異世界になったこの世界を取り戻す

文戸玲

初めての冒険②~しゃべるネズミ!?~


 暗がりの中を歩いていると,中から人が大急ぎで出てきた。その服装からは珍獣ハンターであることが見て取れたが,何か世紀の大発見をしているかのように大慌てをしている。

「おい,あいつどこ行った!?」

口の端に泡を作って少ない言葉で身振り手振りを交えて喋っているが,何のことを言っているのかさっぱり分からない。ジャンも首をかしげている。

「あいつって,どいつのこと?」
「あーーー,言葉を話すネズミだよ! 貴重な生き物を見つけたと思ったのに,とっ捕まえようとしたら逃げちまいやがった!! まだこの辺にいるはずだ! 見つけたら教えてくれよな! 礼ははずむからよ!」

一息に言い切ると走って茂みの中に入っていった。なんだったのだろう。ジャンと顔を見合わせたが,考えたもしょうがない。とにかく,この中には不思議なことが待ち構えているのだ。浮足立つ気持ちを抑えて奥へと歩いて行った。
 少し歩くと,さっきの謎はすぐに解明された。
 岩のドームの入り口がもう少しで見えてくるかというところで,どこからともなく声がした。

「二人! 助けて。動けない。この森,詳しい。ここから,出して」

チューというかわいらしい鳴き声と高い声からカタコトの声が聞こえてきた。その声の方を見ると,ツタと罠に絡まった羽毛の綺麗なネズミがつぶらな瞳でこちらを見ていた。

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