結構マジでやってます。
103話 違う流れ?
2ゲーム目が始まり先制点は取れてワン・ラブ。
さっきのゲームと何か変えてくるかと思ったが、特に変わった様子はない気がする。
2人は自分の得意なドライブやスマッシュは狙うが、あまりドロップやヘアピンなどのネット側に落とすショットはしてこない。
好きな球を打つ為に相手にロブやクリアなど打たせるやり方をしてくると思ったけど…
ガットを直しつつ少し考えたが今の所答えは分らなかった。
先輩に3本のドロップで合図を出してから、ショートサービスの構えをとる。
それを見てローランドさんは少し屈んで待ち構える。
俺はそれを見てから。
ースッパーン。
「おわ!?」
ーパーン。
前方に落としてくるショートサービスと思ったのであろうローランドさんは、慌てて後ろに下がりクリアで返してくる。
それを見てリコさんが前に出てくる。
ースポーン。
先輩は合図した通りドロップ。
リコさんの左、ローランドさんの前に。
「にゃ!」
それにしっかり反応して返してきた。
だがそれは予想できた事。
ーパシュ!
「ツー・ラブ」
プッシュで決める。
「すまんリコ!」
「私もごめん!」
「…ふむ。」
「翔くん何悟った顔してるの?」
「そ、そんな顔してますか?」
「うん。顔もそうだけど癖もかな。手を顎に当てるとことか。」
「今まで気付かなかったです…。」
言われて気づいたけど、確かに顎に手がある。
今度から少し気にしよう。
「で?何かあった?」
「あ。はい。さっきのゲームと違った所が無いなって思ってたんですが、声掛けや配置とか少しダブルスぽくなったなっと。」
「そう言えばリコちゃん前に来てたし、変わったと言えば変わったね。さっきまでコート半分にして戦ってる感じだったしね。」
見てない様でよく見てるな。
第1ゲームは先輩の言う通り、コートを半分にして戦っている感じだった。
そんな動きは読むのも正直言うと簡単だった。
これからはちょっと大変そうだな。
「さて…面白くなってきました。」
「ふふ。私も燃えてきたよ。」
「おいおい、リコ。あの2人顔付き変わったな。」
「ん〜リコ達ももっと気合入れていかないとね。」
ースッパーン。
ーパーン。
ーパーン。
ローランドさんにクリアで返して、先輩には指4本でロブを合図しておく。
「どらしゃぁぁ!!」
ーズパァァン!!
「ほい。」
ーパン。
「ローのスマッシュ簡単に取られてるじゃん…っと!」
ースパ!
ースパ!
一瞬の流れの中で指を3本のドロップで合図。
ースパ!
「はーい。ドロップ。」
ースポーン。
合図を出すとその通りの送球をしてくれる。
出してる俺が言うのもなんだが、先輩は凄すぎるわ。
ドライブからの前に落ちてきたシャトルにも迅速に対応するリコさん。
ーピン。
ーピン。
長くはヘアピンで勝負はしてこないだろう。
指3本でドロップを合図。
ーピン。
ーピン。
ーパン。
「少し屈んでくれると…。」
俺は声を聞いて少し屈んだ。
ースポーン。
ーピン…がさ。
「ネット。スリー・ラブ。」
「うんうん。いい位置だったよ。」
「屈んでって聞こえましたし。」
「あれ?声出てたっけ?」
「小さくですが聞こえましたよ。」
「まぁとにかく無事に得点出来たね。さっきよりは大変だったけど。」
「そうですね。この試合で2人強くなってますね。」
連携も少しずつ出来る様になってきている。
今までと違う流れにはなっているが、今は俺と先輩にきている。
この後どっちが流れを変えるか。
気持ちを切らさない様にやっていくぞ。
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