異世界になったこの世界を取り戻す

文戸玲

初めての冒険⑩~気功法~



 戦う。自分を守るために,大切な人を守るために。やるんだ。
 そう強く思った時,手元が光った。右手には剣が握られている。何か強く願った時,詠唱と同じように何かを呼び出すことが出来るのだろうか。理屈はまだ分からないけど,これで戦うんだ。

「お前は前線に出るな」

ジャンが言い放った。目は敵の動きを見落とさないように力強く前を向いている。

「邪魔はするなっていうのかよ」
「甘ちゃんだな。なんだって役割分担が必要なんだよ。おれが相手を蹴散らす。おれの隙をついてくる子オオカミたちを落とせ。剣を使ってもいいが・・・・・・」

ニタっと笑って続けた。

「気功砲を使ってみろ。バオウを倒した時に使ったやつだ。お前なら片手で出せる」

待てよ,どういうことだ。そう言おうとしたときには,ジャンがチチカカのもとへと駆け出していた。せっかちねえ,と言ってチチカカが指を鳴らすと,狼たちが一斉にジャンのもとへと向かった。気付いたら左手を前に突き出していた。オオカミをめがけて,光の玉がオオカミのもとへ一つ飛び出した。

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