少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜
200話 決めた事③
ミステリアがミカエルと戦い始めて、僕は魔法陣の中にじっと座るのみ。
「これいつまで続くの?」
「空ちゃんはじっと座るの得意でしょ?」
「別に得意って訳じゃ。」
「そーかなー?パソコンの前で、何時間もじっとしていたと思うけど。」
あれは別にじっとはしていない。指とマウスはずっと動いていたし。
「2人は?」
「うん。大丈夫。戦闘に参加するのは、厳しいかもしれないけど。」
「そっか。ありがとう母さん。」
「私はこれくらいしか出来ないから。」
「これは母さんにしか出来ないことだから、戦うのは僕らに任せてよ。」
父さんは母さんの膝枕で寝ている。マレット君は立ち上がれないけど、意識はあって座り込んでいる。
―キィィン!
甲高い音と共に光の粒が辺りに広がる。ミステリアが出していた剣が消えていく音だった。
「8分……かなり無理をさせたわね。後は……。」
「む?切れたか。あれだけ派手に戦えば当たり前だがな。実に呆気ない幕引きだったな。」
「うぅ……ごめんなさい。」
「メイク!!」
ミカエルが剣を掲げそれが……
―ガン。
マレット君が障壁で守ってくれた。
「……これくらい、なら。」
「ふん。小賢しい。」
―バリィィン!
「っく。後は頼みました……。」
「良くやったわマレット!」
―ギュン、ッザ。
マレット君の魔法壁は破られたけど、そのタイミングでナイトが飛んで来た。
「なかなかの速さだが。それだけだな。」
「リナに投げられただけだからね。邪魔さえ出来ればそれで良いのよ。」
「む?」
『……ふ……はは……。うま…?分かって……。』
遠くから声がする。見える範囲にいればリナの声は聞こえるはずだけど。それが途切れ途切れ聞こえる。
―ギュン!ダァァン!
「この龍族は危ない事ばかり!」
『あの速度をも回避するか。』
「あれだけ大きな声で喋っていれば、どちらから攻撃が来るか分かるからな。」
『なんと!そんな盲点が。』
わざとらしい態度なリナ。注意をミステリアから剥がす為だと、僕でも分かる。
「その娘から注意を向けたいのは分かるが、もう少しまともな演技は出来んのか?」
『構わんだろう。貴様は我から目を離さないのだから。』
「ふん。後で遊んでやる。今はその天使族が邪魔なのでな。」
『それをさせんと言っているのだ。』
睨み合う両者。先に動いたのはミカエル。
「龍の速さはもう見た!我の勝ちで……」
『甘いな。』
「な!?ふん!!」
ミカエルの走り出したのに反応して、シーが突っ込んできた。
「私が見誤るわけが!」
「師匠!」
『来い!』
―ダン!グググ……。
リナが回転し、勢いをつけた尻尾に両足で着地するシー。着地と言っても角度は真横、顔は相手を見ている。
『新・龍……』
「……破掌ゥ!!!」
―ドゴ、ボキ……。
「グハァ!?」
―ダン、ダン、ズザァァ……ドォォン!
「どうですか師匠?」
『完璧である。力の使い方もタイミングも素晴らしい。』
「やった!」
僕に向けてVサインでドヤるシー。
飛んできたシーを受け止めて、自分の回転力で更に速度と破壊力を上げた攻撃。さっき攻撃前『新』っとか言ってたよな。それはリナにしか出来ないからね、そこんとこちゃんと教育してくれるんだろうか。僕なんかが受け止めたら色んな骨が逝きそう。
「そ、ソラヤのパーティは頼もしい方々が多いですね。」
「どんどん人間離れしていく気もします。」
「先頭を走るソラヤがそうですからね。」
「そうそう…って!」
「ふふ。楽しみにしていて下さい。」
怪しげな笑顔なサリエルさん。
―コツン、コツン、コツン。
そして杖を床にコツコツと当て始めた。
「ギリギリで間に合って良かったわ。」
「いてて。ありがとうナイトさん。」
ここまでメイクに肩を貸して、歩いてくるナイト。
「どこか痛いの?」
「魔力が無くて。ちょっと無理した反動なだけで、怪我したわけじゃないです。」
「魔力切れの反動か。無理をさせたみたいでごめんね。」
「私がやりたくてお願いした事だから。手紙にもひどい筋肉痛があるって書いてあったし。」
筋肉痛って……あの手紙には何を書いていたんだろうか。まぁそこは2人の秘密で聞き出そうとは思ってないし。
―コツン、コツン、コツン。
「ソラヤ何しているの?」
『これが加護か。聞こえてはいたが、随分と重々しいんだな。』
「実は僕もよく分からない。」
「はは。何それ?でも、もう終わりそうなんだね。」
「え?」
いつの間にか杖をつく音がしなかった。自分の下にあった魔法陣も、少しずつ小さく掠れて見える。
「お待たせしました。」
「お?おぉ!…………。」
そして魔法陣が消えていった。
「…………ん?何か起こった?」
「はい。終わりましたよ。」
「なんか、こー……ドカン!って光ったりしないの?」
「ん?そう言う事は起きませんが。今までの加護ではそうでしたか?」
「いや、何もなかったけど。」
すっごいパワーアップした時ってさ。こう……凄い光が出てきたり。煙が出てきて、その煙が晴れたら僕が立ってる的な……。今までも何にも無くさらっと凄いスキルあったんだけどさ〜。
―ガラッ……ズガァァン!!
