絡が入ってこちらへやってきました。大変だったようですね」
静かな声でアトラス様はジャンに向かって名前を名乗り,祈るようにして十字架を切った。
ジャンがチチカカを手に掛けようとしたその時,彼女は有無を言わせぬ威厳のある声で言った。
声のする方を振り向いたジャンは牙をむきかけたが,金髪の女の人の顔を見て態度が180度変わった。
「何言ってやがんだ・・・・・・。汚い言葉を使ってしまいました。普段はこんな言葉は使わないのですが,大切な仲間を傷つけられてつい気が立っていまして。こんな危険なところで何をされているのですか? お怪我はないですか?」
思わず目をそらしたくなるほど,情けない。ジャンは,美人に弱い。
「ケガは一切ございません。それよりあなた,腕にけがをしておられるではなりませんか。少し見せてください。手当てをして差し上げましょう」
そう言うとジャンは鼻の下を伸ばして女性のもとへと駆け出した。けが人の動きとは思えない・・・・・・。
「あら,ひどく深い傷だけど,自分で治癒したの? かなりの腕の持ち主ね。木ッと殺しても死なないんだわ」
「何をおっしゃいます。傷口から黴菌が入ってはいけませんから,優しく手当てをしてください」
全く何をやっているんだジャンは。見ていられない。顔を背けようとしたその時,金髪の女の人の手元が光った。直後の光景は呼吸をするのも忘れるほどのものだった。
汝,すべての病める者を救いたまへ・・・・・・。そう祈ったとたんにジャンの腕は戦う前のように傷跡も残らぬものとなった。腕だけではない。敗れていたはずの袖までも治っている。今のは詠唱だったのだろうか。
ジャンも驚きを隠せないでいる。伸びた鼻の下が引き締まり,目の前の美女を分析するように見つめている。
「申し遅れました。我が名はアトラス。連絡が入ってこちらへやってきました。大変だったようですね」
静かな声でアトラス様はジャンに向かって名前を名乗り,祈るようにして十字架を切った。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
4
-
-
124
-
-
89
-
-
24251
-
-
29
-
-
4503
-
-
6
-
-
52
-
-
4112
コメント