結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

63話 俺の大変さ分かります?

―トントン。カンカン。
「おーい、材料足りないぞー」
「うい。持って来ます。」


壊れた門を修復している横を通って俺達3人は町の中に入る。
その光景を直視できない2人。


「…。」
「わ、私も手伝った方が…」
「きりんちゃん!それは言わないで!」
「…2人とも。」
「「は、はいっ!」」
「町長との話は俺主体で話してもいいですか?」
「は、はい。お、お願いします。」
「うん。翔くんに任せる。」
「では、何かあるまで俺の後ろで、静かに立っていて下さい。」


後ろめたい事がある2人は少し硬い気がする。
今は町長と今後の話しの為に向かっている。
網野さんは戦闘時以外は喋るのが苦手だし、先輩は…ね。


「ここです。では、私はこれで。」
「あ、はい。ここまでありがとうございました。」


ここまで案内してくれた人と別れて俺達は建物の中に入る。
木材中心で造られていて、森の別荘って感じがする。


「おう。来たか。随分早かったじゃないか。」
「初めまして。天河森魔高学園テンガモリマコウガクエンから来ました。兵頭です。」
「若いのにしっかりしてるな。ワシはこの森果町シンカチョウで町長をやっているナグマじゃ。」
「よろしくお願いします。……?」
「「…。」」
「コホン。こちらは網野に宇佐美です。」」


中に入ると小柄なおじいさんが居た。
俺が学園から来た事を話し、俺の後ろに2人が黙って立っている。
俺が静かに立っててと言った事を、守って喋らないらしい。
自己紹介くらいは喋ってもいいのだが、2人とも極端だな。


「ほほう。美人2人侍らせて、色男は大変だな。がはは!」
「……分かります?…あ。いえ、なんでもないです。」
「おう?まぁなんかしらねぇが、ご苦労さん。」
「「……(汗)」」


確かに2人はじっと立っていれば美人だ。
それで俺が1人で喋ってるし、そう見られてもおかしくないのか?
思わず、道中の不安がもれたが…なんでもないと流す。


「来て早々で悪いんだが、町の門が修理終わるまで護衛をやってくれないか?」
「いいですよ。修理にはどれくらいかかりますか?」
「2時間くらいだな。」
「2人とも。お願いできますか?」
「「…!(こくこく!)」」
「俺は町の外を見回りしてきます。」
「すまんな。今後の事はメシ食いながら、話すとしようや。」


俺達は町長の家から出て、そのまま来た道を戻る。


「あの、もう喋ってもいいですよ?」
「ぷはぁー!やっと喋れる。私達は門が直るまで警備でいいんだよね?」
「わ、私。が、がんばります。」
「はい、お任せしますね。俺は外を見回りしてきてます。」
「翔くん1人で大丈夫?」
「はい。ちょっと見て回るくらいなら。それに何かあれば走って逃げます。」
「そ、そうですね。か、翔さんなら大丈夫。」


入り口に戻って来るとさっき案内してくれた人が作業していた。


「翔くんいってらっしゃい。」
「こ、壊した分は…です。」
「しっかり見張りお願いしますね。では、また後で。」


俺は軽くランニングのつもりで走り出した。
この先何も無い事を祈りつつ…。



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