少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

181話 言葉の力。

 戦いも終わり、飲み物の用意も終わる。


「ふぅ……スキルだったな。先に言っておくが私のスキルは、そんな派手な能力では無いからな。」
「その前置きして、実は……。」
「無いから。強いスキルが欲しいなら龍神を倒せば良い。まぁ倒せるならスキルも要らんだろう。」


 もう持っている訳だけど。皆んなは僕らが女神や龍神のスキルがある事は知っている。人言ったりはしたく無いから、この場もそのままやり過ごす。


「でだ。精霊とも話して決めた事なんだが。これからある言葉を言う。皆には直感で選んでもらう。」
「直感ですか。」


 言葉を選ぶって何か意味はあるんだろう。精霊とも話して決めたと言っているし。


「精霊と話した?」
「あぁ。私に力を貸してくれるのは火と闇だけどな。」


 それぞれの手から赤と黒の炎が上がる。人魂の様にフェンスの周りを飛び回り始めた。


「では聞き逃さない様に……。戦火センカ灯火トウカ防火ボウカ烈火レッカ砲火ホウカ耐火タイカ。さぁ選んで。」
「僕はレッカで。」
「ソラヤは決めるの早いですな。わたくしは宝華ホウカで。」
「直感ね〜。なら私は対価タイカで。」
「皆んな早いな。俺は防火ボウカだな。」


 僕に続いてクロイと母さんと父さんが答える。僕は烈火を選んだ。直感って言ってたし、ら行の響きが何となくかっこいいからって理由で。クロイ達は何でか知らない。


「う〜ん。う〜ん。」
「ブルーム。こう言うのは何となくでいいのよ。私は戦果センカで。」
「直感と言っていたしね。私は桃花トウカを選ぼう。」
「決めた!私はレッカにする。」


 悩んで決めたシー。ナイトとローゼはすんなり決まる。意外にも皆んなばらけるもんだな。


「メイクさんはどうします?」
「私は等価トウカにする。」
『私は断然!戦火センカだ!ほら、マレットが最後だぞ。』
「え?じゃ〜僕は……対価タイカですかね。」
「これで全員ね。ちょっと纏めるわね。」




 空中に赤い炎が文字を書く【戦火】と。


「あら?戦火って書くのね。火じゃなくて成果の方だと思ってたわ。」
『どちらでも良い。戦うのだ。』
「この文字はそのままだな。前で道を切り開く者へ。効果はSTRプラスだ。」


 ナイトとリナ。前に出て戦うって感じ2人にはぴったりだな。




 空中に赤い炎が文字を書く【灯火】と。


「基本的に火がつくんだな。灯すに火な…初めから分かっていたし。」
「分かってたんだ。ローゼさん凄い。私は等しい価格の等価を思ってたよ。」
「この言葉は火を持ち上げると言う意味らしい。皆を支え助けてやってくれ。効果はDEXプラスだ。」


 ローゼとメイク。支えてくれる役割か、少し似た雰囲気もある2人である。よく気がつくしぴったりだな。




 空中に赤い炎が文字を書く【防火】と。


「……。」
「この文字には防ぐと言う意味がある。皆をこの力にて守る為、効果はVITだ。」


 静かに受け取る父さんは動じず。最近の父さんはなんか貫禄が出たきた気がするね。




 空中に赤い炎が文字を書く【烈火】と。


「これ選んだのは、僕とシーだけか。」
「どんな意味があるのかね?」
「この烈には燃え盛る炎を切り抜ける様な意味がある。そんな君達にはAGIプラスだ。」


 文字にはそれぞれステータスの恩恵があるのか。シーが戦うじゃないのは少し意外だったが、今の自分に欲しい力だったのかもしれないない。




 空中に赤い炎が文字を書く【砲火】と。


「砲の字でしたか。」
「この文字は石を包み投げる。離れても攻撃できるINTがプラスだ。」


 ここまで適当に選んでいるはずの言葉だけど、皆んなが上げたいものにぴったり当てはまる。そうなると次の言葉は……。




 空中に赤い炎が文字を書く【耐火】と。


「耐火ね。成る程、うんうん。」
「そのまま耐え凌ぐと言う意味だ。何より心を強く持つ必要がある。なのでこれはMNDだ。」


 やはりそうか。直感と言っても皆んな知らないうちに引っ張られるのかな。言葉は昔から強い意味を持って、人と人を繋げるとかあったもんな。代表的なのは名前だと思うけど。






「さて。適当に選んでもらった割に、自分の個性を伸ばすスキルを選んじゃう皆様なので。もう一つはこちらで決めます。皆様にはVITをプラスの闇を。ゴウさんだけはSTRですからね。」


 赤と黒の火の玉が僕らの周りをくるくる回り始める。


「ソラヤどうだ?スキル欄に何か増えたかな?」
「えっと……ありますね。【烈火の夕闇】ですか?AGI+VITにボーナス。」
「成功したみたいだな。他の者も確認してみてくれ。」


 全員自分のステータスをみて確認できた。皆んなそれぞれ名前が違うけど効果は同じ。


「2項目+25ずつか……。」
「あまりドカンとは無いが、こんなもんだ。」
「いや、これはこれで凄い事ですよ。50とかLv9分のポイントですから。」
「そう言ってくれるとありがたい。娘と息子を頼みます。」


 頭を下げるフェンス。黒焦げにはしていたけど、やっぱり心配なんだろう。


「分かりました。今度は皆んなで遊びに行きます。」
「母上。フリージュ姉は僕が守ります!」
「ん。頼れる弟だわ。無理しないようにお姉さんが気をつけなきゃね。」
「えぇ。気をつけて……いってらっしゃい。」


「「いってきます!」」


 そして森へと繋がる扉に足を運ぶ。

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