「ぐふ!っくそ。なんて力だ。」
「あら。あの天使さんはタフだね。」
『いい音していたのにな。』
瓦礫からミカエルが這い上がってくる。リナの言ういい音はシーの攻撃で折れた何か。きっと回復したのか今は何ともなさそう。
「ソラヤ……。」
「サリエルさんどうしたの?」
「今更なんですが、申し訳ありません。天使族の事を任せる形になり。」
「ん?任せてくれていいよ。」
「しかし……。」
「ここまで一緒に来てくれたんだし。仲間を守るって僕が決めた事だから。」
「仲間……。」
「だからさ、サリエル。」
「……はい。」
なんて言おう。この土壇場で言葉が出てこない。着いて来いって偉そうだな……戦うのは僕だけなんだし。背中を見ていてとか……かっこつけだな。待っていろ、すぐ終わらす……どこのアニメだ?
「いってきます。」
「はい。いってらっしゃい。」
優しく微笑むサリエル。
言葉の流れ的に変じゃないかな。まぁこんなもんでしょう。さてと最終ラウンド……。
「お待たせ。」
「ふん。多少強くなったところで。」
始めるとしますか!
「これいつまで続くの?」
「空ちゃんはじっと座るの得意でしょ?」
「別に得意って訳じゃ。」
「そーかなー?パソコンの前で、何時間もじっとしていたと思うけど。」
あれは別にじっとはしていない。指とマウスはずっと動いていたし。
「2人は?」
「うん。大丈夫。戦闘に参加するのは、厳しいかもしれないけど。」
「そっか。ありがとう母さん。」
「私はこれくらいしか出来ないから。」
「これは母さんにしか出来ないことだから、戦うのは僕らに任せてよ。」
父さんは母さんの膝枕で寝ている。マレット君は立ち上がれないけど、意識はあって座り込んでいる。
―キィィン!
甲高い音と共に光の粒が辺りに広がる。ミステリアが出していた剣が消えていく音だった。
「8分……かなり無理をさせたわね。後は……。」
「む?切れたか。あれだけ派手に戦えば当たり前だがな。実に呆気ない幕引きだったな。」
「うぅ……ごめんなさい。」
「メイク!!」
ミカエルが剣を掲げそれが……
―ガン。
マレット君が障壁で守ってくれた。
「……これくらい、なら。」
「ふん。小賢しい。」
―バリィィン!
「っく。後は頼みました……。」
「良くやったわマレット!」
―ギュン、ッザ。
マレット君の魔法壁は破られたけど、そのタイミングでナイトが飛んで来た。
「なかなかの速さだが。それだけだな。」
「リナに投げられただけだからね。邪魔さえ出来ればそれで良いのよ。」
「む?」
『……ふ……はは……。うま…?分かって……。』
遠くから声がする。見える範囲にいればリナの声は聞こえるはずだけど。それが途切れ途切れ聞こえる。
―ギュン!ダァァン!
