少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

139話 どうやら良い人ばかり。

 翌朝僕たち2人は、龍の話を聞くためにギルドへと向う事にした。


「皆んなあそこに入っていくけど。あそこがギルドって所かな?」
「多分。剣とか持っているし、そうなんだと思うけど。」


 剣や槍を持った人達が、朝早くにも関わらず入っていく建物がある。文字が読めない僕たちは、それを信じる以外方法がない。誰かに聞いてもいいんだけど、知り合いもいないし……。


「おや?君達は昨日の。」
「あ、知ってる人がいた。」
「ん?」
「いえ、ギルドってここで合っていますか?」
「そうだ。今日ここで合同依頼の説明をする事になっている。」


 やっぱりここがギルドで合っているみたいだ。


「それって龍の話ですよね?」
「どこかで聞いたのか?もしや君達も参加するのか?」
「話を聞いてみてって感じですが。」
「それは頼もしい。強い戦士は1人でも欲しいところだ。」


 昨日会った門番の人に、案内をすると言われギルドの中に入る。


―ギィ……。


 入ってきた僕とメイクに視線が集まる。


「おいおい。ここは女子供が来るとこじゃねーぞ。」
「彼らは冒険者です。今は一刻を争う自体。話を聞いて頂きたく案内したまでです。」
「は。騎士団長直々かよ。さぞお強いんだろうな。」


 強面な人達が僕らをみて色々言ってくる。それを聞いて助け舟を出してくれるいい人……え?騎士団長なの?


「見た目で判断とは、戦士として恥ずべき事ですよ。」
「言ってくれるじゃねーか。おい、坊主。お前の得物はなんなんだ?」
「獲物?」
「得意な武器って事ですよ。」


 こそっと教えてくれる騎士団長さん。得物か、危うく龍と答える所だったよ。あんまり見せびらかすのもなんだけど、ここは素直に出しておこう。


「僕はコイツです。」
「……何だそれ?随分ヒョロイな。」


 そりゃ、剣や槍と比べればヒョロイかもしれない。って言うか銃を知らないのかな?そう言えば、前の村の武器屋に並んでもいなかったな。騎士団長さんも興味津々に銃を見る。


「これは銃という武器です。近接用もありますが、これは遠距離攻撃用です。」
「銃と言うのですね。遠距離攻撃と言うからには、何かを撃ち出すので?」
「はい。通常の銃弾から、魔力を込めるものまであります。」
「ほうほう。」


 他の人が何かを言う前に、騎士団長さんの方が興味津々である。


「これ、一撃使ってもらう事は出来るか?」
「出来ますが音も煩いですし、何より危ないですよ?」
「音は別に構わんから!遠距離と言ったな……誰か受けてもいいと言うものはいないか!?」
「「「え???」」」


 見たこともない武器で、ヒョロイとか言っていたけど受けるとなると話は別。使っている僕自身が危ないと言っているから尚更だ。


「何だ?さっきまでヒョロイ武器と言っていたのに、いざ受けるとなれば尻込みか?」
「「「……。」」」


 ギルド内が静まる。それとこれとでは違うって空気を感じる。皆んなが皆んな顔を見合わせている。お前が行けよと。


「しょうがない。これは俺自身が受けるしか。」
「「「何言ってるんですか!!」」」


 今度は騎士団員の人達が止めに入る。


「それは戦場でお願いすればいいでしょう。」
「そうです。ここで団長に怪我されてはたまりません。」
「むぅ。しょうがない。しかし、それを使う所を是非近くで見せてくれるか?」
「は、はい。それなら構いませんよ。」
「そうか!なら楽しみにしよう。さて、龍討伐の合同依頼を話してもいいか?」
「「「「「(やっと本題か……。)」」」」」


 そんな時間は経っていないけど、皆んながやっと話が始まるのかと息を吐く。


 騎士団長さんが話した内容は、昨日ここから少し西へ行った村に起こった龍が暴れた話。村の人が救援にこの街まで来たが、その時はすでに村が半壊しているとの事。急いで町の冒険者達に噂を広めた。龍が相手でも集まる強者達で、討伐パーティを作ると言う話だった。
 龍がどれだけ強いのか僕自身はよく分かっている。だけど、ここに居る人達はどうなんだろうか?


「正直言うとだ。ここにいる皆が集まって勝てるかどうか分からん。だがしかし、放っておけばこの街にも被害が及ぶ可能性がある。私はこの町が好きだ。なので、皆の力を借りたい。よろしく頼む!」


「正直な騎士団長様だな。ここは一緒に勝つぞくらい言って欲しいもんだよな。」
「そうだぜ!町を守りたいのは騎士団長だけじゃない。」
「俺達で出来る限りの事をしてやろうぜ!」
「「「おぉぉぉぉぉ!!!!」」」


 ギルド内の士気は高い。


「皆んな実は良い人?」
「かも知れないね。なんか話聞いて決めるつもりだったけど。」
「参加するよね?私もソラヤに鍛えてもらったし。出来る事頑張るよ。」
「うん。頼りにしてるよ。」
「うん!」


 この後、細かい配列を決めてすぐに出発する事になった。
 前衛は剣や槍と言った近距離部隊。遠距離で攻撃する僕とメイクは、指揮をする騎士団長さんと一緒に中衛になった。後衛は魔法や回復と言った補助部隊。
 総勢32名にもなる龍討伐パーティになった。



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