結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

107話 お預けで八つ当たり?

ーパーン。
ーズパァァン!!
ースパ。
ースパ。
ーピン。
ーピン。
ーパン。
ーズパァァン!!


館内に打ち合う音が響く。
ポイントは今、トゥエンティー・ラブ。


俺と先輩は防御を重視してこの状況を続ける事にした。
それからかなりの時間が過ぎた気がする。


「はぁはぁ…うりゃ!!」
ーズパァァン!!
ーパン。
「はぁ、よいしょぉ!」
ースパン!
ースパ。
ースパ。


返ってくるものを確実に相手のコートに返す。
前後への揺さぶりは無いが、左右の動きは取り入れてきている。
変わらず強気に攻めてはいたが、そろそろ体力も限界に近い様だ。


「はぁはぁ、ぐ!」
ースパン!
ーパン。
「ん!」
ースパ。
ーパン。
ースパン!
ーパシュ!
「っ!うらぁ!」
ーパン。


上がったロブに対して、俺は後ろの先輩に合図を出す。
ーズパァン!


「「てやぁぁ!」」
ーカツ。がさ。


「マッチウォンバイ、翔・和歌ペア。2ー0」
「はぁはぁ…ふぅ。ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
「ふにゅぅ。あ、ありがとうございましたぁ〜。」
「うん!ありがとうございました!」


お互いに握手をする。


「お互いに課題はあるだろうが、今は少し休憩にしよう。」
「ん〜楽しかったね!翔くん。」
「そうですね。和歌先輩とダブルスは久し振りでしたが、体が覚えているものですね。」
「あれだけの試合後だというのに和歌は元気だな。」
「あ、きりんちゃん。ふふ。私はいつでも元気だよ。」


試合後でも元気いっぱいな先輩。
俺は少し疲れた、主に精神面で。


「翔も余裕がみえるな。頑張っていたし魔力総量も増えたんじゃないか?」
「そうですかね?ダブルスですし、節約してたとこもありますが。」
「翔の試合はシングルスの予定だが。まぁ今の翔なら問題なさそうだな。」


ストレートとはいえ2ゲームを終えても魔力切れの気怠さは無い。
走り込みや特訓の成果が出ているのかな?
魔力の総量調べられたら手っ取り早いんだけど。
前にルカさんに確認したら、数値化はできないって言われたし。


「この試合での流れを忘れない様に気をつけて挑みます。」
「うむ。翔なら心配いらないな、頼んだぞ。」
「はい!」
「翔くん固いよ〜。もっと肩の力抜こうよ。」
「了解です。程々に頑張ります。」
「うんうん。あ〜早く明日にならないかな〜。試合したい!」
「ん?明日相手が来るが試合は明後日だぞ?」
「え!?」


相手もこちらに着いてすぐ試合は厳しいだろうし、まぁすぐ試合は無いのかなって思ってはいたけど。
先輩はすぐ出来ると思っていて、直前にお預け状態に落ち込んでいる。


「な、なので和歌と翔には、ローとリコにダブルスの何たるかを教えて欲しいのだが…。」
「ふふふ。しょうがない。2人には八つ当たり…厳しく教えちゃおう!」
「今八つ当た…いえ、何でも無いです!俺も付き合います!!」


試合後も元気な先輩はやる気満々。
八つ当たりの部分をツッコミたかったが、先輩の顔がとてもにこやかで俺はただ従う事にした。


「と言うわけで2人共、特訓はこれからだよ。」
「「え?少し休憩は?」」
「大丈夫!明日は試合も無いし休む時間はあるから。」
「でもな。試合後のクールダウンを…。」
「そう?じゃ、外で走って…」
「よし!すぐ始めようぜ!さっきの試合の感覚があるうちにすぐにだ!ご教授お願いします!」
「り、リコもまだ打てるよぉー!和歌先生お願いします!」
「走っても良かったんだけど、さっきの試合の感覚あるうちにっってのも大切だね。」
「「うんうん!」」
「よし。翔くん!何から始めればいい?」
「あ、そこは俺が考えるんですね。」


妙に仕切るが効率とか練習メニューみたいな細かい作業は考えたりはしない。
先輩は前から変わらないなぁ。
2人のクールダウンをしたい気持ちも分かるし、ここは弱点や反省点を上げつつ少し話を…。


「翔くん。打ちながらでもお話は出来るよね?私が打つから早く指示を出してね。」


あはー。心読まれたかなー?


「と言うわけで2人はコートに。ロングサービスはドロップで、ショートはヘアピンで返して下さいね。」
「お、おう。」
「う、うん。」
「あ、因みに当然こちらも打ち返しますんで。ロブはドロップ、ヘアピンにはヘアピンで返して下さいね。」
「「(あれ?翔もスパルタ!?)」」
「2人共いっくよ〜。」


こうして2人のスパルタ特訓は夕飯まで休み無く続くのであった。



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