「この龍族は危ない事ばかり!」
『あの速度をも回避するか。』
「あれだけ大きな声で喋っていれば、どちらから攻撃が来るか分かるからな。」
『なんと!そんな盲点が。』
わざとらしい態度なリナ。注意をミステリアから剥がす為だと、僕でも分かる。
「その娘から注意を向けたいのは分かるが、もう少しまともな演技は出来んのか?」
『構わんだろう。貴様は我から目を離さないのだから。』
「ふん。後で遊んでやる。今はその天使族が邪魔なのでな。」
『それをさせんと言っているのだ。』
睨み合う両者。先に動いたのはミカエル。
「龍の速さはもう見た!我の勝ちで……」
『甘いな。』
「な!?ふん!!」
ミカエルの走り出したのに反応して、シーが突っ込んできた。
「私が見誤るわけが!」
「師匠!」
『来い!』
―ダン!グググ……。
リナが回転し、勢いをつけた尻尾に両足で着地するシー。着地と言っても角度は真横、顔は相手を見ている。
『新・龍……』
「……破掌ゥ!!!」
―ドゴ、ボキ……。
「グハァ!?」
―ダン、ダン、ズザァァ……ドォォン!
「どうですか師匠?」
『完璧である。力の使い方もタイミングも素晴らしい。』
「やった!」
僕に向けてVサインでドヤるシー。
飛んできたシーを受け止めて、自分の回転力で更に速度と破壊力を上げた攻撃。さっき攻撃前『新』っとか言ってたよな。それはリナにしか出来ないからね、そこんとこちゃんと教育してくれるんだろうか。僕なんかが受け止めたら色んな骨が逝きそう。
「そ、ソラヤのパーティは頼もしい方々が多いですね。」
「どんどん人間離れしていく気もします。」
「先頭を走るソラヤがそうですからね。」
「そうそう…って!」
「ふふ。楽しみにしていて下さい。」
怪しげな笑顔なサリエルさん。
―コツン、コツン、コツン。
そして杖を床にコツコツと当て始めた。
「ギリギリで間に合って良かったわ。」
「いてて。ありがとうナイトさん。」
ここまでメイクに肩を貸して、歩いてくるナイト。
「どこか痛いの?」
「魔力が無くて。ちょっと無理した反動なだけで、怪我したわけじゃないです。」
「魔力切れの反動か。無理をさせたみたいでごめんね。」
「私がやりたくてお願いした事だから。手紙にもひどい筋肉痛があるって書いてあったし。」
筋肉痛って……あの手紙には何を書いていたんだろうか。まぁそこは2人の秘密で聞き出そうとは思ってないし。
―コツン、コツン、コツン。
「ソラヤ何しているの?」
『これが加護か。聞こえてはいたが、随分と重々しいんだな。』
「実は僕もよく分からない。」
「はは。何それ?でも、もう終わりそうなんだね。」
「え?」
いつの間にか杖をつく音がしなかった。自分の下にあった魔法陣も、少しずつ小さく掠れて見える。
「お待たせしました。」
「お?おぉ!…………。」
そして魔法陣が消えていった。
「…………ん?何か起こった?」
「はい。終わりましたよ。」
「なんか、こー……ドカン!って光ったりしないの?」
「ん?そう言う事は起きませんが。今までの加護ではそうでしたか?」
「いや、何もなかったけど。」
すっごいパワーアップした時ってさ。こう……凄い光が出てきたり。煙が出てきて、その煙が晴れたら僕が立ってる的な……。今までも何にも無くさらっと凄いスキルあったんだけどさ〜。
―ガラッ……ズガァァン!!
「ぐふ!っくそ。なんて力だ。」
「あら。あの天使さんはタフだね。」
『いい音していたのにな。』
瓦礫からミカエルが這い上がってくる。リナの言ういい音はシーの攻撃で折れた何か。きっと回復したのか今は何ともなさそう。
「ソラヤ……。」
「サリエルさんどうしたの?」
「今更なんですが、申し訳ありません。天使族の事を任せる形になり。」
「ん?任せてくれていいよ。」
「しかし……。」
「ここまで一緒に来てくれたんだし。仲間を守るって僕が決めた事だから。」
「仲間……。」
「だからさ、サリエル。」
「……はい。」
なんて言おう。この土壇場で言葉が出てこない。着いて来いって偉そうだな……戦うのは僕だけなんだし。背中を見ていてとか……かっこつけだな。待っていろ、すぐ終わらす……どこのアニメだ?
「いってきます。」
「はい。いってらっしゃい。」
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