少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

192話 速さの先へ①

 サリエルさんから貰ったスキルで、メイクも戦いに参加する。


「メイク!」
「分かってる。」


―ヒュン!
―ズゥゥゥン!


「そんな攻撃我には当たらんぞ。」
「これならどうかしら?」
「む!」


 僕とメイクが遠距離から攻撃をする。それに合わせてナイトが背後から近づく。攻撃前に話すのにも意味はある。


―ビュン!


「甘いぞ。」


 その攻撃も楽々回避する。


『そうでもない。』
「貴女の動きは常に見ていますよ。やらせはしません。」


―ゴン!


『今度は受けるのだな。』
「後ろにいる勇者がいるから……な!」


―ギン!


「我の攻撃を防ぐとは。伊達に勇者ではないと。」
「俺は勇者じゃない。」


 ナイトの攻撃に合わせてリナが追撃をする。それに続く父さんはミカエルの一撃を耐える。攻撃の手を止めるのは勿体ない。


―ガチャ、ズゥゥゥン!ッチ。
―ヒュン!ヒュン!ギン!ギン!


 僕とメイクで追撃で銃弾を回避するには早過ぎたか、少し掠った音が聞こえた。そしてメイクの投擲を剣で弾く。


「っく!」
「……っし!」


―ゴス。


 それを見逃さず、シーが懐に一撃決める。その後の反撃に合わせて。


「ぐは!調子に……」
「マレット君!」
「はい!」
「……乗るな!」


―ブゥン、バン!


「危なかった。」
「ブルーム。攻撃したら下がれ。」
「はい、ゴウパパ。」
「なんだと言うのだ。たかが人間如きに!」


 シーに向けられた剣を、マレット君の防御壁をで守って貰う。少しだけ下がるのが遅れたが、そこは周りがフォローする。


―ッザ。


『戦いに冷静さを欠かしてはいけない。』


―ドシ!


「重い蹴りだが、耐えられない事はない。」
『見た目ほどヤワじゃないか。』
「リナ!」


―ヒュン!


「どこを狙って!」


―ズゥゥゥン。コツ、キラッ、ドゴォォン!
―ブゥゥン!


「マレット君ナイス。」
「いや、いきなり危ないですよ。」
「目で合図は送ったよ?」
「いやまぁ、事前に打ち合わせしてた事だけどさ。リナさんも巻き込むかヒヤヒヤしたよ。。」
『メイクの声掛けがなければ、我もギリギリだったな。』
「そこはマレット君が上手くやるよ。」
「投げやりだなー。」


 魔界でやったメイクのナイフを撃ち落とす聖魔弾。マレット君が魔法壁で爆破範囲を相手だけにするって言う荒技。何度も難しいけど、初見じゃまず避けられないはず。


「……。」
「やったかな?」
「マレット君そのフラグはいらないよ。」
「え?」
『来るぞ!』


―バリィィン!


 聖魔弾の爆破からマレット君の魔法壁を割って何かが来る。


「させん!」


―ギン!


「……く!」
「ソラヤ!」


 ―ガチャ、ズゥゥゥン!バリ。


「やはり避けて正解だっ!?」


―バリバリ!


「ぐ!?か、雷……だと!」
「あの爆発の後だもんね。必ず回避すると思ったよ。」
「貴様!!」
「だから……。」
「戦いは……。」
「!!」
「「冷静、にぃぃ!!」」
「ごはっ!」


 両サイドからシーとナイトの攻撃が入る。雷はあくまで相手の動きを、少しだけ鈍らせるくらいだけど。冷静さも少し欠けたこの状況であれば大きな隙を生む。


―ズズ……ズゥゥゥン!


「ぬぅ!」
「ほほ。わたくしも忘れて貰っては困りますぞ。」
「ぐぐぐ!」


―ヒュン!ザク。


 クロイの闇魔法に合わせてメイクがナイフを投げる。弾くか避けていたサリエルに突き刺さる。今のメイクは僕と同じステータスだし。運良く羽根に刺さってもおかしくは無い。


―ピカッ!


 辺り一面が一瞬眩しくなる。光が戻ると、そこに居たはずのミカエルは遥か後方まで下がっていた。


「ぐぐ……だぁ!」


―ザクッ!


「はぁ…はぁ…やってくれる……。」


 刺さったナイフを抜き、床に投げ捨てるミカエル。羽根は若干だけど赤くなっているけど、傷は無くなったように見える。


「よもや、我が人達に傷つけられ回復まで使うとはな。」
「ソラヤ。ここからが正念場ですよ。」
「え?」


 ミカエルが剣を構える。真面目な顔で忠告してくるサリエルさん。少しだけどミカエル自身が光って見える。


―ッサ。


「消えた!?……いや、父さん後ろ!」
「な、ぐは!」


 さっきまでミカエルではない?動いた瞬間から目で追えなくなかったけど、攻撃を避けるように支持するまでの時間がない。


―ッサ。


「きゃ!」
「ローゼ!」


 咄嗟に鞭を前に出したローゼだたけど、武器だったあの剣で鞭ごと斬られた。このままじゃいけない!


「母さん!サリエルさんもマレット君から離れないで。」
「ソラヤくん、僕じゃあの攻撃は防げないよ!」
「僕が気をそらす!」


―ガチャ…………。


「メイク、ローゼを。クロイは父さんを頼む。」
「分かった。」
「畏まりましたぞ。」


 メイクもクロイも一直線に2人のところまで行く。メイクの速さなら攻撃自体は対応出来るはずだ。銃を構える……。


―ッサ。
―ズゥゥゥン!


「ふん。もう当たらん。」


 クロイを攻撃しようと近ずいた所に合わせて銃弾を撃ち込む。聖魔弾と雷魔弾を警戒してか、大きく避けてくれる。


「それで構わない。」


―ガチャ。


『やっと捉えたぞ……。』
「む?」


―パシ。


『何!?』
「拳は重いが速さが足りんぞ。」


 リナの攻撃が受け止められた。あの距離だと銃は撃ち込めない。外れてリナに当たると大変だ。


―ズゥゥゥン!


「っく。これだけ近くにいるのに私に撃ってくるとは。」
「外せば危ないけど。僕の狙いは一つだし。」
「その武器は厄介だな。今の私でも早いと感じてしまうよ。」
「その割には余裕そうだね。」
「戦いは冷静にだろ?」


 不敵に笑うミカエル。話している間に父さんとローゼを無事にマレット君の所に非難する。


「さぁどうした?」
「メイク、シー、ナイトは僕がフォローする。リナはクロイを守って。」
『任せよ。』
「さてと……どう戦おうかな。」


 2人減ったこの状況。第二ラウンドが始まろうとしていた。

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