結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

84話 速さのコツは謎のまま。

「今ゴールです!我々の前を風が過ぎ去りました!」


俺は走りつつ溜めた魔力をゴール前で解放した。
その結果はゴール後その勢いのまま倒れてしまった。
網野さんは涼しい顔で何事も無かったように止まってた。
先輩はゴール後すぐに町長に結果を聞きに行っていた。
2人ともよく動けるなって感心してしまう。


「目で追えんな。結果はどうなるんだ?」
「そうだろうと思い、映像石も設置済みです。」


村の人達は何やら石を囲って審議中みたいだ。
先輩が見に行って教えてくれた。


「翔くん大丈夫?」
「ふぅ…はい。なんとか。」
「翔は何かするとは思ったが、あまり無茶はするなよ。」
「はは、すいません。でも俺が勝つにはあれくらいやらないと。」
「翔くんは負けず嫌いだからね〜」
「2人ともそうであろう。」
「きりんちゃんもだけどね。」


寝てる訳にもいかないので、座っているが正直まだ立てそうに無い。
解説席で動きがあったみたいだ。
人が集まり出した。


「お待たせしました!結果が出ました。第3位から発表です!」
「勿体ぶるのは面倒だ。さっさといくぞ。3位…宇佐美 和歌!」


町の町民達が一斉に崩れ落ちる。
その代わりに学生達が更に騒ぎ出した。


「さて宇佐美さんにお話を聞いて見ましょう。この試合振り返ってどうでしたか?」
「ん〜悔しいなぁ。秘密特訓した技もちょっと失敗したけど、まぁ次また2人にリベンジするよ!」
「因みに技とは、先程の4足歩行のやつですか?」
「そだよ。友達のペティットから教えてもらったんだけど、練習が必要だね。」
「なんと!あの技を極めた人がいるんですね。凄いお友達ですね。」


インタビュー受けてる先輩がペティットを褒められて嬉しそうだ。
特に細かく掘り下げてないが、ペティットは兎ですよ。
インタビューしてる人はきっと人だと思ってるな。
4足歩行を試みる人は、きっと先輩くらいであろう。


「宇佐美さんでしたー。」
「実に面白い勝負だった。」
「続きまして第2位の発表です!」
「さぁ第2位はだ!」
「「翔様、翔様、翔様…。」」
「「師匠、師匠、師匠…。」」
「外野がなんか怖えな。第2位!兵頭 翔!」


悲鳴と歓喜の声が入り混じり、網野さんの元に学生達が詰め寄る。
一部生徒はその場で泣き崩れる者も居た。


「さぁ、兵頭さんに話を伺いましょう!この試合振り返ってどうでしたか?」
「色々考え過ぎた感じはありますね。2人には学ぶ所が沢山有りました。」
「そうですか。とは言え、ゴール前のあの爆発的加速は凄かったですよ。」
「今は立っているのもやっとですが。まだまだ訓練が必要ですね。」
「いえいえ。2人とも素晴らしい走りでした。」
「ありがとうございます。」
「さて!栄えある第1位でゴールした網野さんに声をかけてみましょう。」


インタビューが終わり俺の所に寄って来る学生達。
タオルやら飲み物を持って来てくれた。
いつ準備したのか、手際が良すぎる。
今は有難く貰っておこう。
先輩は先輩で町民の人達に色々貰っている。


「さて、まずは1位おめでとうございます。」
「あ、ありがとうございます。」
「改めて今回の試合はどうでしたか?」
「ふ、2人とも凄く早くて。お、驚きました。」
「終始安定した走りでしたが、何か秘策みたいな物は有りますか?」


お?良い質問だ。
俺もそれが気になっていた。
普通に走っているようで、全然追い付けなかったのは何かある。


「え、えっと。か、風を。」
「風を?」
「ば、ばーってする。」
「ん??よく分かりませんが。風を味方に付けたということですね!」


あのインタビューしてる人、諦めたな。
戦闘モードで無い網野さんはあまり多く語ってはくれないから、気持ちは分からなくも無いが。
あの速さの謎は分からずか…気になるなぁ。


「翔くんおつかれ。きりんちゃんの走りは謎で終わっちゃったね。」
「和歌先輩も聞いてたんですね。風がどうのって言ってましたが。」
「風ねぇ。ルカちゃん入れば解読出来ると思うけどね。」
「それか戦闘モードの時に聞くかですね。この後学校にも行くでしょうし。」
「や、やっと抜け出せた。」


学生やら町民に囲まれていた網野さんが来た。


「さ、さぁ帰ろう。」
「そだね〜お腹減ったし。翔くん歩ける?」
「はい。それくらいなら。」


結果発表後はすぐさま解散。
町長指揮の元、慌ただしく片付け始める町民達。
先生達に連れられて、学生達は学校に。
こうしていつもの町へと戻って行くのであった。









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