少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜
165話 凄くて危ないもの。
どうしてこうなったか。正直言って全然理解はできていない。
言われるがまま、案内されたのは王都の地下。洗礼の間と呼ばれる場所だった。なんでも国王様が戦うのに、頑丈な施設が欲しいと闘技場を世界最高技術で作り上げたらしい。
「ふんふん〜」
鼻歌交じりに剣を振るう国王様。武器のチェックと弾丸の確保の為、アイテムの整理をしながら今も頭で考え事をしている。
『かなり広いな。ここなら我も龍の姿で戦えるな。』
「リナが暴れて外壁とか持たないと思うけど。」
「その心配は要らん。龍の攻撃でもビクともせん仕様だ。」
『どれ……。』
壁に手を軽く叩き……。
―ドォォン!
「ちょっとリナ!?」
『人型とは言え、この攻撃でヒビすら入らないとは。』
「これならソラヤも十分暴れられそう。」
「暴れるって……シー?」
「うん?」
気がつけば周りに仲間が揃っている。
「空ちゃん頑張れ〜」
「ソラヤなら出来るぞ!」
「ほほ。楽しみですな。」
母さんと父さんとクロイが観客席から声をかけてくる。整理に集中し過ぎた?周りが見えないのは不味いな。少しは落ち着こう。
「ソラヤが勇者になるって言うから、見に来たの。」
「それは勝ったらの話で。その情報どこから……。」
犯人はすぐに分かった。僕と目が合い、グッと親指を立ててサムズアップするノインさん。もう良いや。考えるのは止めようか。
「ソラヤ。弾丸はどうする?」
「そうだね。聖魔弾は少しで、氷と風を多めに持っておきたいかな。」
「分かった。」
メイクが弾丸の選択を聞いてきた。今回は安全が約束されているからか、制限も何も無いらしい。
「そうだ。ソラヤ、これは使えるかな?」
「ん?」
そう言ってシーが出したのはいつも見る弾丸。
「ソラヤがいない間に、武器屋とか行商さんから買った謎の弾丸。見たこと無いから買っておいた。」
「見た目はいつもと変わらないけど。ラインは黄色と黒かな?」
勇者である国王様に試してみるのは危ないな。弾丸自体もだけど、効果によって不利になったりする事も。
「ん〜せめて効果がわかればな。」
「じゃ、試し撃ちしてみたら?」
「試し撃ちって。相手に効果知られるけど。」
「ソラヤなら大丈夫。出たとこ勝負より、この弾丸を戦略に取り入れた方が有利に進められるでしょ?」
シーの言う通りかな。賭けで戦う様な事はしたく…したく……無いけど、結構行き当たりばったりだなぁ。今までの経験で殆どが行き当たりばったり。少しは考えているつもりだけど。なぜかいつもそうなる。
「メイク。この弾丸の効果みて増やせるかな?」
「今の私なら出来ると思う。」
「そうと決まれば。国王様、この壁に試し撃ちしてもいいですか?」
「ん?リナ殿の攻撃に耐えるあれですが?いや、まぁ自分でやってみたいか。その方が遠慮しなくていい戦いが……いいぞ。遠慮なくやってくれ。」
よし、許可は出た。魔力は込められそうな感じがする。100くらい大丈夫かな?
「マレット君。もしもの時は守って。」
「もしもの時って……リナさんの攻撃以上の何かですか?が、頑張ります。」
『ははは。我は軽くしかやっておらんぞ?そんな気張らなくとも大丈夫であろう。』
よし、これで心置きなく試す事が出来る。ふふ。
―ガチャ。
「メイク、黄色い方撃つ。よろしくね。」
「うん。任せて。」
魔力は100。戦いながら貯める事が出来るであろう最大値。
―ズゥゥゥン!バリ!
ん?今のは雷?でもこの世界に雷系等の魔法って無いはずだよな。そんな事を頭で考えていると。
―ガン、バリバリバリ!
「「「えぇ……。」」」
その場にいた僕とシーとメイクが引く。
どうなったかと言うと、発射時から雷を帯びていた弾丸は壁に当たる。すると壁を伝って色んな方向に走っていった。
「これ大丈夫?」
「どうだろう。これでも魔力は100しか込めてないんだけど。」
「壁までの速さも私はギリギリ目で追えるくらいだった。でも避けられるかなぁ。」
『ソラヤの武器は面白いな。あれは中々の威力だぞ。』
リナのお墨付きを貰った。そうも言ってられなくない?これ勇者とは言え人に向けていいもの?
