異世界になったこの世界を取り戻す

文戸玲

初めての冒険①~出発進行~

「出発進行~~~♪ でさ,どこに向かうの?」

 これからの冒険に胸を躍らせながらジャンに尋ねた。このワクワクを抑えられずにどうしようもない気持ちとは対照的に,ジャンはため息をつきながら言った。

「お前ってやつは本当に能天気だよなー。知らぬ間に絶体絶命のピンチを迎えていそうだよ。おまけに当の本人は大ピンチってことに気付いていないオプション付き。先が思いやられるよ・・・・・・。いいか,旅っていうのは死と隣り合わせの側面もあるんだ。常に先のことを見通して行動しておかないと,・・・・・・おい,聞いているのか」

 ジャンの小言を聞き流しながら歩いていると,岩のドームのような建物が見えてきた。球体のような屋根のふもとには木々が生い茂っている。いかにも冒険のにおいがしてきて嬉しくなってきた。


「ジャン! こういうのだよ! きっとワクワクすることがあそこには待っている! 行こう!」
 勢いよく足を動かしてほこらへと向かう。近づくと,球体をしていた岩のドームは見えなくなり,目の前には不気味な森が広がっていた。まとまりごとに違う色合いを見せて一体感のないその中は光がほとんど遮断されていて暗がりになっていた。

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