少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

188話 結局いつも通りの作戦。

 ミカエルの教会の一部を破壊して数分。教会の中から天使達が出てくる。


「な!なんて事を!これをやったのは誰だ!?」
「私です。」


 一斉にこちらに向き驚く様子で怒鳴りだす。


「ここがミカエル様の教会と知っての行動か?」
「ええ。」
「ふん。田舎者の天使が……調子に乗りやがって!」


―ボォゥ!


 サリエルさんに向かっていきなり火の玉が飛んでくる。


―ズゥン!バァァン!


「いきなり攻撃ってダメでしょう。」
「ソラヤ。私ならあれくらいの魔法大丈夫ですよ。」
「駄目です!せっかく綺麗な肌なのに、火傷でもしたら大変です。」
「綺麗なんて……。」
「サリエルさん下がってください。」
「あぁ。私が守られている。」


 飛んできた火の玉を風魔弾でかき消す。サリエルさんの言う通り大丈夫かもしれない。でも黙って見ている事はできない。


「クロイは待機。マレット君は周りへの被害を防いで。父さんとシーとナイトで右。僕とローゼとメイクで左。」
『我は?』
「正面一人で行けるよね。」
『あぁ。余裕だ。』


 相手の出方は分からないから、何でもやり過ごせる組み合わせで行く。


―チャキ。


「ソラヤは剣で戦うの?」
「街中で銃は危ないし。流れ弾で誰か傷つけちゃう。」
「ソラヤが気を使った!?」
「ローゼそれどう言う意味?」


 全く心外だ。僕だって被害なく戦えるって。


―ボォゥ!
―ヒュン、ドォン!


「な!また消されただと!」
「そんな遅い魔法で戦えるって思わないで。」


―ヒュン!ザク。


「ぐあ!」


 メイクがナイフを投げ魔法を相殺。相手が魔法を再度使おうとした所に、ナイフを投げそれを阻止する。メイクの早さに勝てるわけもなく、無力化される天使。


「この!」


―シュルゥゥ、スパン!


「あで!こ、この!」


―スパン!スパン!


「で、ぐは!」
「魔法を唱える暇なんか与えません。」


 それに続こうとする天使に鞭で遇らうローゼ。2人とも魔法を唱えさせる好きすら与えない。中距離の攻撃があるって良いね。


「何の!主よ、我に力を!火の剣!」


―ボォォォ。


 かく言う僕は剣なので接近戦である。遠距離の銃は周りにも被害が出るので、今回は使わないで行く。tqだもう1人の天使は魔法を唱えたが、遠距離ではなく火の剣を創り出した。


「火の剣か。それなら長い詠唱も要らないと。」
「そうだ!聖なる炎に焼かれるといい!」


―ゴォォ、ゴォォ。
―ッゴ、ッゴ。


「確かに凄いけど。剣はてんで駄目だね。」
「何を!?」


―ヒュヒュヒュン!


「ふん!早くても当たらなければ!」
「あれ?当たったと思ったのに。」
「は?」


―ズバァ。


「がは!?な、何だと?」
「時間差で斬れる?何だろこれ。まぁいいか。」


 他の皆んなは……って心配する事もないか。


「俺が守る必要も無かったな。」
「ゴウパパがいるから、私は安心して攻撃出来るんだよ。」
「そうそう。多少の無茶が出来るのはでかいわ。」
「だが、無理はダメだからな。」
「「は〜い。」」


 父さんとシーとナイトに関しては、危なげなく終わったようだ。リナの方は。


『弱いな。敵の本拠地でコレだと大将も期待できんぞ。』
「「「「「…………。」」」」」


 5人の天使達が積み上がっている。正直リナが規格外なだけだと思う。


「皆さま、お強いですね。」
「そうでもないよ。まだまだ強くならないと、ミカエルはもっと強いだろうし。」
「いえ。人族でこれ程までの強さであれば、勇者と引けを取らないかと。」
「本当にまだまだですよ。」


 勇者に引けを取らないか。剣自体はまだまだ思う所がある訳で、時間差で斬れた事も何でか分からないし。


「ソラヤは一応だけど、勇者に勝ってるよ。」
「すでに勇者は越えていましたか。ソラヤの強さであれば納得できますね。」
「あれは武器の相性と王様に油断があったからだよ。」
「戦いの油断は命取りです。それを含めてもソラヤは大丈夫でしょう。」


 さて教会から出て来た人は倒したし。周りはあまり出来事に止まっている。


「ここまでやったらしょうがない。中に突撃しちゃおうか。」
「私も着いて行きます。」
「分かった。でも何があるか分からないから、僕が前を行くからね。」
「はい。しっかり守って下さいね。」
「うん。任せて。」


 てな訳で、天使達が出てきた建物へと入って行く。僕らが進む道を止める人はもういない。


 教会の中に入るとお祈りをしている人がいた。と言うか、屋根が吹き飛び空が見えているのによく出来るな。


「あ、もう交代ですか。すいません、集中していました。」
「いえ、大丈夫です。」
「それでは失礼致します。」


 そして僕ら以外誰もいなくなった教会。


「さっきの人こんな状況でよくお祈り出来たよね。」
「祈りとは心を鎮め、邪念を払い無になる事です。動じない心ですね。」
「へ〜動じない心か。そもそもにじっとしてる事が僕はできないかもだよ。」
「ふふ。私もできません。」


 誰でも出来るみたいな言い方だったけど。サリエルさんは出来ないらしい。まぁサリエルさんは祈られる側だし?


―ボッ。


 目の前のろうそくに火がともり始める。


「どうやら呼ばれてますね。」
「え?」


 目の前に大きな魔法陣が現れる。


「これはミカエルがやったのかな?」
「恐らくですが。どうします?」
「ここまで来たら進むしか無いでしょ。」
「分かりました。私を守って下さいね。」
「ん?うん。」


 目の前の魔法陣に手を入れてみると、先だけ別の場所に行っている感覚がある。ここで待っててもなので、僕らは魔法陣に飛び込んだ。


「ここは?」


 床も天井も白一色な大きい部屋。後ろを振り返って仲間がどんどん出てくるが、魔法陣といったものや扉は無くなっていた。


「貴女は相変わらずですね。」
「ミカエル……。」


 椅子に座ってじっとこちらを見てくる男の天使が座っていた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品