「今更だね。」
「今更ね。」
『今更だな。』
シーにメイクにリナにまで言われた。
「あれ?僕今声にだしてた?」
「ソラヤは人に向けていいのか?とか思っていそう。」
「うんうん。」
『我はただ流れで言ったまで。』
シーとメイクがだんだん似てきた気がする。まだ会って間もないはずなのに。
「まぁいいや。次いこう。こっちの黒いのも100で行くから。」
「「はーい。」」
『楽しみだな!』
リナの目は機体に満ち溢れている。期待されてもそんなに珍しいものはそうそうないから。
―ガチャ、ズゥゥゥン!
今度は何もない。ただ真っ直ぐ、速くもなく遅くもなく……。
―ガン、ズズズ……。
「何この弾丸。空間が少し歪んでいる?」
「なんだろね。雰囲気は暗くて重い感じがする。」
「ん〜リナ。あそこの空間に入ってみて。」
『空間に?構わんが。』
僕横にいたリナは、メイクに言われた通りに謎の空間へと歩いて行く。
『何も変わらっ!!』
ん?急にリナのうごきが遅くなった。
『ぐぬ!?これはそう言う効果か!……っと、ふぅ。危ない危ない。』
はい。今度はリナに危ない認定されました。
「龍族のリナが危ないって。やばすぎない?」
『ここで喋ると、相手に聞かれるな。こっそり説明するのでしゃがむのだ。』
僕はその場にしゃがみ、国王様に見えないようにリナが地面に書いて説明してくれた。と言っても内容はシンプルで。部類は闇魔法の重力変化との事。
「雷に重力を込められた弾丸か……逆に作った人が気になる。」
「行商さんに聞いてみたけど。寝泊まりしている場所も知らない謎の職人らしいよ。」
「謎ですか……。この弾丸作る人は天才なのかも知れませんね。はい、ソラヤ。」
『その弾丸をホイホイ作るメイクが言ってもな……。』
この弾丸を含めて5種類の弾丸。黄色いのは雷魔弾、黒いのは重魔弾としよう。さてとどんな戦術で行こうかな。
「ソラヤ楽しそうだね。」
「そうだね。私達も向こうに行こうか。」
『羨ましいな国王。我も戦ってみたいぞ。』
「ほら、行くよリナ。」
「皆んなありがとう。頑張るよ。」
よし、周りも見えているし頭もクリアだ。
異世界の人間最強と言われる勇者との戦い。どこまで通用するか遠慮なく試させてもらおう。
言われるがまま、案内されたのは王都の地下。洗礼の間と呼ばれる場所だった。なんでも国王様が戦うのに、頑丈な施設が欲しいと闘技場を世界最高技術で作り上げたらしい。
「ふんふん〜」
鼻歌交じりに剣を振るう国王様。武器のチェックと弾丸の確保の為、アイテムの整理をしながら今も頭で考え事をしている。
『かなり広いな。ここなら我も龍の姿で戦えるな。』
「リナが暴れて外壁とか持たないと思うけど。」
「その心配は要らん。龍の攻撃でもビクともせん仕様だ。」
『どれ……。』
壁に手を軽く叩き……。
―ドォォン!
「ちょっとリナ!?」
『人型とは言え、この攻撃でヒビすら入らないとは。』
「これならソラヤも十分暴れられそう。」
「暴れるって……シー?」
「うん?」
気がつけば周りに仲間が揃っている。
「空ちゃん頑張れ〜」
「ソラヤなら出来るぞ!」
「ほほ。楽しみですな。」
母さんと父さんとクロイが観客席から声をかけてくる。整理に集中し過ぎた?周りが見えないのは不味いな。少しは落ち着こう。
「ソラヤが勇者になるって言うから、見に来たの。」
「それは勝ったらの話で。その情報どこから……。」
犯人はすぐに分かった。僕と目が合い、グッと親指を立ててサムズアップするノインさん。もう良いや。考えるのは止めようか。
「ソラヤ。弾丸はどうする?」
「そうだね。聖魔弾は少しで、氷と風を多めに持っておきたいかな。」
「分かった。」
メイクが弾丸の選択を聞いてきた。今回は安全が約束されているからか、制限も何も無いらしい。
「そうだ。ソラヤ、これは使えるかな?」
「ん?」
そう言ってシーが出したのはいつも見る弾丸。
「ソラヤがいない間に、武器屋とか行商さんから買った謎の弾丸。見たこと無いから買っておいた。」
「見た目はいつもと変わらないけど。ラインは黄色と黒かな?」
勇者である国王様に試してみるのは危ないな。弾丸自体もだけど、効果によって不利になったりする事も。
「ん〜せめて効果がわかればな。」
「じゃ、試し撃ちしてみたら?」
「試し撃ちって。相手に効果知られるけど。」
「ソラヤなら大丈夫。出たとこ勝負より、この弾丸を戦略に取り入れた方が有利に進められるでしょ?」
シーの言う通りかな。賭けで戦う様な事はしたく…したく……無いけど、結構行き当たりばったりだなぁ。今までの経験で殆どが行き当たりばったり。少しは考えているつもりだけど。なぜかいつもそうなる。
「メイク。この弾丸の効果みて増やせるかな?」
「今の私なら出来ると思う。」
「そうと決まれば。国王様、この壁に試し撃ちしてもいいですか?」
「ん?リナ殿の攻撃に耐えるあれですが?いや、まぁ自分でやってみたいか。その方が遠慮しなくていい戦いが……いいぞ。遠慮なくやってくれ。」
よし、許可は出た。魔力は込められそうな感じがする。100くらい大丈夫かな?
