少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

163話 絶妙な采配?

 国王様と別れて南の入口へと走る。


 避難は終わっているし、家も大きく崩れていたりしない。


「静かだね。」
「避難は完了しているからかな。」


 走りつつそんな会話をしていると。


―ドカァァン!


「……そんな事もないか。早く行こうか。」


 南門近くに到着するとさっきの大きい音の原因がいた。


「がはは!弱いぞ!弱すぎる!」
「マスター。街は極力壊さないようにして下さい。」
「何を言うレイラン。壊れたらまた直せば良い!」
「ですので極力と言っているのです。今の音は直せばどうにかなるものではないです。」
「細かいな。」


 仮面のギルドマスターであるボックスさんとレイランさんの会話が聞こえてきた。やれやれ、おじさんにも困ったもんだ。


「ん?誰か来るな。」
「皆さんご無事で何よりです。」
「ソラヤじゃないか!無事で何よりはこっちのセリフだぞ。」
「状況はどうですか?」
「中に来たやつを斬り倒しているんだが。数が多くてな。」


 周りを見ると家が何軒か崩れている。天使の攻撃より誰かが吹き飛ばした方が被害が出ているような気がするが。


「ソラヤ達がいればここは任せて平気だな。あとは頼むぞレイラン。」
「はい。お伝えしますので、街を壊さないようにお願いします。」
「善処しよう!がはは!」


 そして大剣片手に笑いながら、走っていくマスターのおじさん。ため息まじりのレイランさんがそれを見送る。


「まぁ街中にいるより被害は少ないでしょう。」
「マスターは相変わらずですね。」
「えぇ。それよりもソラヤさんが無事で本当に良かったです。居なくなってブルームさんはー」
「レイランさん!その話はいいから!」
「そうですか?相手には伝えないとですよ?」
「もう!それより状況です!」
「しょうがないですね。話しましょう。」


 レイランさんがシーを少しいじっていた。僕が居ない間に少し仲良くなったのかな?


 ともかくレイランさんが状況をまとめて話してくれる。


「守りが強い?マスターと、お目付役兼指示を私が南門内の迎撃担当。街の人の保護をピースとダブルとピィアスとココに。話し下手な3人、スタンとエッジとヤヤを外に出しています。」
「守りが強い……。」
「それは私も失敗…疑問に思いましたが、空を飛ぶ相手にマスターは不向きなので。少数であれば私が落とすので。」
「あ〜それなら戦えますね。避難に関しては問題なさそうですが、話し下手なとは?」
「円滑に会話が出来ないと。エッジは喋りはいいのですが、機転があまり得意ではないので。」
「バッサリ言いますね。」


 自分のギルドをちゃんと見ているレイランさんの対応があったから、このくらいの被害で済んだと前向きに捉えるようにしようか。


「僕らも外の応援に行った方がいいですかね?」
「マスターが行ったので、あまり多いと混乱するかもしれません。それに相手の気配も減っているので問題ないかと。」
「じゃ、僕らはここで街を壊さないように迎撃しますか。」
「そうして頂けると助かります。」








 暫くして戦闘も終わり、僕らは何も壊さず戦闘を終えた。


 その後をどうするか話し合う為に国王様の所に向かった仮面ギルドとメイク、リナ、マレット君の3人。全部で19人もいると一つの


 各方面の戦いも終わり、街の片付けや避難した人達を誘導したりとやる事は沢山あるようで、王国の兵士さん達は忙しそうだ。


「この度はご苦労であった。大きな被害はなく凌げたのも、其方らのお陰だ。」
「がはは。固いことはいいって事よ。それよりこの後どうするんだ?」
「それについてなんだが、思う事があってな。我々は何かしたか?」
「何かとはなんだ?」


 真面目な雰囲気を出す国王様。それにつられておじさんも真面目な声色になる。


「天使のやる事にとやかくは言わんが。滅ぼされる理由が気になってな。」
「滅ぼす?あの戦力でか?いや、人間だからと舐められたか。」
「あの、僕から一ついいですか?」
「ん?構わんぞ。」


 唸る2人に割って入る。一応、魔界でも同じ事があったと言っておく方がいいかな。


「魔界も似たような戦力で襲撃がありました。」
「なんと魔界もか……って魔界?」
「ここに来る前に僕とメイクとマレット君とリナで戦闘しまして。」
「そうであったか。ソラヤ殿は魔界に……うちの者がすまなかった。」
「それはもういいんです。新しい友達も出来ましたし、シー達も無事だったので。そうですね……貸し1で、何か困ったら助けてくれれば。」
「はは。そう言ってくれると助かる。約束しよう、必ず力になると。」


 気にしてるようだったので、気を使わせないように貸し1と言ってみた。これで何かあれば、国王様の後ろ盾がある。あれ、言い過ぎかな?皆んなが驚いた顔をしている。


「がはは!国王に貸し1とは。中々に面白い!さすがソラヤだな!」
「笑い事ではありませんマスター。いいですかソラヤさん。」
「は、はい。」


 真剣な顔で迫ってくるレイランさん。やっぱり国王様に貸し1とか怒られるのか……。


「この貸しは慎重に決めてください。どんな内容も一度皆んなで話し合いましょう。」
「へ?」
「こらこら、レイラン。ソラヤの貸しだ、自分で決めさせろ。」
「なんて、冗談ですよ。」
「なんだ。冗談です…か……。」


 目が笑ってない!眼鏡が怪しく光ってるー!!


 魔界での出来事を報告して、一度まとめて考えたいとの事。片付け等もあるし今日のところは解散で、後日場を設けて話し合いをするという事になった。

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