結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

62話 止まらない2人。

学園長はスイカを取って来てと依頼してきたが、後からルカさんからしっかり説明を貰った。
学園から南に20キロ離れたところに、果物を作っている町があるらしい。
いつもならこの時期に届けてくれるのだが、周辺に魔物が増えすぎたので助けて欲しい。


「と言う訳なのよ。今からだけど行けるかしら?」
「今からですか?ずいぶん急なんですね。」
「そうね。3人なら走れば今日中に行けるでしょうし、情報は少しでも多く欲しいのよ。」
「あれ、3人で行くんですか?」
「そうね。先行で3人で行ってもらって、必要であれば私達も行くわ。」
「わかりました。」


俺達は食事を終えて、また学園の前に集合した。


「さて、詳しくは先程話したとおりだ。準備はいいか?」
「私はいつでも!突っ走っちゃうよ。」
「和歌先輩。道がわからないので、網野さんの後ろでお願いしますね。」
「そうだな、道中魔物も出るだろうし。私、和歌、翔で一列に走って欲しい。」
「うーん。競争したかったけど、帰りにすればいいか。」
「そ、そうっすね。」
「では、少し飛ばすぞ。」


―ドーン!!!


俺達は南の町に向けて出発。
森の中を走っているのに、いつもの学園を周回してるのと変わらない。


「ふむ。いつも2人と走ってるからか、調子がいいな!」
―ガッゥゥゥー…。
「偶には違うコースもいいよね!」
―ウガッ…ドーン。
「…そ、そうっすね。」
「もう半年も走ってると、学園の外周も手狭な気がするし…な!」
―ガッ!グゥ。
「でも、森って根っことか走りづらいね…よっと。」
―ウッ!グゥ。
「…森だからって訳ではないと思いますが。」


2人が先行して突き進む中。
俺はその後を追いかけている。


…時折聞こえる魔物の声がする?
ええ。魔物居ましたよ。
2人によって吹っ飛ばされて、2人によって踏みつけられて。
俺は道中戦闘も覚悟していたが、それもなさそうだ。


「もう半分は来た感じだが、そんな魔物多くない気がするな!」
―ガッゥゥゥー…。
「この森ってこんな大きかったんだね!」
―ウガッ…ドーン。
「…なんか魔物が気の毒になってきた。」
「「何か言っ…邪魔!」」
―ガァ!ゥゥゥゥゥゥ…。
「いえ。なんでもないです。」


暫く走っているが、俺は少し気になった事がある。
魔物の数が少しずつ減っている事。
そして…


「2人して魔物を南に飛ばしてますよね。」
「…そ、そんな事は…ない?」
「…だ、大丈夫じゃないか…な?」
「2人とも。明後日の方向見ないで、前向いてください。」
「…それにしても、何も出なくなったな!」
「…ん!これも私達の成果だね!」
「俺は町に行くのが少し不安になってきました。」


森を抜けて見渡せる草原に出るとそこには…。


「あ。君達が学園の使いの方ですか?」
「はい。そうです。」
「「……。」」
「すいません。突然空から魔物が降って来まして。町の門が壊れてしまったんでこちらから入って下さい。」
「はい。ありがとうございます。」
「「……。」」


2人で吹っ飛ばした魔物が見事に、町の門に突き刺さっている。


「最近魔物が活発化していて。物資を送れず、すいません。」
「いえ。俺達はその為に派遣されているので。」
「でも、今日みたいに魔物が飛んでくる事なんか無かったんですがね。」
「いやぁ、不思議な事もあるもんだな!」
「そうだね!魔物も空を飛びたかったのかな!」
「そうっすね…。」


そして森を抜けた草原にも魔物が地面に倒れている光景が。
ただ、森を駆け抜けただけなんだが。
この2人…危険だ!俺1人で止められるかな?
これはルカさん達を呼ばないとか?


俺はこの先不安でしかない。密かにそう思うのであった。



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