「マレット君。もしもの時は守って。」
「もしもの時って……リナさんの攻撃以上の何かですか?が、頑張ります。」
『ははは。我は軽くしかやっておらんぞ?そんな気張らなくとも大丈夫であろう。』
よし、これで心置きなく試す事が出来る。ふふ。
―ガチャ。
「メイク、黄色い方撃つ。よろしくね。」
「うん。任せて。」
魔力は100。戦いながら貯める事が出来るであろう最大値。
―ズゥゥゥン!バリ!
ん?今のは雷?でもこの世界に雷系等の魔法って無いはずだよな。そんな事を頭で考えていると。
―ガン、バリバリバリ!
「「「えぇ……。」」」
その場にいた僕とシーとメイクが引く。
どうなったかと言うと、発射時から雷を帯びていた弾丸は壁に当たる。すると壁を伝って色んな方向に走っていった。
「これ大丈夫?」
「どうだろう。これでも魔力は100しか込めてないんだけど。」
「壁までの速さも私はギリギリ目で追えるくらいだった。でも避けられるかなぁ。」
『ソラヤの武器は面白いな。あれは中々の威力だぞ。』
リナのお墨付きを貰った。そうも言ってられなくない?これ勇者とは言え人に向けていいもの?
「今更だね。」
「今更ね。」
『今更だな。』
シーにメイクにリナにまで言われた。
「あれ?僕今声にだしてた?」
「ソラヤは人に向けていいのか?とか思っていそう。」
「うんうん。」
『我はただ流れで言ったまで。』
シーとメイクがだんだん似てきた気がする。まだ会って間もないはずなのに。
「まぁいいや。次いこう。こっちの黒いのも100で行くから。」
「「はーい。」」
『楽しみだな!』
リナの目は機体に満ち溢れている。期待されてもそんなに珍しいものはそうそうないから。
―ガチャ、ズゥゥゥン!
今度は何もない。ただ真っ直ぐ、速くもなく遅くもなく……。
―ガン、ズズズ……。
「何この弾丸。空間が少し歪んでいる?」
「なんだろね。雰囲気は暗くて重い感じがする。」
「ん〜リナ。あそこの空間に入ってみて。」
『空間に?構わんが。』
僕横にいたリナは、メイクに言われた通りに謎の空間へと歩いて行く。
『何も変わらっ!!』
ん?急にリナのうごきが遅くなった。
『ぐぬ!?これはそう言う効果か!……っと、ふぅ。危ない危ない。』
はい。今度はリナに危ない認定されました。
「龍族のリナが危ないって。やばすぎない?」
『ここで喋ると、相手に聞かれるな。こっそり説明するのでしゃがむのだ。』
僕はその場にしゃがみ、国王様に見えないようにリナが地面に書いて説明してくれた。と言っても内容はシンプルで。部類は闇魔法の重力変化との事。
「雷に重力を込められた弾丸か……逆に作った人が気になる。」
「行商さんに聞いてみたけど。寝泊まりしている場所も知らない謎の職人らしいよ。」
「謎ですか……。この弾丸作る人は天才なのかも知れませんね。はい、ソラヤ。」
『その弾丸をホイホイ作るメイクが言ってもな……。』
この弾丸を含めて5種類の弾丸。黄色いのは雷魔弾、黒いのは重魔弾としよう。さてとどんな戦術で行こうかな。
「ソラヤ楽しそうだね。」
「そうだね。私達も向こうに行こうか。」
『羨ましいな国王。我も戦ってみたいぞ。』
「ほら、行くよリナ。」
「皆んなありがとう。頑張るよ。」
よし、周りも見えているし頭もクリアだ。
異世界の人間最強と言われる勇者との戦い。どこまで通用するか遠慮なく試させてもらおう。
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