結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

29話 集中してると自分が見えなくなる?

「セカンドゲーム、ラブオール・プレイ」
―スッパン。
―パシュ!
「サービスオーバー、ワン・ラブ」
「ローもこの試合で成長したな。」
「さすがにあれだけ打てば、ローランドさんも慣れちゃいますよね。」


―スッパン。
―ピン。
―パン
―スパン!
「サービスオーバー、ワンオール」
「ローがショート使うか。驚いたな。」
「翔くんと試合して変わったんですかね?」
「おそらくな。ローはこの部隊で一番新米だからな。新しく来た翔に負けたくないんだろう。」


いや、ちょっとびっくりしたけどうまく対応できた。
パワーで押し切るような人だと思ったけど、ショートサーブ打ってくるとは。
少し試合しただけで相手を分かっていた気だったけど。
俺もまだまだ油断は禁物だ。


―スッパン。
―パーン。
―ズパァン!
―パーン。
―ズパァン!
―パーン。
…。


「翔くんがスマッシュで、ローランドさんが拾ってるってさっきと逆ですね。」
「翔も左右にうまく振ってるが、ローもよく拾ってるな。」
「ツー・ワン」


ふぅ…。さっきより拾われてる気がするな。
スマッシュやプッシュは重いから、打ち返すだけできつくなってきた。
やっぱり魔力の込め方も多くしてるから、残り魔力も少ない気がする。
無理に拾わないで確実に決めるのも必要か。


「サービスオーバー、ツーオール」
「ん?今の翔くん拾えたんじゃ?見逃した?」
「そうだな。始めのうちなら拾えるだろう。」
「今の翔くんは拾えないって事?」
「あぁ。翔は恐らく無理に打ち返すと、魔力の消耗が激しい事に気づいたんだと思う。」


―スッパーン。
―スポーン。
―パーン。
―スポーン。
…。


「サービスオーバー、スリー・ツー」
「…。すぅ。」
「さぁ!どんどんこい!」
―スッパン。
―パーン。
―スポーン。
―パーン。
…。


「フォー・ツー」
「ローのやつ、同じパターンでやられすぎだな。」
「得点取れてるから、やってるのかもですね。」
「そうだな。あとでローは特訓が必要だな。」


「ファイブ・ツー」
「翔はローが動き出すタイミングでうまく切り替えてるな。」
「そうですね。でも何かちょっと違うような…。」


「サービスオーバ、スリー・ファイブ」
「今のは焦ったか…やっぱり……ふぅ。」
「おし!行くぜ翔!」
「ローランドさんは元気ですね。」
「ローはいつもあんな感じだ。」


…。


ふぅ…。ここまできた。


「トゥエンティ・ナインティーン、マッチポイント」


あと1ポイントで勝ちだが。かなり均衡しててマッチポイントになるまで時間がかかった。
ショートとロングのサーブを使い分けてきたけど。
次はどっちにするか。ショートは打ちすぎて大分打ち返されてるし。
ロングは甘いの打てば、あのスマッシュで打ち返されるし。


「…。」
「…。」
「これで決まるか?さて翔はどうでる?」
「…翔くん。」
―スッパーン。
「ロングサーブか。ローは少し反応が遅れたな。」
―パーン。
―スポーン。
―ピン。
「ローランドさんがヘアピン!翔くん!」
「っく!」
―パーン。
「うまく返したな。だがローならあれは…。」
「これはもらったぜ!!」
―ズバァァン!!
「まだまだぁ!」
―パーン。
「深いが…これなら!」
―ズバァァン!!


「くっ…。あ、と。」


ばたーん。


「翔くん!!」


最後あのスマッシュを打ち返す事ができた。
だけど目の前が真っ白になって、俺はそのまま…。
くそ。後1ポイントだったのに。
俺は薄れる意識の中、悔しさがいっぱいで暗闇に身を任せることしか出来なかった。





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