少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

124話 サクッと黙ってもらう方法。

僕は何故か魔界にいる。
周りを見ればここが自分がいた場所でない事は分かる。


右を見ても、左を見ても自分とは違う。


「翼があるって魔族だよなぁ。あっちは人狼って言うのかな?……誰も返してくれないか。1人ってきついな。」


ここで立ち止まっても何も変わらないし。
まずは、現在地を確認する事からだな。
ギルドカードを使って入れたから、きっとここにもギルドはあるんだと思う。


「ギルドは…。」


剣や杖を持った魔族の人を見つけて、その人達が行く方角を観察する。


「あっちに行く事が多いな…とりあえず歩こうかな。」


同じ目的で歩いていそうな人を見つけ、後をつけていると思われないよう歩いていく。
しばらく歩くとレンガ造りの建物の前に着く。
色んな装備をした人達が出入りをする。
そして入り口には看板の様な立て札が……。


「読めない…。言葉は僕らとは違うのか。」
「ん〜今日も暇だな!………て、人間?」
「うわ!本当だ!めっずらし〜しかも子供じゃない?」
「おい、初対面で失礼だろう。連れが申し訳ない。」
「いえ、大丈夫です。」


言葉は通じるし分かるんだよな…不思議だ。
良い人そうだし、ここがギルドか聞いてみよう。


「あの。一つ、よろしいでしょうか?」
「ん?なんだい?」
「ここってギルドですか?」
「そうだぞ。ここにも書いてあるだろう?」


やっぱりギルドがどうのって書いてあるのか。
ん〜どこをどう見ても、ギルドのギの字も分からない。


「そうですか。ありがとうございます。」
「これくらいどって事ない。」




親切な人がいて良かった。
人間と魔族だから、毛嫌いされたり突然攻撃されたりないようだ。


「ん?…人間!?」


ざわざわ。


少し慌ただしくなるギルド内。
そんなに珍しいのかね?


「人の子が、うろちょろしてんじゃねーよ。」


―ヒュン!…パシ!


「な!?」
「突然ナイフを投げるなんて、危ないですよ?」
「て、てめぇ…俺様を舐めてやがるか?」


さっきのフラグだったか?
きっちり回収しなくても良いんだけど。
いきなり揉め事か……今は仲間もいないし、気にする事は何もないんだけど。
周りを観察してみるが、誰も止めようとはしない。
むしろどう言う対応するか、観察されている感じすらする。


「これも何かのテストかな。」
「ごちゃごちゃ…言ってんじゃねぇ!!」


―ヒュン!ヒュン!


今度は2本順番にナイフを投げてきた。
それにしても。


―パシ、パシ。


「「「おぉ〜。」」
「これは何かを試しているんですか?」
「っぐ!俺を本気にさせたいらしいな。なら、死ね!」


―ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!


今度は4本のナイフを投げてきた。
規則正しく投げてるナイフ、きっとこれも試しているんだな。


―パシ、パシ、パシ、パシ。


「「「おぉぉ!!」」」
「6本試したんだし、次はどうします?」
「くそ!おい、誰かナイフよこせ!」
「面白くなってきたな。良いぜ、俺の貸してやるよ。」


本格的に周りが騒ぎ出す。
ナイフないのは、ここに6本あるからでしょ。


「いいよ。これが返すよ。」


―ジャキ!


「え?」


両手の指に3本ずつ挟み、投げるそぶりを見せる。
これで構えてくれるから、弾くなり受け止めるでしょう。


「ほら、返しますね。」


―ビュン!


投げナイフのスキルはないけど、投擲と同じ要領だろうっと投げてみた。
狙いは当たらない様に、壁側にいたその人が避けても被害はないだろう。


―ザク!


「ヒィィ!?」
「あれ?」


受け止めるどころか、しゃがみこみ避けられた。
6本のナイフは壁に刺さった。


「「「………。」」」
「ん???」


静まり返るギルド内。
何か間違ったかな?


「ぷっ…。」
「「「だはははは!」」」


なんだ?突然笑いだした人達。


「まさかこんな結果になるとはな。」
「良いもん見させてもらったぜ。」
「クッソ!!てめぇ、許さねえぞ!!」


笑い者にされたナイフを投げた人が、ナイフ片手に突っ込んでくる。
えーこれいつまで続くの?


周りを見ても、第2ラウンドだ。
とか、KOされてるからリベンジだろ。
っと完全に見世物の観戦してるよ。


「これの終わりは?」
「テメェが死ぬまで…だ!」


―ヒュン、ヒュン。
―っす、っす。


「チョロチョロと避けやがって!」
「避けないと当たるじゃん。もうしょうがないな。」


ナイフを避けた後、いつもの相棒を取り出す。


―ガチャ。


「は?」
「…静かにしてて。」


―ドォォン!


「「「…………。」」」


ギルド内に響く銃声。


「これで少しは目的を果たせるかな。すいません〜。」


静かなギルド内を歩き僕は受付まで歩く。



「少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く