嫁ぎ先の旦那様に溺愛されています。
交差する思い(2)
洗濯物を干してもらったあと、「莉緒、これ」と、渡されたのは高級そうな耳かき。
箱から出したあと、彼に迷惑を掛けたこともあって、畳の上に座ったあと――、
「総司さん」
彼の名前を呼びながら、スカートをポンポンと軽く叩く。
結局、膝枕みたいな形になってしまう。
耳かきは、そんなに慣れていないので時間をかけて終わらせたところで、総司さんは寝ていた。
「……はぁ」
少し落胆しつつ、何を期待していたのかと自分に問いかけながらも、彼が寝ているので動けない。
仕方なく、ぼーっとしていると気が付いたことがある、
それは、総司さんの顔がハッキリと見えること。
「寝ている時は、怖くはないんですけどね」
よくよく見て見れば総司さんをヤクザと間違えたのは、その目つきだと思う。
あとはピリピリとした雰囲気。
最近は、そういう印象はないので普通の強面の男性って感じで見えてきた。
「寝顔は、目端が整っているからイケメン?」
寝ていれば、そこまで悪くないのに――、もったいないと思いつつ、彼の髪の毛を手で梳く。
髪の毛は手入れがされていて、サラサラで手触りは悪くない。
「ほんと――、全然、指に絡まない……」
私は腰まで髪を伸ばしているというかお金がないから伸びていたので、手で梳くと途中で指先が引っかかる。
あとは夏場だと、私の髪質は癖毛なので湿気を吸ってしまって大変な事になるので、ちょっと羨ましい。
あと3ヵ月で雨季に突入なので、少しだけ億劫だったりする。
「――ん……」
色々な葛藤が心の中で渦巻いていたところで、高槻さんが目を覚まして私を見上げてくる。
「終わったのか?」
「はい。耳かきは終わりです」
「そうか……」
少し残念そうな顔を見せる高槻さん。
きっと寝足りないのかも知れない。
「眠かったら、お布団を敷きますので寝室で寝た方がいいですよ?」
「いや――、仕事があるから」
彼は、身体を起こすとパソコンの電源を入れてしまう。
「莉緒、今日は一日休んで体調を戻すように――、いいな?」
「分かりました。ただ、昼食は作りますので」
「昼食は櫟原が買ってくるから気にするな」
「はい」
仕方なく私は頷く。
「それと巫女服の件だが、寒い時は中に何か着こんでもいいぞ? まさか、下着と巫女服だけで仕事をしているとは思わなかったからな」
「ジャージを着こんでも大丈夫ですか?」
「ああ、また身体を壊されても困るからな」
「はい……」
「あとは。携帯用カイロも櫟原に頼んでおいたから使うように」
「……至れり尽くせりですね」
「雇用主としては従業員の労働環境の改善は当然のことだ。だから勘違いするなよ?」
「分かっています」
話しが終わったあと、櫟原さんが買ってきた高そうなお弁当を食べたあと、カイロを貰い自分の部屋へと戻り布団に入った。
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